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付録付きファッション誌の生みの親 宝島社創業者の蓮見清一氏が逝去

宝島社本社(GoogleMapから)

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 出版業界を牽引した重鎮がまたひとり鬼籍に入ってしまった。宝島社を創業し、一代で年商300億円を超える企業へと成長させた蓮見清一氏だ。12月14日に心不全のため東京都内の自宅で死去した。80歳だった。通夜と葬儀は近親者のみで執り行うという。

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蓮見清一氏は、1942年12月22日に中国・大連で生まれ、1962年に早稲田大学に進学、1971年に宝島社の前身となるJICCを設立した。当時は地方自治体のコンサルティング業を主な事業としていた。

その後、1974年に植草甚一らが創刊した雑誌『WonderLand(ワンダーランド)』を晶文社から版権譲渡・復刊することで出版事業に進出した。『WonderLand』は音楽評論家の植草甚一が責任編集を務め、連載陣には片岡義男や筒井康隆らが名を連ねるなど、サブカル雑誌のルーツと言える媒体で、3号目から『宝島』に誌名を変更している。1990年代初頭に『宝島』で「アンダーカバー(UNDERCOVER)」の高橋盾と「ヒューマンメイド(HUMAN MADE)」のNIGOが「LAST ORGY 2」のタイトルで連載していたこともよく知られている。

蓮見清一氏は、1988年12月に「ストリートファッション」を特集した増刊号『宝島』を発行すると、これをのちに独立させて『CUTiE(キューティ)』として1989年に創刊する。ストリートファッションの流れを作った『CUTiE』は大成功を収め、これが大きな転機となり『Smart(スマート)』『SPRiNG(スプリング)』『sweet(スウィート)」『mini(ミニ)』『InRed(インレッド)」と続々とファッション誌を創刊させ、「ファッション誌の宝島社」へと変貌を遂げていった。日本の「ストリートファッション」を辿っていくとサブカル雑誌に行き当たるのが面白い。

さらに、2000年代に入るとブランドとの取り組みで、トートバッグなどの付録を雑誌に付ける戦略が大当たりし、発行部数を飛躍的に伸ばした。なかでも『sweet』は女性ファッション誌で初めてオリジナルの付録を付け、100万部超の販売部数を誇った。「付録に雑誌が付いている」「雑誌がおまけ」などと揶揄されたものの、「イヴ・サンローラン・ボーテ(Yves Saint Laurent Beauté)」との取り組みでは、オリジナルのトートバッグを付録に付けたムック本を初版で100万部発行するなど、当時すでに部数減の波にさらされていた雑誌業界において驚異的な部数であった。

また、蓮見清一氏は名物編集長も数多く育てた。前出の『sweet』の編集長に29歳の若さで抜擢された渡辺佳代子氏やカルチャー誌『STUDIO VOICE(スタジオ・ボイス)』の営業から移籍し、『Smart』の編集長を務めた高田秀之氏らだ。『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』や『世界はなぜ地獄になるのか』の著者の橘玲氏も宝島社の出身で『宝島30』の編集長を務めた。雑誌の誌面作りにマーケティングの視点を取り入れることができる編集者を育てたことは蓮見清一氏の功績のひとつではないだろうか。

宝島社といえば、1993年11月に起きた「宝島社本社に対するけん銃発砲事件(警察庁HPから)」も忘れてはならない。同社発行物における反皇室報道に抗議した右翼団体によるもので、当時の麹町本社に銃弾が打ち込まれた。言論の自由を暴力で封じ込めようとするあってはならない凶行であり、蓮見清一氏は怒りを禁じ得なかったのではなかろうか。

60歳になると乗馬を始め、荒野や山岳を馬とともに一昼夜かけて走り抜く米国のレース『テヴィス・カップ・ライド』に出場している。世界一過酷だと言われるこのレースで連続完走記録も持つなど、還暦を過ぎてからも蓮見清一氏の情熱やエネルギーは衰えることはなかった。

サブカル雑誌に芽吹いた「ストリートファッション」という種から、「ファッション誌」という花を咲かせた蓮見清一氏。50年以上にわたり出版業界で異彩を放ち続けた宝島社・蓮見清一氏の冥福を祈りたい。

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