全くもって残念な決定である。アッシュ・ペー・フランス(HPF)は、6月30日をもって合同展示会「ルームス(rooms)」事業を休止する。関連する各種SNSも同日に更新を停止。公式ウェブサイトは7月31日をもって閉鎖する。ただし現在開催中の「ルームスオンライン」「ルームス × Eサロン インキュベーションプロジェクト」は9月30日まで開催するという。ただし事業自体は「完全に廃止ではなく、人員や収益面など課題がクリアできた後には再開の可能性もある」とHPF。
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「ルームス」は2000年にスタートした「独立系クリエーターブランド」の合同展示会だった。洋服だけでなく雑貨も含めた展示会で、その後は海外からの出展も含めた大規模な総合展示会に広がっていった。最盛期には出展ブランドが500ブランドで入場者が3日間で2万人を突破した。本来の「独立系クリエーターブランド」に焦点を絞れなかったのは、出展料を増やそうとしたためだろう。
現在はリアル展示会の「ルームスパーク」とオンラインの「ルームスオンライン」に分化している。すでに今年3月11〜13日に開催を予定していたリアル展示会「ルームス42」は開催が見送られており、3月1日〜5月31日のオンライン展のみが開催されていた。
BASE(ベース)をはじめとして、無料で簡単にネットショップが作成できるサービスが普及したこともあり、参加料を払わなくともネットで消費者に訴求ができる時代になったことも「ルームス」には逆風になったかもしれない。しかし独立系クリエーターが一堂に会するリアル「ルームス」の価値が減じたとは思えない。
HPFは、今年2月24日、東京地裁に会社更生法の適用を申請し、同日保全管理命令を受けている。負債は、債権者28人に対して約29億円。同社は2017年には事業再生ADRを実施し、金融機関の債権放棄を受けるとともに、新スポンサーが株主に就任していたが、その後のコロナ禍で再建計画は頓挫して、2月24日の会社更生法申請になったもの。今回の「ルームス」の事業休止も、そうした経営再建の一環だろう。
なんとかリアル展を再開する手立てはなかったのだろうか。経営不振のHPFによる開催が難しいのなら、日本アパレル・ファッション産業協会(JAFIC)や日本ファッション・ウィーク推進機構(JFW)などが動くべき案件のように思われるが、全く音無しの構えだ。私見だが「ルームス」は楽天がスポンサーになって開催されている楽天ファッションウィークに匹敵する存在だと思う。それなのに、HPFの経営危機と一体化して論じられて、23年も続いて来た「ルームス」が簡単に休止に追い込まれてしまうのは解せない。
何か間違っていないかと思うのは私だけだろうか。
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