ボディー3万5420円。自社アトリエで縫製し、サイズ調整にも対応している
10年ほど前からランジェリー業界もDtoC(メーカー直販)ブランドが続々とデビューし、日本でも新たな下着文化が築かれようとしている。その担い手であるミレニアル世代、Z世代のデザイナーらは、SNSを通じた発信力でファンを増やし、大手百貨店も注目する存在となっている。森田明里(あかり)さんが立ち上げた「キッフランジェリー」もその一つだ。
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ブランド名の「キッフ」はフランス語の「Kiff」(大好き)に由来する。コンセプトは日本語で「交わる肌」の意味の「Peau Croisée」。
森田さんがランジェリーに興味を持つようになったのは、アパレルブランドのデザイナーだったころ。現在「ムール・ブティック」のディレクターを務める菜月さんとの出会いだった。それまでは“下着は消耗品”ととらえていたが、ランジェリーをファッションの一部として着こなし提案する菜月さんを見て、「こんな世界があるんだ」と、新たな下着の世界に開眼した。
「自分が着たいものを作りたい、興味があることを仕事にしたい」と一念発起し、20年9月にエスモード・パリのランジェリー科に入学。卒業後は、日本にいる時からファンだった「アトリエアムール」に猛アプローチして、アシスタントデザイナーのインターンを経験し、22年3月に帰国した。コロナ下の留学とインターン生活となったが、持ち前の行動力で乗り越えた。
「パリでのロックダウン(都市封鎖)を終え、何カ月ぶりかに友人と会った時に自分の心が疲弊していることに気付き、熱はメールや電話、オンラインでは伝わらないと感じた」。その思いから「大切な人に会いたくなる、触れたくなるランジェリー」というブランドコンセプトが生まれた。
ブランドはファッション性の高さが特徴で、服の下に着るだけでなく、ジャケットや背中が大きく開いた服などと合わせ、見せて着ることを楽しむデザインとなっている。
22年秋のデビュー後、半年間はほぼ自社ECの販売のみだったが、1月にはムール・ブティックで3日間の期間限定店を開き、直接客と触れ合う中で確かな手応えを得た。「昨年は会社を設立してブランドをスタートすることで精いっぱいだったが、今年は積極的に活動していきたい」と森田さん。2月27日~3月7日、伊勢丹新宿本店の下着売り場「マ・ランジェリー」での期間限定店も決まり、飛躍の年になりそうだ。
(ライター・川原好恵)
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