欧州の古着を国内の縫製工場で丁寧に縫い合わせる
アップサイクルブランド「ニュイ」は、自社サイトでの月1回の限定販売に徹し、ファンを引き付けている。20年の立ち上げ以来、全て手作りによる一点物。購入したくても、個数は限られる。それでも毎月の販売会には希望者が殺到する。欲しくても買えなかった経験が、欲しい気持ちを増幅している。
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ニュイは欧州で買い付けたビンテージクラスの古着を巾着に作り直す。パジャマなどから生地を取り、上質なスカーフを裏地に使い、福島を主力にした国内の縫製工場で丁寧に縫い合わせる。手の込んだ洋菓子を思わせる色の生地と組み合わせのセンスが特徴だ。肩にかける純パールのストラップが付いて3万~4万円。トートバッグもある。
顧客との接点はインスタグラム。商品のクローズアップ画像や優雅なワンピースとのコーディネートなどを見せる。届いた白い箱を開封し、ニュイの色鮮やかな巾着を取り出す動画など、欲しい気持ちを刺激する。毎週金曜日に更新し、フォロワーだけでなく、より広範囲に届くよう工夫を凝らす。
販売は月に1日。2週間前にインスタで一般販売の日時を告知する。ただし、先駆けて先行販売も実施。誰でも参加できる一般販売と違い、先行販売は抽選で50人に絞る。先行販売は欲しい商品を入手できる確率が高まるため、毎回300~500人が申し込む。しかし、倍率およそ10倍の抽選をくぐり抜けても、必ず購入できるとは限らない。月に50個生産したとして、先行販売への出品は30個程度。
なかなか買えないが、「買うまでのストーリーを大切にしたい」。買えなかった経験はストーリーを補強し、商品への愛着をより深める。ニュイは、古着をアップデートし新しい価値を与えるブランド。それだけに「大切に長く使ってもらいたい」。「可愛い」だけで買った商品なら、長くは使ってもらえないと考えるからだ。
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