「IP(知的財産)×ファッション」でインフルエンサーのDtoCブランド事業を展開し、さらに「テクノロジー×ファッション」で、オンデマンド製造サービスを手がけている株式会社KONNEKT INTERNATIONAL。同社は、ファッションにIPとテクノロジーを掛け合わせることで、新たな事業を生み出している。
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「テクノロジー×ファッション」において、同社はアパレルブランドやグッズのECサイトにオンデマンド生産システムを連携させ、収益の最大化を実現するソリューションとして「KONNEKTED(コネクテッド)」を展開しており、これまで課題であった売り逃しや在庫リスク、生産や配送のオペレーション問題などの解決に貢献できるとしている。
そこで今回、同社の代表である由羽弘明さんに、「KONNEKTED」を開発した経緯や、ファッションにIPやテクノロジーを掛け合わせて実現したいこと、今後の展開などについて伺った。
オンデマンド生産システム「KONNEKTED」とは
同社は2013年に創業すると、フランスのアイウエアブランド「nunettes(ヌネット)」の総販売代理店として事業を展開。同ブランドはサングラスにIPを掛け合わせた独特なデザインが実現可能であることから、Jリーグのチームから『ONE PIECE』に至るまで、さまざまなIPとコラボすることで、これまでにないファッションアイテムを生み出した。こうしたライセンス事業も継続して展開しているが、近年は新田真剣佑や宇野実彩子(AAA)らのブランドを立ち上げるなど、IPにおいてはDtoCのブランド事業が同社の柱の一つとなっている。
そして、もう一つの柱となっているのが、テクノロジーを活用したリアルなファッションアイテムのカスタマイズやオンデマンド生産システムだ。
「私たちは、ものづくりをしている会社なので、Web3やNFTなどのデジタル上だけというよりは、デジタルとリアルなフィジカルの部分とが合わさった領域に取り組んでいます。
海外のIPなどと仕事をするなかで、ECにおいてオンデマンドサービスがすでに導入されていることを知り、これからは日本でもオンデマンドの時代になると思い、サービスに取り組もうと考えました」
同時期に、大手プリンターメーカーが衣類やその他のファッションアイテムなど、さまざまな素材にフルカラー印刷ができるガーメントプリンターの機能を大幅に改善するなど、技術革新も起きた。これにより、ECで販売するグッズのオンデマンド生産がより現実的なものとなったという。
そこで同社は、ECの課題解決の助けとなる「KONNEKTED」を開発。具体的には、顧客が選択・作成したデザインの商品を売主(ECサイト)が受注すると、KONNEKT INTERNATIONALが自社工場などでプリントなどの製造を行い、売主に商品を発送する。売主はその商品を顧客に納品する、という仕組みだ。
ECサイト側はAPI連携で簡単にシステムを導入することができるとともに、オンデマンド生産により余剰在庫などの在庫リスク問題を解決できる。また、商品の企画からデザイン、商品登録、資材調達、生産、梱包、出荷などの作業もテクノロジーで解決できるため、効率的なオペレーションにつながっている。
「KONNEKTED」を活用することで生まれる新たな価値
そしてこの取り組みは、商品開発において新たな地平を切り開こうとしている。たとえば、キャラクターIPにおいて、これまで商品開発をする際は、在庫リスクの問題から、一定数の人気があるキャラクターの商品しか展開できなかった。しかし、「KONNEKTED」を活用すると、すべてのキャラクターの商品化が実現できる。過去の事例では、約200体から好きなキャラクターを選べるとともに、デザインフレームやカラーなどのカスタマイズを可能にしたTシャツを販売したところ、通常の4倍以上の売り上げにつながったという。
さらに、初めて商品化されたキャラクターの合計売り上げが、以前から商品化されていた人気キャラクターの合計売り上げを上回るなど、ファンのニーズに応えるとともに、潜在的なロングテールを明らかにすることにもつながった。「たとえば、今後は人気アニメにおいて、自分の好きなキャラクターと、感動した物語のシーンを組み合わせられるデザインをTシャツとして販売することも考えられます。そうすると、これまでは分からなかった、意外と人気が高いキャラクターやシーンが判明したり、今後の商品企画やマーケティングにも生かされたりすると思います」さらに同社は今年4月、大日本印刷が運営するキャラクターグッズ販売サイト「DNP XR MALL」に「KONNEKTED」を導入し、メタバース空間・バーチャル空間上のデジタルアイテムをオンデマンド生産でフィジカルグッズ化できるサービスを開始した。この取り組みにはどんな意図があるのだろうか。「現在、EC上はもちろんですが、ゲームの世界やバーチャル世界でデザインしたものをフィジカルで届けるフェーズに入っていく準備をしています。人類がバーチャルに移行して、そこで過ごす時間が長くなってきているのは明らかなことなので、そこにおけるアイテムを現実世界でも手にしたいという需要が出てくると思います。バーチャル空間で生成されたデータを、いかにリアルな工場で作るデータにうまく持っていくのか、次はそこをクリアする必要が出てくるのかなと思います」
「KONNEKTED」の開発背景
それでは、「KONNEKTED」を開発するにあたって、どのような工夫と苦労があったのだろうか。「商品のカスタマイズやオンデマンド生産は、表からは見えない裏側の部分が大変でした。自社工場と提携工場で生産しているのですが、発注データの形式をはじめ、それぞれ管理方法が異なっていたので、それを共通化するためのソフトウェアを開発したり、顧客が考えるデザインイメージと齟齬がないデザインになっているかを調整したりしました。工場の環境によって色が異なってしまうなど、フィジカルな商品ならではの課題を一つひとつ解決しました。また、データのやり取りをできるだけ自動化して発注ミスなどが起きないようにするなど、泥臭い作業が多かったです。その最適化については、今でも重要な開発課題として取り組んでいます」
「KONNEKTED」という技術を生かして、マーケティングにも寄与する
今年で創業10年を迎えた同社だが、今後どのような企業でありたいのだろうか。由羽さんは、同社の強みについて次のように語った。「私たちはオンデマンド生産システムに注目いただくことも多いのですが、最も得意なことは、創業当初からIPに関わり続けてきたことで、IPをどう使えば、そのIPの価値が最大化されるのかを考えられるところにあると思います。つまり、オンデマンド生産システムという技術それ自体ではなく、これを活用することで、売り上げの増加につながったり、ファンの方がこれまで手に入らなかった好きなキャラクターのアイテムを手に入れられたり、さらにアパレル業界の課題解決につながったりと、世の中の人が喜ぶ手助けをできる点に強みがあります。その意味で今後の私たちは、さまざまな企業やお客様にとって意味のある技術を提供しながらも、その技術をいかに世の中に必要とされるサービスに繋げることができるかにフォーカスする、企画やマーケティングのリーディングカンパニーでありたいと思っています」
PROFILE|プロフィール
由羽 弘明(ゆう ひろあき)
株式会社KONNEKT INTERNATIONAL
代表取締役社長
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