ADVERTISING

気温で決める、ロジカルな服装の選び方

寒いとき、暑いときに効果的な対策も紹介

クロー値図

Image by: FASHIONSNAP

クロー値図

Image by: FASHIONSNAP

気温で決める、ロジカルな服装の選び方

寒いとき、暑いときに効果的な対策も紹介

クロー値図

Image by: FASHIONSNAP

 あなたはその日に着る服を、どうやって決めていますか? 多くの方が参考にしているのは、天気予報の気温ではないでしょうか。今回は、気温をもとにロジカルに快適な服が決められる「クロー値」という数値を紹介。また、寒いとき、暑いときに効果的な対策もピックアップしました。

ADVERTISING

服の暖かさを表す数値、クロー値とは

 クロー値とは、衣類の保温性を表す数値です。つまり、その服を着るとどれくらい暖かいのかがわかる値です。

 研究によると、人間は皮膚の表面温度が約33=室温が約30であるときが一番快適だそうです(年齢や性別などで変化)。その理由は、人間が常に体温をほぼ一定に保つ恒温動物だからです。人間は、食事で摂取した炭水化物を筋肉で燃焼することで熱エネルギーを発生させて体温を維持しますが、長い歴史の中でその補助として衣服を使うようになりました。人体と衣服との間にできる隙間の温度・湿度・気流を衣服内気候と言いますが、衣服内気候の気温が約31度から約33度の間だと快適に感じ、約30度以下、約34度以上になると不快に感じ始めるそうです。

 クロー値は、気温が30度以下のときに活用できます。例えば、気温が21度のときに、皮膚の表面温度を33にするために必要なクロー値が1.0、つまり1クローです。気温が12度のときは2クロー、気温が3度のときは3クローと、気温が9度下がるごとに着る服を1クロー分増やせば、快適な皮膚温度が得られます。30度からマイナス20度までの気温に対応するクロー値を表にすると、このようになります。

気温・クロー値対応表

気温・クロー値対応表

Image by: FASHIONSNAP

気温が21度のときに快適な服を「論理的」に選ぶ

 クロー値を使って、気温が21度のときに快適な服を選んでみましょう。気温が21度のときには1クローの服が必要になります。クロー値は、半袖Tシャツなら0.1クロー、長袖カジュアルシャツなら0.3クロー、という風に表現します。おおまかに全身のコーディネートで1クロー分となるアイテムは以下の通りです。(各アイテムのクロー値はFASHIONSNAPが調査・算出)

①ドリズラージャケット(0.37クロー)+②カジュアルシャツ(0.3クロー)+③Tシャツ(0.1クロー)+④スラックス(0.22クロー)+⑤トランクス(0.05クロー)+⑥靴下(0.03クロー)+⑦革靴 (0.03クロー)=1クロー

 ここで一点ご注意いただきたいのが、クロー値は服の素材や着用の仕方によって変化するということです。世の中にある全ての半袖Tシャツのクロー値が0.1である、という訳ではありません。例えば、全く同じデザイン、仕様のジャケットでも、素材がウールなのか、コットンなのかでクロー値が変わる可能性があります。また、素材も仕様も全くジャケットを着た場合でも、前のボタンを開けているか、閉めているかによって、クロー値は変化します。ですので、ここで紹介する内容はあくまでも目安になりますが、コーディネート選定のおおまかな参考にはなるでしょう。

  例をもうひとつ。気温が15度のときはどうでしょうか? 例年の東京ならば、11月の平均気温が最高17度、最低12度で、その日の平均気温が15度前後になりますが、気温が15度で必要となる1.67クローは、このようなコーディネートで得られます。

① ピーコート(0.55クロー)+②ネルシャツ(0.35クロー)+③サーマルTシャツ(0.3クロー)+④ブラトップ(0.06クロー)+⑤アコーディオンプリーツスカート(0.2クロー)+⑥タイツ(0.15クロー)+⑦ショーツ(0.03クロー)+⑧皮靴(0.03クロー)=1.67クロー

 もう少し下がって、気温が5度の場合は必要となるクロー値は2.78で、それに対応できるのはこのようなコーディネートです。

①N-3Bジャケット(1クロー)+②シェットランドセーター(0.37クロー)+③ バッファローシャツ (0.37クロー)+ ④サーマルTシャツ(0.3クロー)+⑤オーバーオール(0.35クロー)+⑥タイツ(0.15クロー)+⑦トランクス(0.05クロー)+⑧ ニット帽 (0.04クロー)+⑨ハイソックス(0.06クロー)+⑩ブーツ(0.1クロー)=2.77クロー

