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国内主要百貨店6社(三越伊勢丹、髙島屋、大丸松坂屋百貨店、阪急阪神百貨店、松屋、近鉄百貨店)の2025年6月度の既存店売上高をレポート。同月は、前年の円安傾向とインバウンド需要回復による免税売上高の大幅伸長の反動で、各社ともに軒並み低調な売上を記録。阪急うめだ本店や松屋銀座は、改装に伴う仮設営業の影響なども受けて2桁減で着地した。
※売上増減率は各社いずれも確報値を参照。
※売上は収益認識基準ではなく従来の総額売上高で開示。

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三越伊勢丹:8.5%減
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三越伊勢丹の6月度売上高は、前年同月比8.5%減で着地。昨年実績が大きかった免税売上高の減退により、前年を下回る結果となった。一方、エムアイカード会員とアプリ会員による顧客識別化が順調に進んでいる国内顧客売上高は、首都圏を中心に堅調に推移した。
店舗別では、伊勢丹新宿本店は同9.5%減、三越銀座店は同11.5%減と、インバウンド客の売上比率が高い基幹2店舗での減少幅が特に大きい結果となった。国内客には、エムアイカード会員、アプリ会員、デジタルID会員を合計した「識別顧客」を中心に高付加価値商品への関心が継続。2025年プレフォールを立ち上げた伊勢丹新宿本店では、ラグジュアリーブランドやデザイナーズブランドを中心にすぐに着用できるアイテムが好調に稼働した。
同4.7%減だった三越日本橋本店では、「夏のあんこ博覧会」などの独自イベント開催により、新規顧客の来店促進に繋がったという。
髙島屋:2.1%減
髙島屋の6月度の国内百貨店既存店売上高は、前年同月比2.1%減で着地(客数同0.2%増)。前年が2023年対比で119.6%増と、過去最高水準の伸長を見せた免税売上高が同35.9%減と苦戦したものの、免税を除いた店頭売上高は1.9%減と微減にとどまった。
店舗別では、免税売上比率が低い日本橋店(同3.6%増)、玉川店(同8.6%増)、大宮店(同1.7%増)、EC店(同8.2%増)の4店舗が前年実績を上回った。玉川店の好調は、専門店でのリニューアルの波及効果も見られたという。
商品別では、家電(同37.1%増)や食堂・喫茶(同7.1%増)などがプラスで推移した。衣料品(同3.6%減)は、天候の影響により婦人・紳士ともにTシャツや半袖シャツといった夏物の動きが不振だった一方、朝晩の気温差への対応ニーズとして、ジャケットやブラウスなどが稼働。6月中旬以降は、気温の上昇とともに夏物も動き出したものの、前年実績には及ばなかったという。
大丸松坂屋百貨店:2.6%減
大丸松坂屋百貨店は、前年同月比2.6%減で着地(客数同2.6%増)。外商売上が引き続き好調だったものの、休日数が前年対比で1日減だったことに加え、免税売上高が同31.1%減、免税客数が同0.6%減、免税客単価が同30.7%減と大幅な減少により、ラグジュアリーブランドや婦人服などが前年実績を下回ったことが大きく影響した。
店舗別では、アニメ・キャラクターゾーンなどが好調に推移した梅田店が同10.0%増(客数同18.5%増)と前年実績を上回ったが、その他店舗は全て前年割れの結果となった。
商品別では、婦人服・洋品(同10.9%減)はジャケット、ブラウスなどのアイテムに動きが見られたが、訪日外国人客によるラグジュアリーブランド売上が大幅減となり苦戦。紳士服・洋品(同10%減)は、スポーツ・ゴルフ用品、カジュアルウェアなど全般的に不調だった。身の回り品(同30.5%増)はアクセサリーが売上を牽引したほか、外商催事の好調により美術・宝飾品(同5.8%増)の売上が伸長。食料品(同4.4%増)では、菓子やベーカリーなどが好調に推移した。
阪急阪神百貨店:12.1%減
高い前年実績の反動と円高傾向の定着により、免税売上高が前年対比で約4割減と、3月以降苦戦が継続。それに伴い、6月は阪神梅田本店を除く都心店の売上高が前年を下回り、阪急阪神百貨店全体の売上は、前年同月比12.1%減(客数同1.2%増)となった。一方、全店的に食品の売上は安定的に推移し、郊外店の売上高合計は前年実績を上回った。
好調だった阪神梅田本店は、同9.2%増で着地。5月21日からの改装で導入した大型専門店(梅田ロフト)と他売場との買い回りが多く、特にファッションとライフスタイルカテゴリーの売上高が前年の約1割増と好調だった。人気催事「食の阪神」の開催なども後押しとなり、店舗全体として売上が伸びた。
阪急うめだ本店では、前年は高い伸長率を維持していた免税売上高が約5割減となり、前年同月比18.2%減と低調な結果に。また、来春の全館リモデルに向けて6階の売場改装が本格化。婦人衣料が売場を縮小、宝飾品・時計は一部ブランドを除いて他フロアで仮設売場としての営業がスタートした影響も重なり、店舗全体として前年売上高を下回った。
カテゴリー別では、月前半の気温が前年に比べて低かったことから、パラソルやサングラス、サンダルなどの夏の実需アイテムの動きは低調。国内客には、ブライダルニーズでのアクセサリーや、ファッションブランドが展開するフレグランスなどを中心に香水が好調に稼働したという。
松屋:24.0%減
6月の松屋銀座店の売上高は、記録的円安となった前年実績の反動やルイ・ヴィトン改装の影響などにより、前年同月比24.0%減で着地。客数も同5.0%減となった。
館全体では、梅雨明けを思わせる気候により婦人衣料品の盛夏物商材が好調に動いたほか、プレステージラインの婦人衣料品は前年同月比6.7%増、国内客の売上高も同8.0%増と堅調に推移した。
一方で、免税売上高は、前年に対する買上動向の変化や、仮設営業が月中旬まで続いたルイ・ヴィトン改装等の要因もあり、ラグジュアリーブランドの実績が同約35%減と全体に大きく影響。6月21日にルイ・ヴィトンをリニューアルオープンしたことで、今後は集客と売上高の拡大を見込んでいる。
近鉄百貨店:3.0%増
近鉄百貨店は、百貨店事業全体の売上高が前年同月比3.0%増と堅調に推移(客数同1.7%減)。一方、あべのハルカス近鉄本店は、新規催事「関西の手土産」や人気物産展の売上が目標を上回ったものの、食料品売場のリニューアルに伴う売場面積減少や昨年のインバウンド活況の反動などにより、同7.8%減(客数同3.6%減)で着地した。
商品別では、衣料品は同7.5%減と紳士・婦人含む全カテゴリーでマイナス。家庭用品(同15.7%増)、食料品(同7.4%増)、雑貨(同22.7%増)は好調だった。
あべのハルカス近鉄本店では、6月に新規ショップが複数オープンし好調な菓子に加え、晴雨兼用傘パラソルや帽子、グローブといったUV対策商品、Tシャツやブラウスなどの盛夏物衣料が前年実績を大きく更新。また、大阪・関西万博オフィシャルストアは、あべのハルカス店、万博会場内店舗ともに目標を大きく超える売上で推移しているという。
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