


1904年、スイス・ヘルシュタインで創業した「オリス」は、誠実なものづくりを貫く独立系時計ブランド。その日本法人代表に、2024年1月1日、ロベルト・プレイタヴィノさんが就任した。彼は、法律家、ビジネスコンサルタント、そしてラグジュアリーブランドの経営へと多様なキャリアを歩んできた人物。日本市場への深い見識と豊富な経験をベースに、”好きな分野で働く”という情熱が導いた転身のストーリー、そして「オリス」が掲げる「Make People Smile」を今後どのように日本で広げていくのか、そのビジョンを聞いた。
ロベルト・プレイタヴィノさん/オリスジャパン株式会社 代表取締役社長
イタリア・トリノ出身。大学で法律を専攻し、法律事務所勤務を経てビジネスコンサルティングの世界へ。欧州連合(EU)主催の研修プログラムに参加するため来日し、上智大学、三井物産で日本のビジネス文化を学ぶ。「ダミアーニ」の日本支社でリテールやセールスを経験した後、「ツヴィーゼル」の日本法人代表として約14年間にわたり従事。“好きな分野で働きたい” という想いから時計業界へと転身し、2024年オリスジャパン株式会社 代表取締役社長に就任。ブランドパーパスである「Make People Smile」を軸に、日本でのブランド価値向上に取り組んでいる。
法律家から国際ビジネス、そして時計の世界へ
ー まず、これまでのキャリアについて教えてください。
私は北イタリア・トリノ出身です。大学では法律を学び、卒業後は法律事務所に勤めていました。しかし、もっと国際的なビジネスの世界で働きたいという思いから、インターナショナルコンサルティングの分野に飛び込んだのです。海外へ進出したいイタリア企業のサポートに携わっていました。
そんな中、EUが主催する、日本のビジネス文化を学ぶプログラムに参加する機会がありました。1年半にわたって、40名ほどの若手ビジネスパーソンが日本語と日本のビジネス文化を学び、さらに日本企業で研修も行うという本格的なプログラムでした。さらに、上智大学では日本語やビジネス講義を受け、三井物産での研修にも参加。この時の経験は、私にとって大きな財産になっています。
ー EU主催の研修後、どのようなキャリアを積まれたのですか。
プログラム終了後は、イタリアへ戻りジュエリーブランドの「ダミアーニ」に入社しました。アジア市場の担当になり、日本、韓国、香港、台湾、中東などの地域を飛びまわっていました。私は日本語が話せたということもあり、日本の支社に派遣され、リテールマネージャーやセールスプロモーションなどを行っていました。
その後、ドイツのクリスタルグラスブランド「ツヴィーゼル」に転職し、日本法人の代表として14年ほどにわたり従事。当時、「ツヴィーゼル・ジャパン」はまだ小さな組織だったので、販売、PR、EC、ブランド戦略など、ほぼすべての業務に関わらせてもらいました。プレッシャーもありましたが、新しいことへのチャレンジは大きなステップアップにつながり、ブランドの確立、マーケットの拡大にも貢献できたと思っています。
ー その後、時計業界に転身された理由を教えてください。
新しい仕事を探していたとき、「自分の好きな分野で働きたい」という思いが強くありました。そして、若い頃から好きだった「時計」の業界に挑戦しようと決めたのです。私は時計マニアではありませんが、就職がしたときや何か大きな仕事を成し遂げたときなど、人生の大事なタイミングで自分に時計を贈ってきました。もちろん、大切な人へのプレゼントにも時計を選ぶことが多かった。そうした記憶の積み重なりで、時計を好きになっていました。だからこそ、この分野で働きたいと思ったのです。
そして、オリス本社のCEOに直接メッセージを送りました。コピー&ペーストのありきたりな文面ではなく、「本当にオリスが好きで、オリスで働きたいんだ」という情熱を伝えました。その想いが届いたのか、半年ほど経った頃、ちょうど日本代表のポジションが空くタイミングで声をかけていただき、2024年1月1日、オリスジャパンの代表に就任したのです。