快適に過ごせる羽織りアイテムをクロー値で選ぶ

 服を着たり脱いだりすることで、気温の変化に対応することもあるでしょう。そんなときも、クロー値が役に立ちます。例えば、昼の最高気温が24度で、夜に21度まで下がる場合、昼夜の気温差は3度です。昼は24度で快適なコーディネート(=クロー値0.56)を着用。夜になって気温が下がったときは、クロー値0.33前後のアイテム(カーディガンはクロー値0.35)を羽織ると快適です。

カーディガン(クロー値0.35)

 旅行のときにもクロー値が役立ちます。馴染みがない旅行先だと、どういった服を持って行くのか迷うことがよくありますが、あらかじめ天気予報で旅先の気温を調べておけば、その気温に応じたクロー値のアイテムを用意しておくことができます。

寒いときに効果的なのはこんな服

 クロー値以外にも、寒いときに効果的なアイテムや着用方法はいくつかあります。以下、番外編として紹介します。

寒いときは冷点を暖めると効果的

 クロー値以外の、寒いときの対処法を紹介します。人間の体には、「温点」と「冷点」という温度を感知するセンサーがあります。温点は熱さを、冷点は冷たさを感じるところですが、人間にとって熱さよりも冷えの方が脅威なので、冷点の数は温点の10倍と、圧倒的な差があります。お腹を冷やすと体を壊しやすいなどと言われるのは、お腹に冷点が多いから。寒いときは腹巻きや手袋、靴下などで冷点が多い顔面、うなじ、腰、下腹、手のひら、足裏を暖めると効果的です。

確実に暖かさが得られるヒーターウェア

 カイロや湯たんぽのように、熱を発する機能を備えたウェアで、体を暖めるという方法もあります。ヒーターウェアの多くは、背中や首、ポケットなどに備えたヒーターをバッテリーで稼働させる仕組みです。バッテリーを充電する手間や、一般的な服よりも重量があることなどのデメリットはあるものの、バッテリーが続く限り確実に暖かさが得られます。これまではワークウェアやバイクウェアが中心でしたが、最近はビジネスウェアやルームウェアなど、普段の生活にも取り入れられるアイテムも増えています。

寒いときの対策まとめ

 寒いときに試してみたい方法をまとめてみました。自分の用途にマッチした方法を取り入れてみて下さい。

  • クロー値を利用してその日の気温に最適な服を選ぶ
  • マフラーや手袋などの小物で冷点を暖める
  • ヒーターウェアで体を暖める

暑いときに効果的なのはこんな服

 日本の夏の暑さは年々厳しさを増しています。暑さ対策として効果的な方法のひとつが、体温の上昇を防ぐこと。気温が上がると、体温も上昇します。体は汗を出し、その気化熱で体温を下げようとしますが、その他にも体温の上昇を抑えたり、体温を下げたりする方法があります。暑さ対策を謳った、様々な服やグッズが販売されていますが、それぞれが具体的にどういった効果があるのかをきちんと理解しておくと、そのときの暑さやシーンにマッチした対策が選べるでしょう。

気化熱放散

 最もシンプルな方法は、衣服の通気性を高めて汗の気化熱放散を促進させることです。アロハシャツやかりゆしのように、襟元などをゆったりとさせ、通気性を高めた服もこれに当たります。メッシュ素材などの通気性の高い生地を使用することも、気化熱放散に効果的です。

アロハシャツ

 そのほか、気化熱放散を促進する服として挙げられるのが、ワークウェアだけではなく日常着としても見かけることが増えてきた空調ウェア。バッテリーでファンを回して服の中に強制的に気流を起こすので、より効率的に気化熱放散することができます。

赤外線遮蔽

 太陽光を浴びると暑く感じるのは、熱線である赤外線を含んでいるから。木陰に入っただけで涼しく感じるのは、赤外線が遮断されるからなので、赤外線を遮蔽することで体温を上がりにくくすることも効果的です。紫外線カット機能を備えた暑さ対策グッズは数多くありますが、紫外線(UV=ultra violet)は主に日焼けの原因となるもので、そういったグッズでは赤外線(IR=infra red)は防げません。赤外線カット素材を用いた服や日傘、帽子、アームカバーなどであれば、体温の上昇を防ぐことができます。

