工場見学で反毛工程の説明を受ける昭和女子大の学生たち
「ニットとか織物とか、いろいろな素材にアップサイクルできることがわかった」と話すのは、昭和女子大学(東京)の環境デザイン学部環境デザイン学科2年生ら。同大と繊維メーカーのシキボウとの産学連携の取り組みで、裁断くずやC反、中古衣料を原料に反毛(再度わた状に戻す)工程を経て新しい糸へアップサイクルする工場見学を実施した。見学を通じて学んだ繊維技術・仕組みをヒントに「どのような社会課題の解決に役立てるか、これからの授業を通して考えていく」という。
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(小堀真嗣)
学生たちが訪問したのは、シキボウのグループ会社で杢糸を主力とする新内外綿の生産子会社、ナイガイテキスタイル(岐阜県海津市)。不用となった繊維の素材、製品をアップサイクルする独自の仕組み「彩生(さいせい)」を手がける拠点だ。
学生たちは杉本浩二社長らと共に工場内を見学した。最初は今春に本格稼働した反毛機が置かれた建屋に案内された。様々な中古衣料がカットされた状態で集められ、それらを反毛機に投入して開繊し、ふわふわのわた状に戻す工程について説明を受けた。
多くの色の繊維が複雑に混ざり合ったわたを扱えるのはナイガイテキスタイルならでは。同社は多彩な杢糸の生産で培ってきた多品種小ロットに応える生産体制が強み。工場内では白糸の生産もする。いずれも生産できるのは細密な管理が行き届いた工場だからだ。その強みは彩生にも応用されており、様々な組成の素材から中古衣料までを反毛繊維の原料として利用できる。
両者の産学連携の取り組みは6月にスタート。「デザインで社会課題を解決していく力を養う」という環境デザイン学部には総合DP(デザインプロデュース)演習という単位取得ができる授業があり、その題材の一つに彩生が選ばれた。履修している学生は12人。そのうち5人が見学に参加した。
同学部で非常勤講師を務め、同行した田井中慎4CYCLE(フォーサイクル)代表は、「彩生の糸はレギュラー糸よりもコストが20%程度高い」(新内外綿)という点に着目。学生たちへ「皆さんは20%のコストを価格に転嫁して、売れる商品を考えないといけない」と指摘した。「反毛の原料に中古衣料を使うなら、さらに手間がかかり、コストが上がる。何を集め、何を作るのか、価格に対して納得してもらえる商品のストーリーも考えないといけない」などとアドバイスをした。
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