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潜在意識へのダイブで導く集団心理の変化──ANTHEM A 2026年秋冬コレクション

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Image by: 越智康貴

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「アンセム エー(ANTHEM A)」は、今回はじめて知ったブランドだった。2021年秋冬スタートで、性別、時代、文化等を掛け合わせたスタイルが得意だと紹介を受けた。

 今季は「INNER UNIVERSE」と銘打って、“主観的に捉えた私”を表現したという。日常で目を向けることのない潜在意識に深く潜り、隠された感情や衝動を拾い上げる。

 滑らかなサマーウールのスーツには腰にハンドクラック加工を施されたブルゾンが巻かれ、ストライプのニットプルオーバーはシワ加工によって線が歪み、蛍光に近いグリーンのブルゾンや赤いニットジャケットにはそれぞれチャコールグレーのアイテムが合わされている。ルック全体を通して、素材や色彩の対比が目を引く。そういった表現が、ただ極端なコントラストをつくるのではなく「こんな組み合わせ、自分もしてみようかな」と思える提案になっていることが、ブランドの器用さを表しているように思える。

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 洋服そのものもスタイリングも、過剰と言えるものはほとんどなく、違うルックで登場しているウェア同士を入れ替えても成立させられそうで、ブランドの根幹にある美意識が一本の線となっていることがわかる。頭の中でルックとルックをつなげられる。それを着ている自分が容易に想像できる。

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 職人とのリレーションによって素材に独自の加工を施し、特殊な仕様で作られたという服の数々は、構造の新しさやフレッシュな捉え方でのアプローチとしてリアルクローズの可能性を拡張していく。テクニックばかりに焦点を当てるとデイリーユースから離れてしまう場合が多い中、しっかり現代社会にフィットするように計算されていて好感が持てる。

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 ランウェイショーと聞くと、つい、何か特別なことを表現する場という前提や、エポックメイキング的な服たちの登場の期待がどうしても浮かんでしまうけれど、派手な演出や驚きを武器とせずに、こうやって静かに日常に対してアプローチするような方法もあるのか、と考えさせられた。まもなくフィナーレが訪れ、ランウェイは夜の海みたいに光を受け、連なって歩くモデルを反射させていた。

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 着飾るということは主に顕在意識の表れで、基本的には自我の表出がテーマとなっていると思う。けれど自身の潜在意識に目を向けることで結果的に集合無意識に──集団の夢のようなものに──働きかけるようなコレクションとなっていた。

ANTHEM A 2026年秋冬

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越智康貴

Ochi Yasutaka

1989年生まれ。表参道ヒルズで『DILIGENCE PARLOUR』というフラワーショップを運営しながら、花を中心に、文章、写真を使いさまざまな制作活動を行なっている。

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