NYから会津木綿を世界へ売る(左が筆者)
会津木綿工場「はらっぱ」の山崎ナナと申します。今、ニューヨーク(NY)に住みながら、リモートで創立120年の工場を運営しています。「リモートで働く」のもコロナ禍を経て一般に認識されるようになりましたが、事業承継時は多くの人が「???」状態でした。
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NYでの生活はこの夏10年目に突入します。それは、「はらっぱ」の歴史でもあります。私の渡米と事業承継は9年前の15年に同時にスタートしたのです。
やはり、布で物を作ろう
私は東京芸術大学卒業、大学院修了と同時に出産。自分で選択して一人親家庭として子供と暮らしつつ、08年にヤンマ産業(アパレル製造)を立ち上げ(14年に法人化)、16年目になります。
幼少期から服作りが趣味で、学生時代は舞台衣装製作に励んでいましたが、布の仕事=アパレル、アパレルといえば「セール」がある。むむむ、私は当時セールが大嫌いだったのです。10代20代お小遣いやバイト代をせっせとためて買った洋服が、数カ月後には半額になる! こんなにがっかりすることってありますか? 人をがっかりさせる仕事はしたくないので、アパレルに手を出すことはないな、とうっすら決意していました。
しかし、学生終了と同時に子育てもスタート、しっかり稼ぐ方法を考えないといけない。「やはり布で物を作ろう! 私なりにゴミを出さない方法で!」となったのでした。
そこで、近所の高齢者にお願いして必要な分だけ作ることを思いつきました。私の母親が洋裁師で、そういう人が周囲にいるのではないかと想像したからです。まず、シルバー人材センターに行き、家で縫製できる人を募集してもらいました。一人ひとりに材料を手渡し、期間を指定し縫ってもらい、回収しに行く――至ってシンプルな生産体制ができました。
ユニークであればこそ
ただ、これが非常に面倒くさいです。いちいちそんなことやってられるかーと、言われそうですが、私はこの後何年もして気が付くのです「面倒くさいことやったもん勝ち」と。とにかく少しでも面倒くさいことをした方が、ものは唯一無二になります。みんなが思いつくような簡単な方法を選べば、それなりのものがそれなりのコストでできますが、ユニークではありません。
そう、ここで出てきた「ユニーク」ですが、私はこの言葉がこれから世界を明るくする上でとても大事だと考えています。最近、色々なところで耳にする「多様性」(ダイバーシティー)の言葉も「個性」が分かっていてこその言葉だと思うからです! 次は「個性」と「ユニーク」についてお話しします。
(ヤンマ産業&会津木綿工場はらっぱ代表・山崎ナナ)
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