クーリング

 体の中を循環する血液を冷やすことで、体温を下げることができます。熱中症になったとき、体に水をかけたり、アイスパックを首や脇、鼠径部などに当てて対処することがありますが、この仕組みを応用したグッズも多数販売されています。代表的な例が、首に付けるクールバンドです。冷凍庫で凍らせたリング状の保冷剤をそのまま首に付けるものや、凍らせた保冷剤をネックバンドに入れるものなど、様々なタイプのクーリンググッズが市販されています。

 首元を冷やすネッククーラーや、冷却した水を循環させる水冷ベスト、ワークマンなどが発売して話題となったペルチェベストなど、電力を使った冷却プレートを用いたグッズも増えています。こういった電動のグッズは、バッテリーが続く限り冷感効果が期待できます。

接触冷感

 実際に体温の上昇を防ぐ効果はありませんが、冷たさを「感じる」ことで、暑さによる不快感を軽減することが可能です。肌の熱が熱伝導率や熱拡散率が高い生地に移動することで、人間は冷たさを感じます。このメカニズムを利用したのが接触冷感で、具体的には、麻や絹、レーヨン、ポリエステル、キュプラなどが、接触冷感生地として知られています。リネン素材は接触冷感性だけでなく、通気性や抗菌性、吸水速乾性も高いので、シャツなどの夏の衣服の素材として広く利用されています。近年は接触冷感機能を高めた化学繊維も数多く開発されており、スポーツウェアやワークウェアなどに用いられています。

 また、羊毛からつくられるウールは、接触冷感性は備えていないものの、調温性があり、吸水速乾性や抗菌防臭性もあるので登山などのアウトドア向けインナーの素材として用いられています。

夏ファッション、こうやって体温の上昇を防ぐ

 体温の上昇を防ぐことを目的にしたファッションを具体的に紹介します。もっとも効果が期待できるのが、最新技術を用いたウェアを複数用いることです。空調ウェアとペルチェベストを併用すれば、冷却プレートで生まれた冷気が服の内部に拡散されるため、ずっと冷風機を浴びているような感覚が得られます。ファンの駆動音やバッテリーの重量などのデメリットもありますが、そういったことが気にならなければ、非常に高い効果が期待できます。

ワークマンの空調ウェア着用画像
ワークマンのペルチェベスト

ワークマンの空調ウェア

Image by: FASHIONSNAP

 機能性を高めたアウトドアウェアや、スポーツウェアを活用するのも効果的です。例えば、「ミズノ(MIZUNO)」の「アイスタッチ」は、汗の水分を吸って温度を下げる機能を備えています。Tシャツやタンクトップといった一般的なインナーも展開されているので、いつものファッションに気軽に取り入れられます。

 効果は限定的になりますが、天然素材を使ったウェアでも、体温の上昇を防ぐことは可能です。リネン素材やシルク素材などの接触冷感性を備えた生地や、シアサッカー素材やメッシュ素材などの通気性が高い生地を用いたウェアならば、体温の上昇防止を期待しつつ、夏らしい清涼感のあるファッションが楽しめます。こういったウェアに加えて、帽子や日傘などを活用すればより効果が高いでしょう。

暑いときの対策まとめ

 暑いときに試してみたい方法をまとめてみました。

  • 気化熱放散や赤外線遮断機能を備えたアイテムで体温の上昇を防ぐ
  • ペルチェベストやクールバンドを活用して血流を冷やすことで体温を下げる
  • 接触冷感機能を備えたアイテムで暑さによる不快感を軽減する

クロー値を活用して快適なファッションを楽しもう

 気温が30度未満の場合は、クロー値を活用すればその日の気温に対して快適な服装を論理的に決められます。特に旅行で慣れていない場所に行くときは、自分が持っているアイテムのおおまかなクロー値を把握していると、無駄のない準備ができるようになるでしょう。暑いときも、どういったアイテムにどんな効果があるのかを把握できていると、より快適性が高まります。その日着る服は「なんとなく」で決めてしまいがちですが、それぞれのアイテムの特徴をきちんと理解しておいて、より快適なファッションを楽しみましょう。

最終更新日:

ADVERTISING

TAGS

記事のタグ

Image by: FASHIONSNAP

現在の人気記事

NEWS LETTERニュースレター

人気のお買いモノ記事

公式SNSアカウント