

アーティスト 百瀬文の展覧会「ガイアの逃亡」が、gallery αMにて10月4日(土)から11月29日(土)まで開催される。
1988年東京に生まれ、2013年に武蔵野美術大学大学院造形研究科油絵コースを修了した百瀬文。
映像やパフォーマンスを中心に、他者とのコミュニケーションの複層性や、個人の身体と国家の関係性を再考する彼女は、近年映像に映る身体の問題を扱いながら、セクシュアリティやジェンダーへの問いを深く掘り下げている。

百瀬文《ガイアの逃亡》2025年、3チャンネルビデオインスタレーション、約40分
gallery αMのプロジェクト「立ち止まり振り返る、そして前を向く」の第3弾として開催される本展は、南フランスでのワークショップの記録映像と、モーションキャプチャーによる3DCG映像が交差する。
百瀬はギリシャ神話に登場する強く慈しみ深い地母神 Gaiaを、語る力を奪われ、動くことを諦めた女性として描き、その姿は環境破壊や植民地主義の暴力に晒された大地と重なる。
そしてそこには、沈黙と暴力の歴史にどう向き合うかという問いが立ち上がる。
その問いは、ワークショップの場で身体を媒介にした応答として展開。
ワークショップでは、精神科医 宮地尚子の著書「環状島=トラウマの地政学」の一節を読み上げる3人の参加者が登場する。
「所有」という言葉から想起される百瀬の問いかけに対し、参加者たちは時に「島」となった百瀬の身体に触れながら、それぞれの声で応答を試みる。
人間による自然搾取が引き起こす環境破壊と、男性優位の社会で女性が見舞われる不平等の根本的な構造は同じであると主張したかつてのエコフェミニズム。
それは同時に新たな命を生み出す女性の生殖機能の自然の生産性の関係性をたたえる傾向を形成し、1つの本質的なステレオタイプを生み出す要因ともなった。
そうした歴史を見つめる百瀬は、
「ギリシャ神話に登場する、強くて慈しみ深いGaiaのことをいったん忘れてみたい。
そしてGaiaという名前の、あるいはわたしだったかもしれなかった、どこにでもいる1人の女性のことを
想像してみたいと思う」
と本作について言葉を綴る。
女性に、そして大地に与えられてきた暴力。
人類全体の歴史と倫理を問う沈黙に、想いを巡らせて。
GALLERY αM
03-5829-9109
【Stop, Look Back, Face Forward. vol. 3 Aya Momose “Gaia’s Escape”】
DATE:10月4日(土)~11月29日(土)
※日曜、月曜、祝日休廊
TIME:12:30pm~7:00pm
PLACE:gallery αM
ADDRESS:東京都新宿区市谷田町1-4 武蔵野美術大学市ヶ谷キャンパス 2階
ADMISSION FREE
WEBSITE:gallery-alpham.com/exhibition/project_2025-2026/vol3/
最終更新日:
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