コレクション

　植田みずきが手掛ける「エンフォルド（ENFÖLD）」が、初のショー形式となる2026年春夏コレクションを新宿住友ビル 三角広場で発表した。　エンフォルドは、「マウジー（MOUSSY）」や「スライ（SLY）」の立ち上げに関わった植田みずきが2012年に設立。ブランド名はラテン語で「くるむ・抱きしめる」を意味する。「隠された美（HIDDEN BEAUTY）」をコンセプトに、身体を包み込むような構築的なデザインのアイテムを展開。昨年は、新しくハイエンドライン「アーキタイプ（archetype）」をローンチした。　今季のテーマは、「未知との共鳴」「違いを受け入れ、形を変えて進化する感覚」といったアイデアソースから、「ECHO PLANET」と題した。植田は、「1つの正しさだけではなく、いくつもの感性の層が共鳴し合う理想の世界を表現したかった」と語り、惑星の浮遊感をイメージしたという煙がステージ中央から上がりショーがスタートした。　ファーストルックはUFOを彷彿とさせるバケットハットに短丈のタンクトップとショートパンツのスタイリング。帽子を目深に被ったモデルが観客と目を合わせずに進む様子は、未知の生物との遭遇を予期させた。重力に逆らったヘアスタイルや、メタリックな仮面のようなメイクといった、SF的な演出も随所に取り込まれた。星の煌めきを落とし込んだ編み地のニーハイソックスや、グラフィックをあしらったタイツ、ロンググローブといった小物がスタイリングのアクセントに。煙が立ちこめる“地表“を闊歩するかのようなモデルの足元を彩った、カラフルなバリエーションのフリンジシューズはショーピースとして制作したという。　植田は「ショーで表現したことは物語の中に限定されたものではなく、ブランドの進化も表現している」と話し、身体を覆い包むようなフォルムが特徴のエンフォルドらしさに捻りを加えていった。モデルの動きとともに、コートの下の鮮やかな色使いのインナーがあらわになるスタイルや、ベストやビスチェにロンググローブを掛け合わせたルック、ボディスーツにニーソックスを合わせたスタイリングも目を引いた。全てを覆い隠すのではなく、時に大胆に露出することで、ブランドコンセプトに対する新しい挑戦を試みた。　ショーを終えた植田は、「ブランド誕生から13年間、色んな形で進化してきたことを表現できたと思う」と笑顔を見せた。「10年目くらいから毎シーズン、テーマに合わせてルックだけでなく動画などでも発表してきたが、それだけでは足りないほど表現したいことが溢れてきた。以前はまだ自信がなかったが、今は自信を持って挑戦できると思った」とショー形式での発表に踏み切った理由を明かした。　同ブランドはこれまでに、韓国を中心としたアジアや、一時期はアメリカにも進出。植田は海外での展示会を通じ、ブランドの世界観やストーリーを的確に伝えることの重要性を実感したといい、ショー形式での発表は、グローバル展開への布石だという。今後は、同じくディレクションを手掛ける「ナゴンスタンス（någonstans）」と共にショー形式での発表を継続し、時期も「Rakuten Fashion Week TOKYO」と合わせる意向を示した。ブランドの世界観を固めながら発信を強化し、アジア以外に欧米圏への拡大も目指していく。

