今、勢いのあるアダストリア。経営から現場まで様々な取材をさせていただくが、本部社員や販売員に現職に至った経緯を聞くと、上司や同僚が節目節目で背中を押してくれたとの話が出る。

　日頃から従業員の働きを見て、適性を判断し、成長の機会を提供する。当初の希望と違ったと話す人もいたが、結果的に、自分に合っていたと生き生き働かれている様子。キャリアビジョンを実現するための挑戦をさせたり、成果を評価したり、そうした環境が醸成されているようだ。従業員ではないので実態を知る余地はないが、素直な言葉に偽りはないはずだ。

　キャリアを支える上では、コミュニケーションの積み重ねが効果を発揮する。バロックジャパンリミテッドの本部社員や販売員に聞くと、面談で「自分はこういう仕事がしたい」と語り続けた結果、上司がチャンスを作ってくれたという人が多い。村井博之社長は昨年末のインタビューで「ポテンシャルがある者に対して力を引き出す」のが今の教育の在り方だと説いた。

　企業規模でできることの限界はあり、職場の価値観や文化によって、人材に対する考え方も様々ある。ただ、好業績の企業や新しい挑戦に意欲的な企業は、人が適切な場所でちゃんと活躍していると思う。成長も成果も個人の努力次第ではあるが、それを支えたり、能力を開発する仕組み作りが企業を支える。