オールブラックスがラグビーワールドカップ2019で着用するユニフォーム
オールブラックスがラグビーワールドカップ2019で着用するユニフォーム
Image by: アディダス

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アディダスによるラグビーNZ代表オールブラックスの黒ジャージ、Y-3山本耀司が挑戦したデザインの裏側

オールブラックスがラグビーワールドカップ2019で着用するユニフォーム
オールブラックスがラグビーワールドカップ2019で着用するユニフォーム
Image by: アディダス

 9月20日、アジア初となるラグビーワールドカップが日本で開幕する。3連覇を狙うニュージランド代表「オールブラックス」の今大会着用ユニフォームは、デザイナーの山本耀司とアディダス(adidas)の協業ブランド「ワイスリー(Y-3)」がデザインした。オールブラックスのユニフォームをファッションデザイナーが手掛けるのは初めて。伝統の黒をまとうオールブラックスと、服飾史に残る「黒の衝撃」でも知られる山本耀司が出会うことで、もたらされた進化とは――。長年にわたりオールブラックスのユニフォーム製作に携わるアディダスのカテゴリーディレクター、マット・スコッティに聞く。

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―オールブラックスにとって初のコラボレーションですが、なぜワイスリーだったのでしょうか?

 開催地が日本ということで、他のブランドやチームには絶対にできないようなコラボレーションになると確信したからです。というのも、アディダスはすでに世界一のチームであるオールブラックスとも、世界的なデザイナーである山本耀司さんとも関わりがありました。なので今大会でのジャージ製作は、私達のブランド力を試す場でもあったんです。

―どのように製作を進めたのでしょうか?

 アディダスがパフォーマンスや機能性といったテクノロジー開発を進め、ワイスリーはデザインを担当しました。デザインについてワイスリーには、オールブラックスのホームジャージでは「黒であること」「シルバーファーン(シダの葉)を入れること」の2点を守ってもらうようお願いしました。

 この2点は、1893年にニュージランドのラグビー協会の総会で決まったことで、1897年から1991年まではシルバーファーンの入った黒のトップスに、当時はニッカポッカと言われていた白いショーツを組み合わせたものをユニフォームとして着用していたそうです。現在、ショーツは黒ですが、トップスのデザインの伝統は変わらず受け継がれています。

 山本さんはニュージーランドの文化を理解し、日本人の視点からオールブラックスが求めるジャージを作ってくれると思っていました。でも、クリエイティブ過ぎると受け入れられないかもしれない。なので、ニュージランドのラグビー協会にも事前に「少し変わったものが出てくるかもしれません」という話をしていました。

―マットさんは、ワイスリー、オールブラックス、ニュージーランドラグビー協会、そしてアディダスの橋渡し的な役割とのことですが、コラボレーションならではの大変さはありましたか?

 デザインはオールブラックスのニュージーランドの伝統や、チームの力強さ、絆といったメッセージを表現するものなので特に慎重に、神経をすり減らしながら各団体と話を進めました。ワイスリーとしては「日本とニュージーランドの文化をつなげたい」という思いがあったのですが、ニュージーランドの文化を日本の視点で解釈するということが大変でした。というのもニュージランドではマオリの伝統に誇りがあるので、もしマオリの要素を取り入れるのであれば、マオリ族の代表の承認が必須になります。また、伝統は、感傷的で文化的要素が大部分を占めるので、何が正しいかという明確な答えがなく、とても苦労しました。

 その中で、山本さんがマオリと日本の繋がりとして見出したキーワードが「ガーディアン(守護)」。マオリでは、陸、海、空といった自然の環境にいる人々を守るという「カイティアキ(kaitiaki)」という考え方があります。

 カイティアキは形があるわけではありませんが、この概念に似ている日本の守護として山本さんは、幸運や富をもらたらす「招き猫」をイメージ。2つを組み合わせて今回のために考案したのが「フクネコ」という守護でした。オールブラックスの選手たちが日本に滞在し、日本で戦っている間に、彼らに幸運や繁栄、福をもたらしてくれる架空の存在です。

 上がってきたホームジャージデザインは、全面に手描きのシルバーファーンがあしらわれ、その中に架空のガーディアンであるフクネコが紛れているというものでした。このデザインは、それまで懸念していたことが嘘のように、私がオールブラックスと関わってきた数年の中で、一番すんなりと採用されたんです。

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