これまでの経験を活かして、「自分の好きな分野で働きたい」という熱い気持ちからオリス本社CEOに直接メールを送ったと語るロベルトさん
「オリス」の哲学「Make People Smile」の実現に向けて
ー ロベルトさんにとって、「オリス」の魅力はどのような点にありますか。
「オリス」は121年という長い歴史をもつ、スイスの独立系時計ブランドです。独立系であることは、私にとって大きな魅力でした。意思決定にスピード感があり、本社とダイレクトにコミュニケーションをとることができる。自分のアイデアを提案できる自由度もあります。これは私にとって重要なポイントでした。
ブランドパーパスは 「Make People Smile(人を笑顔にする)」。セレブリティを起用して大きな広告を打つような企業ではありませんが、何気ない日常のシーンでふと目に入った瞬間にちょっとハッピーになれる、笑顔になれるような時計をつくり、お客様に届けています。
このメッセージは、ショップデザインや全国の専門店などで行うさまざまなイベントでも大切にしています。例えば、銀座のフラッグシップショップには、お客様同士が集まってお酒を飲んだり、ゆっくり時計の話ができるようなコミュニティースペースを設けています。広告塔のセレブリティがいなくても、オリスの世界観を理解し、製品を愛してくれているお客様が、私たちにとっての「アンバサダー」です。「オリス」の時計を通して味わった楽しい経験や感情が、アンバサダーたちのリアルな言葉によって広がれば、オリスのクラフトマンシップはもちろん、「Make People Smile」のコミュニティーも広がっていくと思っています。
イタリアには、「ピアッツァ(広場)」と呼ばれる場所があります。様々な人々が交わる、街の憩いの空間です。「オリス」もピアッツァのように、いろいろな人が集まり、自由に交流するコミュニティーが生まれる、あたたかな場所でありたいと思っています。

リニューアルしたばかりのオリス銀座ブティック
もっと広く愛される、独立系ブランドであるために
ーオリスジャパン代表としてのミッションを教えてください。
私のミッションは、日本でのブランド認知の拡大です。時計好きな方は「オリス」を知っていますが、ファッションやカルチャーに興味がある方々にはまだあまり知られていません。今後は、デジタルマーケティングやSNSを強化し、新しい層にアプローチしていきたいと考えています。実際、限定品の開発や「Oris Tomo(親しみを持つ仲間)」と呼ぶ、「オリス」の掲げるブランドバリューを体現する各分野の活躍者とのコラボレーション企画など、新たな挑戦を始めています。
さらに、チームカルチャーの醸成も大切だと思っています。「オリス」は小さい組織です。でも、だからこそ一人ひとりが主役になれる。互いにリスペクトし合い、アイデアを出し合い、共に成長しながら長く働き続けられる組織でありたい。これは、独立系ブランドだからこそ実現できる働き方だと思います。

1938年の誕生以来、多くの時計ファンたちに愛されているオリスのビッグクラウンシリーズ
ー 今後の展望について教えてください。
「オリス」が、日本でもっと日常的に愛されるブランドになることを目指します。時計好きだけでなく、ファッションが好きな人、旅が好きな人、カルチャーが好きな人、誰もが自分のライフスタイルに合わせて選べるブランドにしたいです。時計は、ツールとしての機能的な魅力はもちろん、修理をしながら長く使うことができるものです。代々受け継ぎ、時計に込めた記憶や想いと共に歴史を繋いでいくような、あたたかなストーリーを感じさせるものでもあります。そのような魅力も、多くの人に感じていただきたいですね。そして、私がそうであったように、「オリス」の時計を手にした人が笑顔になる瞬間をもっと増やしたい。「オリス」を好きな人の輪がグローバルに広がっていくことを目指したいです。
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