国産テキスタイルへの関心は高い(PTJ25年春夏)
国内産地の疲弊が一番の問題――テキスタイル産業で高齢化への危機感が募っている。温暖化による気候変動や原材料費や物流費などコストの上昇、円安と、事業を揺るがす外的要因が様々ある中、人材不足は喫緊の課題になっている。産地プロジェクトへの参加や待遇改善などで対策を取る企業もある。
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(関麻生衣)
麻主力の織物メーカー、タケミクロスは「協力する機屋や染色工場で人手不足が深刻化している」と話す。遠州産地の活性化を目的にした若手プロジェクト、エントランスに参画、2カ月に1度のペースで市役所職員も交えた会議に出席し、産地の課題を共有している。
「工場を含め川上に携わる人が全般的に不足している」とはテキスタイル製造卸の宇仁繊維だ。直接取引する工場と異なり、下請け工場は実態を把握しづらく、「納期遅れで初めて気づく」場合もあるという。自社ができる範囲で状況を改善するため、人件費を含めた工賃アップなどは受け入れるようにしている。
経済産業省が22年に発表した21年度の「製造基盤技術実態等調査」によると、産地別の従業員数は90年との比較で毛織物の尾州産地が8割減、ニットの五泉産地が7割減、合繊の北陸産地が4割減など全体的に減少の一途をたどり、高齢化で生産効率が低下して出荷額も減っている。綿に強い三備産地は6割減だが、出荷額は10年よりも微増。岡山県と広島県の積極的な海外進出支援が実を結びつつある。
産地の人材不足を懸念する声は、国産テキスタイルを多く使うファッションブランドでも聞かれる。今月に開かれた商談会、プレミアム・テキスタイル・ジャパン(PTJ)には国内に加え、中国や韓国など海外からの来場者も多く、日本の技術が光る生地に関心が集まった。国内外からの需要をつかみ、繊維・アパレル産業を持続可能にするためにも、人を産地に呼び込む仕掛けが引き続き求められる。
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