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ザラがキャナルシティ博多店を閉店 背景にはSDGsに対する体制づくりと取り組み

ザラがキャナルシティ博多店を閉店 背景にはSDGsに対する体制づくりと取り組み

クリエイティブディレクター
HAKATA NEWYORK PARIS

 キャナルシティ博多の「ZARA」がイーストビルの建て替えに伴い5月7日で閉店した。ZARAの店舗は筆者の生活圏である天神西通りにもあるが、キャナルシティ博多店が閉店する前は両店の品揃えを見比べることができた。それがららぽーと福岡まで行かないとできなくなったのは少し不便だ。まあ、ZARAを購入しているわけではないが、最寄りの店舗が減ると品揃えや商品内容を比較検討できず、選択肢がなくなることになる。

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 もっとも、ZARAは5年ほど前から世界の2000店あまりでEC受注に対し、店舗在庫を引き当てて店から出荷する手法に踏み切っている。ECセンターに注文された商品が無くても、最寄りの店舗に在庫があれば、これを引き当てて注文客に発送する。お客にとっては到着までの時間が短縮されて便利だし、店舗在庫も効率よく運用できる。まさにクリック&コレクト(C&C)を販路にしたということだ。

 そう考えると、キャナルシティ博多店は3層もの売場面積を誇っていたので、顧客の利便性と店舗引き当てを考えると残しても良かったように思う。だが、店舗販売よりC&Cを拡大した方が売上げ効率が上がるとの経営判断なのだろう。イーストビルの閉館はそのための格好の口実になったのではないか。一方、天神西通り店はブランドロイヤルティ維持のためが第一で、売上げは二の次。だから存続させていくということだろう。

 そんなZARAだが、近年は着なくなった衣類を回収する活動も始めている。ZARA以外も含めすべての衣類やテキスタイル、家庭用布製品、靴、アクセサリーなどが対象で、状態が良くない衣類でも問題ない。店舗にはコンテナが設置され、お客がそれに持ち込めばいいようになっている。回収した衣類などは、非営利社会団体を通じてリサイクルされている。

 背景には、繊維産業に携わる企業として持続可能な開発目標(SDGs)に対する体制づくりと取り組みがある。ZARAのHPでは、それをコミットメント(公約)として「当社は、科学者コミュニティ、社会団体や環境保護団体、および同業他社と協力して繊維産業の変革を進めるべく、持続可能性の意欲的な目標を制定しました」と、謳われている。

 具体的な目標は、2023年が「人工セルロース系繊維およびサステナブルコットン100%」「再利用・リサイクルを促進すべく、再デザインされた包装紙100%」「お客様向け使い捨てプラスチック100%除去」「自社施設からの廃棄物を100%回収し、再利用またはリサイクルのために管理」の4つ。

 2025年には「より持続可能なリネン、リサイクルポリエステルまたは持続可能なポリエステル100%」「サプライチェーンにおける水の影響を25%削減」「エレン・マッカーサー財団とのコミットメントに基づき、自社施設のバージンプラスチックを50%削減」を目指す。40年にはGHG(Greenhouse Gas/温室効果ガス)の排出量を実質ゼロにするが目標だ。

 ただ、業界では、「低価格の商品を量産するファストファッション自体がSDGsには逆行する」「コストを下げるには一定量の材料を抱え、工場を確保しなければならないから、SDGsは容易いことではない」「環境に目を向ける投資家、SDGs債権などを意識しているだけ」と、ZARAの取り組みに対して冷めた見方もある。

 ZARAがこれらの公約や目標が実現できるどうかは置いといて、SDGsへの取り組みは繊維産業に関わらず全ての企業が避けて通れないテーマである。それに現状のビジネスを何とか活性化する上でも、環境問題からのアプローチは一つの手法になる。閉塞感が漂う経済環境の中で、そこから脱却する一つの手立てにSDGsを位置付けるのもありだろう。

学校現場で教育・学習する意義

 アパレルの場合、多くの消費者が山のようなタンス在庫を抱えている。そこからリユースやリサイクルで、どう取り組むかは各自各様だ。多くのブランド品を抱えている人なら、中古買取やオークション、個人取引で処分することができる。一般の消費者の多くがブランド価値を欠く単なる中古品は、買取店では値段しかつかないことを学習している。だから、いろんな企業や店舗が行う無料回収に持ち込むケースが多くなっていると思う。