ENFÖLD

2026 Spring Summer

　「ビビジ ワールド（VIVZ WORLD）」が発表した2026年春夏コレクション。

VIVZ WORLD

　「MARRKNULL × DAPHNE.LAB」が発表した2026年春夏コレクション。

MARRKNULL

DAPHNE.LAB

MARRKNULL × DAPHNE.LAB

　小林裕翔による「ユウショウコバヤシ（yushokobayashi）」が、2026年春夏コレクションをランウェイショー形式で発表した。会場は下北沢の「ADRIFT」。　2026年春夏コレクションのタイトルは「マリオネット（Marionette）」。小林は本作を「怒りのコレクション」と位置づける。一見穏やかな日々の中でも、ふとした瞬間に苛立ちが顔を出し、とりわけ「思うようにできない自分」への怒りは幼少期から変わらず胸の奥に居座り続けてきたという。そうした根源的な感情を創作の起点に、チェコで観たバレエ作品「コッペリア」に潜む不条理さに「腹が立った」体験が重なり、コレクションの方向性が形づくられていったと語った。　ショーでは、「人形師が作った人形が人形師になり、逆に人形師が人形になる」という入れ子構造を持つ「コッペリア」の世界観を演劇的に表現。物語の構造を踏まえながら、その中に潜む“怒り”をファッションとして再構築した。ブランドに対して「可愛い」という声が多く寄せられる中で、以前から「可愛いけど、可愛いだけじゃない」という思いを抱いているという小林。「分かってほしい気持ちと分かられたくない気持ちがある」という相反する感情もまた、同氏の中で"怒り"として存在しており、その複雑な心理をデザインの細部に落とし込んだ。　シフォンやレースといった可憐な素材にはあえてダメージ加工を施し、ふんわりとしたシルエットの中には、粗いコットンや包帯のようなリネンなどの無骨な素材を混合。柔らかな空気の中に違和感を忍ばせた。ソックスやシューズにはボタンや小石、ビジューなどが縫い付けられ、まるで幼い頃に大切にしていた宝箱を当てもなくひっくり返したような、不気味さと懐かしさが同居する。ブランドのアイコンでもあるニットアイテムは、あえてほつれや歪みを残したデザインに。手癖や自由な発想をより重視し、スタッフがフリーハンドで描いたパターンをそのまま採用するなど、より直感的でパーソナルな製作を重視したという。　ショーの中盤では、アーティストのUamiがパフォーマンスを披露。「それでいいわ、心地いいから」という歌詞が響く中、幼い子どもが好きなものだけを選んで身につけたような、ちぐはぐで自由、そして危うい雰囲気を纏ったモデルたちがゆらゆらと歩いた。継ぎ接ぎのワンピースを纏い、憂鬱そうに虚空を見つめるモデルは、まるで彷徨う操り人形。可愛らしさの裏に潜む怒りと孤独を映し出すように、ユウショウコバヤシの「マリオネット」は、繊細で不穏な美しさを放っていた。　なお、同ブランドは、東京都と一般社団法人日本ファッション・ウィーク推進機構（JFWO）が主催する第11回「TOKYO FASHION AWARD 2026」を受賞。今後は同賞のサポートのもと、パリファッションウィーク期間中の展示会出展や、2026年3月開催の「Rakuten Fashion Week TOKYO 2026 A/W」でのコレクション発表などを予定している。

yushokobayashi

繊細で不穏な“怒り”のかたちを表現

　「ONES TO WATCH 02」が発表した2026年春夏コレクション。

ONES TO WATCH 02

　「UDGN」が発表した2026年春夏コレクション。

UDGN

　「ジニー リッチャー（GINNY LITSCHER）」が発表した2026年春夏コレクション。

GINNY LITSCHER

　「NIF × LONDON SCHOOL OF TRENDS」が発表した2026年春夏コレクション。

LONDON SCHOOL OF TRENDS

NIF × LONDON SCHOOL OF TRENDS

　「パール アカデミー（PEARL ACADEMY）」が発表した2026年春夏コレクション。

PEARL ACADEMY

　「オリビア ブラック（OLIVIA BLACK）」 が発表した2026年春夏コレクション。

OLIVIA BLACK

　「フレア ファッション（Flair Fashion）」が発表した2026年春夏コレクション。

Flair Fashion

　「SPILL THE T. 」が発表した2026年春夏コレクション。

SPILL THE T.

　「THINGS I MISS」が発表した2026年春夏コレクション。

THINGS I MISS

　「SANIJA REJA ASKE × SOFIANOGARD」が発表した2026年春夏コレクション。