8月度株価上昇率第1位はトンネル抜けたBASE
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「セブツー」では、ファッション&アパレル関連84銘柄の月間株価騰落率を毎月調査してそのランキングを作成している。今回は8月1日始値と8月31日終値を比較したランキングを発表する。
相変わらずNYダウ平均、日経平均株価ともに、この1カ月間は冴えない展開になっている。収まらないインフレ、先の読めないアメリカ金利動向、難しいアメリカ不況の深刻度判断、長引くロシアのウクライナ侵攻に加えて、8月は中国不動産業界第2位の恒大集団が破綻。その他中国経済の悪材料が一気に吹き出した。投資家は夏休みということもあってか動くに動けない相場展開になった。
こうした相場展開を受けて、セブツーが選んだ84銘柄は単純合計で8月31日終値は8月1日始値に比べてー0.38%とほぼ変化がなかった。なお、今回からゴルフウェアブランド「マーク & ロナ(MARK & LONA)」を手掛けるキューブ(2022年10月上場)、東京ガールズコレクションの運営などを行っているイベント会社のW TOKYO(2023年6月上場)の2銘柄を先月までの82銘柄に加えて、84銘柄によるランキングになった。なんとその初登場2銘柄のうちW TOKYOはー26.7%で最下位(84位)。同社は6月29日に東京証券取引所グロース市場に新規上場した。上場初値は公開価格3,000円の2.3倍の7,000円だったが、これを最後に株価は下がり続け、公開価格の3,000円を割り込むのではないかという状況に陥っている。一体誰が囃し立てて人気に火を付けたのか。責任は重大ではないか。
新規上場銘柄に苦言を呈したが、今回(8月度)の株価上昇率第1位(45.5%)はBASEだった。8月3日の取引終了後に2023年12月期第2四半期(1〜6月)の連結決算を発表したが、赤字幅が前年同期から大幅に縮小したことが注目されたようだ。第2四半期累計では、売上高が53億6000万円(前年比+11.5%)、営業赤字は2億8700万円(前年は8億6900万円の赤字)。前四半期までは手数料率の安い月額有料プランを利用するショップの増加で前年四半期比では減少が続いたが、流通総額の増加により前年四半期比では増加に転じたという。コロナ禍のスター企業として無料で簡単にネットショップが作成できるサービス提供で人気化して一時は株価も3,000円台を付けた。2022年6月でBASEの出店者数は170万店以上だが、誰でも簡単にネットショップが持てるプラットフォームは信頼度が低くユーザーが不安になるという側面があり、その後長いトンネルに入ってしまったが、ここに来て光明が見えたという投資家の判断があったのか。
上昇率第2位(+24.8%)はスポーツ関連企業のミズノだった。8月8日に発表した第1四半期(2023年4月1日〜2023年6月30日)の決算が、売上高前年比+23.8%の571億7600万円、営業利益は同+40.8%の53億4400万円、経常利益は+39.8%の63億2800万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は+33.2%の46億7000万円といずれも第1四半期としては過去最高を更新した。
国別では日本が前年比+9.6%、ヨーロッパが同+51.3%の66億700万円、米国が同+46.7%の104億4700万円、アジア・オセアニアは同+50.9%の75億7100万円だった。海外での売り上げの伸びが高く、このままなら通期でも過去最高の更新が期待できると買いが入っている。
株価上昇率第3位(+24.3%)は青山商事。この企業もコロナ禍の直撃で、2021年3月期には営業損益で144億円の赤字を記録したが、2022年3月期に21億円の営業利益をマークして浮上。2023年3月期には71億円の営業利益まで回復。2024年3月期には完全復調の青写真があるが、8月10日に発表された第1四半期(2023年4月1日〜2023年6月30日)では売上収益に関する表示の変更があったので前年対比はできないが順調に良化の道筋を辿っているというのが投資家の見方だ。同社は第2四半期では累計で営業赤字16億円、経常赤字16億円、親会社株主に帰属する当期損失24億円を計上しているが、この利益3部門が黒字化するかどうかがポイントになりそうだ。
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