 一方、バーゲンセールを利用し、お得に値下げ品をゲットする情報を発信する人がいる。だが、そういった人たちから賢い処分方法が発信されることはまずない。値下げ品でも、毎シーズン新たに商品を購入すれば、古いものは着る頻度が下がり、次第に着なくなることは間違いない。だから、こっそり廃棄しているのだろうか。

 そもそも、売れ残り品をさらに値下げ処分したものだから、リユースに回すと言っても、そんな中古品を欲しがる人なんているとは思えない。理由はどうあれ、ブランド品をプロパーで購入することを否定するスタンスなら、ワンシーズンやそこらで着なくなる服についても拒絶して欲しいものだ。

 繊維育英会という一般社団法人がある。ファッション、服飾雑貨、繊維アパレル業界に携わる人や企業に対し、さまざまな形で支援・応援を行い、未来のファッションアパレル文化、繊維業界の活性化を実現させるために2018年に設立された。同団体はエシカルやサスティナブルをスローガンに終わらせることなく、実際に注力する企業や共感、共鳴するブランドと一体になって新しい日本のアパレル産業への継続可能な市場形成を目指している。

 この繊維育英会が2022年4月、資源循環プロジェクト「ウィゾール」をスタートした。提携先に設置した回収ボックスで、素材を制限せずに全ての衣料品を回収。1年で約20万着の衣料が集まったという。これらを色柄や混紡率の違いによって選別し、パーツの解体も徹底した。おそらく人海戦術に頼った面が多かったと思う。

 選別された衣類は糸に再生できるものは紡績に回し、リ・ヤーンとして繊維製品にリサイクルされる。糸にならないものは圧縮成形した繊維リサイクルボード「パネコ」になる。解体で出るパーツもプラスチックや金属などで分別される。当初、中古衣料品のリサイクルは分別や再生が大変だということで及び腰の意見が多かったが、技術革新によりそれも少しずつ解消されつつある。

 あとは不要になった衣料品のリサイクルを促す啓蒙活動だろう。現在、循環型社会の実現に向けてはリデュース、リユース、リサイクル、リフューズ(包装や袋を断る)の4R運動が生まれている。だが、問題はそれに乗らず廃棄せざるを得ない衣料品をどうリサイクルするかだ。各企業などの取り組みで、回収までの道筋は増えている。問題はそれ以降の処理、工程、作業である。

 一般に商品を製造するのはプロが携わるが、処分するのは全ての一般の人たちだ。だから、SDGsに取り組む初歩として、まずは教育が必要ではないか。それには学術的な価値を持たせ、学校現場での学習に取り入れてはどうかと考える。例えば、小学生から着なくなった服を解体して、生地や付属品、布やプラスティック、金属などに分別する授業を組む。そこで、服の構造と共に何が再生に回せるのかを学んでいけばいい。

 中学生、高校生になると科学的な要素を組み込み、リサイクルの実験などに踏み込んでもいい。この布は粉砕して土に還す。この繊維は再生できて糸にできる。いろんな知識を身につければ、就職や進学のための学びにもなる。また、クリエイティビティを醸成する意味で、着古した衣料品を使ったリメイクのアイテム作りを行うこともあるだろう。洋服を解体すれば、パターンや縫製など服作りのノウハウまで並行して学べるので一石二鳥だ。

 夏休みなどには、いろんな企業がリサイクルのワークショップを開くケースがあるが、小学生から高校生までの年齢ごとで内容を変えることも必要だろう。最近ではかつて当たり前だった「お下がり」のような風習が復活し、制服など学生の必需品で浸透しつつある話も聞く。受け継ぐ学生に対し、「この制服が着られなくなったらどうするか」というテーマを課すのも一つの手だ。

 リサイクルはSDGsは大人になればなるほど、理屈は理解できても実践ではいろんな思いが邪魔をして進まないケースが出てくる。だが、子供たちは好奇心が旺盛だし、いろんな学びがあれば、吸収していく。そこで得た基礎的な知識や技術を大学で応用科学として研究してもいい。その先ではいろんなビジネスや起業に生かそうとする人も出てくるはずだ。それがリサイクル技術をさらに進化させていくことになる。

 着古した衣料品を糸に再生したり、繊維製品を生み出したりと、現状でのサーキュラーエコノミーの道筋は、デュアルくらいだろうか。それをトリプル、クアドルプルへと拡大していく。そのための啓蒙活動や教育・学習がますます重要になっていると思う。

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