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移り変わる「靴」のマストレンド

移り変わる「靴」のマストレンド

繊維業界記者・ライター兼広報アドバイザー
南 充浩

最先端の尖ったファッショントレンドはどうだか知らないが、マストレンドでいうと、昨年の秋冬と今年の秋冬ではカジュアルにおいてはさして大きな違いはないと感じる。

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特にメンズカジュアルはそんなに変わっていない。

ユニクロは基本的にベーシックなので、継続品番が多いのは毎シーズンのことだが、デザイン面もサイズ感もこの1年間はさして変わっていない。もっといえば、ここ数年は変わっていない。最も変わったのは価格だろう。多くの商品が1000~3000円くらい値上がりしている。(笑)

変化が少ないということを如実に感じられるとすると、アダストリアの各ブランドとジーユーではないかと思う。

両者ともに比較的若者向けのトレンドへの反応が速いとされているが、ここのところ変化が少ない。強いて新しいアイテムを挙げるとすると、両者ともに極太シルエットの「スーパーワイドパンツ」が増えたことだろうか。あと「パラシュートパンツ」は新顔ではないかと思うが、パラシュートパンツは業界トレンドなの両者に限らずユニクロにも今秋冬は投入されている。

ジーユーでいうと、デニムワイドスラックスは今春もあったし、今秋も継続している。もちろん春物は値下げして売り切り、秋にはあらたに1990円として入荷している。またMA-1ブルゾンも昨年秋冬に続いて投入されている。当方は昨年秋冬にオリーブグリーンを値下げされたときに買ったので今年は買わない。多分990円に値下げされても買わない。そう傷んでいないし、同じ物を2枚も3枚も持つ必要がない。

アダストリアでいうと、ビッグサイズのダッフルコートが昨年に引き続き今秋冬も継続されている。もちろんまた新たに新商品として投入されていることは言うまでもないがウェブで見比べると明らかに継続品番であることがわかる。

唯一大きく異なるのは素材だろう。昨年秋冬物はウール混だが、今秋冬物はウール含有率0%でオール合繊である。

恐らくは円安が進行していたので、ウールの輸入がコストに合わなくなってきたためだと推測される。

洋服に関していえば昨年買った秋冬物は今年着ていても区別はできないほどトレンド変化は少ない。スーパーワイドパンツだって昨年から穿いている人はいたから、そこまで目新しい変化でもない。

当方が昨年秋冬と大きくマストレンドが変わった、もしくは大きく変わりつつあると感じるのは靴である。何度も繰り返すが最先端トレンドの人は昨年以前からそういう傾向だっただろうと考えられるのだが、当方は最先端層ではないので最近気づいたというだけのことである。

昨年の秋と比べると、ハイテクスニーカーを履いている人が男女ともに減ったと感じる。もちろんゼロにはなっていないし、相当数の着用者がいるが、それでも全盛期と比べると減ったと感じる。

代わって増えたと感じるのがブーツ類、ワークブーツ類、ローファー系、女性ならパンプス類である。

ビジネスシューズをそのままカジュアルに合わせる人はそういないが、一時期完全に消えていたワークブーツ類・ブーツ類を履いた若者が特に今秋からめっきり増えたと感じる。

いわゆる「革靴類(アッパーが合皮素材の人も多々いるが)」と総称してもよいかと思うが、メンズの場合はアンクル丈のショートブーツか、ショートワークブーツである。またはアッパーの形が同様で通常の短靴かである。

ジーユーだと本革のワラビーっぽい靴やダナーっぽいトレッキングシューズなどが発売され、値下げされた途端に売り切れている。また例年以上にワークブーツ型、サイドゴアブーツ型も消化が速いように感じられる。

また、コインローファーやビットローファー、タッセルローファーなんかもカジュアル時の着用者数が増えているように見える。

さすがに2000年代半ばくらいの爪先が凶器のように尖って、爪先がアラビアンナイトのように反り返った革靴類を履いている人は見かけないが(笑)。

2000年代半ば以降、快適性が追求されるようになり、定番スニーカー類が売れ、2010年代半ば以降はハイテクスニーカー類が靴市場を席捲してきた。

1990年代に男子大学生の間に大流行したワークブーツ類・ショートブーツ類はほぼ市場から消えてしまった。まあ、売り場には細々と並んでいることもあったのだが。

それが約30~25年ぶりくらいに復活してきたという理由はなんだろうか。

当方は

1、みんながスニーカー類に飽きたし、たくさん所有している

2、ワイドパンツ、スーパーワイドパンツ類が増えたので革靴類の方がバランスがとりやすい

の2点が大きいのではないかと思っている。

まず、1だが、2017年か18年から遅ればせながらハイテクスニーカー類を履くようになった当方だが、さすがに5年簡にトータルで10足以上に増えると飽きてしまった。着用はするが買い足すことはしなくなった。

ここから買い足すにしてもあまり目ぼしい物がない。買い足すとすると値下がりしたポンプフューリーくらいだろうか。

次に2だが、個人的にはよほどの脚長の人でない限り、当方も含めてワイドパンツやスーパーワイドパンツにスニーカーを合わせるのはスタイルが悪く見えるということを感じる。

フォルム自体がゴツいハイテクスニーカーと合わせてバランスが良いのは、ある程度細身からレギュラーシルエットで、丈が短めのズボンである。

しかし、標準丈のワイド、スーパーワイドになるとアッパー部分がほとんど隠れてしまい、それでいて「コロっと」した爪先がのぞくだけになってしまうスニーカー類はバランスがとりにくい。とりわけハイテク系スニーカーはかなり難しい。

標準丈のワイド、スーパーワイドパンツに合わせてバランスがとりやすいのは「シュっとした」革靴類・ブーツ類である。特に当方のような大してスタイルも良くない人にとっては革靴類・ブーツ類を合わせるのが無難である。

久しぶりに復活したワークブーツ類・ブーツ類・革靴類を見ると懐かしさとともに少しだけ新鮮さも感じるから、マストレンドに広がりつつあるのだろうと思う。

そうは言っても、衣料品と同じで前のトレンドが完全に消滅することはないだろうし、楽さに慣れた人たちがスニーカー類を捨て去ることはないだろう。

また、革靴類もソールの素材やアッパー素材で随分と快適な物も増えている。本物の昔懐かしい革靴類よりもスニーカーに足が慣れた人たちはそういう快適な現代アレンジされた革靴類を選ぶだろうと思う。特に当方はそうである。昔ながらの革靴類・ブーツ類は足が疲れるので絶対に穿きたくない。

とはいえ、靴のマストレンドの変化は久しぶりなので、安くて快適そうな革靴類があればいくつか買ってみたいと思っている。そんなわけで2015年頃に買ったムーンスターの防水本革で楽ソールなサイドゴアブーツを靴箱から最近引っ張り出した次第である。

このあたりの靴も買ってみようかな~

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