解体したビンテージを見せる後藤洋平ジェラード代表
アメリカンビンテージに着想を得たメンズカジュアルブランド「ジェラード」を手掛けるジェラード(東京、後藤洋平代表)は、定番アイテムの開発と販売を強化している。国内工場と協力したこだわりの商品を定番化していき、ブランド力と知名度を高めるほか、定期的な発注で産地を守りたいという意図もある。
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定番アイテムを強化し始めたのは約2年前。ジェラードが所有している、1950年代初期に作られたビンテージジーンズを解体・解析し、糸から再現した国産デニムを開発したのがきっかけだ。
「解体すると糸の撚りの回数など、細かい情報まで読み取れるので、よりリアルに再現できる」と後藤社長。高額なコストをかけて生み出した生地に、“伝家の宝刀”を意味する「ラストリゾート」という名前をつけた。
まず定番アイテムとして作ったのは、ボタンやリベットといった副資材までオリジナルで企画したジーンズ。実際のビンテージ品を参考にしながら、当時の縫製の癖まで、国内工場で再現した自信作だ。
公式ユーチューブチャンネルで、商品のこだわりを語った動画が人気を集めたこともあり、2万円台後半という値段ながら、売れ行きは好調だった。
ラストリゾートを元に、ムラっぽさとネップ感を出して、より荒々しい風合いに仕上げた生地、ラストリゾート「黒タグ」も開発。同生地を使って、前作とは違う年代のビンテージ品をベースに再現したジーンズも企画したところ、入荷と同時にサイズが欠けてしまうほどの人気商品となった。
「職人と力を合わせた本気の物作りは、大変だがやりがいがある。この楽しさが伝われば業界を活性化できるはず」と後藤社長。高齢化や人手不足に悩む産地が、注目されるきっかけになることも期待している。
今後はビンテージ品を解体して再現した生地のアイテムを増やし、ラストリゾートをシリーズ化していく計画だ。23年秋冬には、40年代のビンテージ品にハサミを入れ、解析したデータを元に開発した生地のチノパンを新たに追加する。価格は税抜き3万円と決して安くはないが、自信がある。展示会でのバイヤーの評判もいい。
後藤社長は「強い定番アイテムはブランドの顔になる。生産は毎年決まった時期に一定量を発注する形にして、工場への負担を減らしたい。定番があり続けることは客の安心にもつながる。三方よしだ」と先を見据える。
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