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生産の経済ロットを達成しながら希少性も維持できそうな売り方を考えてみた話

生産の経済ロットを達成しながら希少性も維持できそうな売り方を考えてみた話

繊維業界記者・ライター兼広報アドバイザー
南 充浩

業界メディア上でも報じられないことも多いが、ここ何年間かでオリジナルブランドを開始したという国内工場は結構ある。業界メディアで盛んに報じられる人気企業(個人の人気者も含む)の新ブランドでさえ、華々しい報じられ方に反して内情は火の車というところも珍しくない。

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で、国内工場というのは一部を除くと資本力が小さいから大手企業のようにローラー作戦で資本投下ができるわけではないから、オリジナル商品の生産も畢竟小ロットということになる。

余談だがスケールメリットというのがどういう具合なのかという事例の一端をいろいろボカしながらご紹介したい。

先日、オリジナルのTシャツを開始した某工場の話だが、最高級の三子撚り綿糸の生地を使用している。三子糸というのは三本の糸を撚り合わせて1本にした糸である。

当然、糸の太さは三倍、糸値も三倍になる。

例えば30番単糸を三子撚りすると10番単糸と同じ太さになる。そして30番単糸の値段の3倍の糸値になる。これが基本的な撚糸の原理である。

現在は綿花の値段の高止まりの影響によって綿糸価格も高止まりしている状態にある。その環境下でこの三子糸は1メートルあたり4200円もの高値になっているとのことである。

ところが「〇〇〇メートル以上生地を仕入れるなら1メートルあたり3900円」と生地の値段が300円下がるという。

これがスケールメリットである。1枚だけを生産するなら300円の生地コスト差はさほど大きな物ではないが、1000枚、3000枚生産すると1000枚で30万円、3000枚で90万円の生地値が削減できることになる。(縫製工賃とか染色工賃も同様の理屈で削減できる)

この生地に限らず、基本的に国内外のアパレル生産市場に出回っている生地というのはほぼすべてにこの考え方が当てはまる。だからこそ、20枚とか50枚程度の小ロット生産というのがいかに割高になるかという話である。

これからキラキラしたオリジナル製品を始めたいとか思っているキラキラ民の方々はこの基本的な原理を必ずご理解いただきたい。(このブログをキラキラ民の方々が読んでおられるとは毛頭思わないが)

話しを戻そう。

小資本の国内工場経営者は、いくらまとめ買いすれば生地値が安くなると分かっていても資金面の不安からそれをまとめ買いすることはできない。

同様に売れるかどうかもわからないオリジナル品を事前に大量に縫製することもできない。それらは商品が売れるよりも前に支払いが生じ、多額の出費となるため、下手をするとその時点で工場が倒産ということにもなりかねないからだ。(投資した商品生産コストは物が売れてから初めて回収ができる)

だから工面できる範囲の資金でチマチマとした数量で生産を小刻みに繰り返すほか手は無い。工場に限らず小資本のアパレルブランドというのも基本的な原理は同じである。

例えば、Tシャツブランドとかスエット(トレーナー、パーカ)ブランド、なんていうのは基本的にはベーシックな定番みたいな物を延々と売り続けることが多い。

そういう物を売っている工場ブランドも今は多々ある。そんなに広く知られていないけど。(笑)

和歌山のカットソー産地にも知られていないだけでオリジナルのTシャツ、トレーナーブランドが結構ある。

Tシャツ、トレーナー(スエットパーカも含む)の小規模工場オリジナルブランドでいつも思うのだが、無地白・無地黒・無地杢グレーのベーシック定番品以外は、毎シーズン限定の色、柄を投入して小刻みに回すというやり方はどうだろうか。と。

そしてその毎シーズン投入品は1型100枚限定で売り切れ御免にする。

いろいろな投入商品が考えられる。

例えば、無地黄色のTシャツは100枚で売り切れ御免。もちろん、20枚売れ残ることもあるだろうが、これを次シーズンは少し値下げして売り切る。

また、Tシャツやスエット類というのは無地ばかり着るわけではないから、胴体の前面や背中にグラフィック柄がプリントされている物もいいだろう。

グラフィック柄というのはそれこそデザイナーのセンスが問われるので、これをやるには専門の腕利きデザイナーと契約する必要性が高い。毎シーズン2柄か3柄ぐらい新柄を投入し、これも1型100枚で売り切れ御免にして、次シーズンは新たな柄を投入する。売れ残った柄は気長に売り減らすか、次シーズン以降に値下げして一気に売り切ってしまう。

Tシャツならボーダー柄というのもありだろう。ボーダーの配色を毎シーズン変える。この配色にも「センス」というのが必要にはなる。できれば専門職と契約することが望ましい。

今シーズンは白×グリーン、次シーズンは黄色×紫、とかそんな具合に毎シーズン配色を変え、1型100枚ずつ売り切れ御免にする。

こうすることで希少性も生まれやすいし、バーゲン待ちも発生しにくい。同じ物がたくさん供給されているから初回投入では絶対に売り切れないだろうと消費者は高を括る。だったら1型100枚という経済ロットに乗りながら希少性も失わない数量設定で売り切り御免の商品展開をしてみてはどうだろうか。期間限定とか今シーズンの新作とかそういう謳い文句も付けやすくなる。

大手アパレルはめんどくさくてやりたがらない企画だと考えられ、小資本の工場ブランドなんかには適しているのではないかと思うのだが。

当然、経営者を含めたメンバーの作業量は増えることになるが、資本力が無い分は作業量の多さとスピードの速さでカバーするしかなく、大手資本と同じことをやっていれば確実に大手資本に負けるし、マス消費者だって安くて品質が安定していてそれでいてデザインもマシな大手資本製品を確実に選ぶことになる。少なくとも当方は確実に大手資本製品を買う。

まあ、このプランは、以前懇意にしていた今は亡きハンドレッドというバッグブランドのそのままのパクリなのだが(笑)。考え方は良かったが資本が無さ過ぎたハンドレッドは消滅してしまったが、基本的な考え方は活かせることができるのではないかと考えている次第である。

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