Image by: FASHIONSNAP
スペイン バルセロナ発の個性派ファッショニスタを魅了するブランド「デシグアル(Desigual)」が、デザイナーのジョンソン・ハーティグ(Johnson Hartig)とのコラボレーションコレクションを発売しました。ジョンソン・ハーティグは2001年に自身のブランド「リバティーン(Libertine)」を立ち上げ、ファッション業界にまだ「アップサイクル」という言葉がなかった時からリサイクルウェアに注目していたデザイナーです。その才覚はカール・ラガーフェルドやアナ・ウィンターなど、ファッション業界の巨匠たちが認めたほど。海外での知名度は抜群ながら、日本国内ではまだまだ知らない人も多いハーティグさんに、話を聞きました。
ーファッションに興味を持ったのはいつ頃でしたか?
ADVERTISING
印象に残っているのは母がカクテルパーティーの準備をしている姿です。僕はまだ幼かったですが、自らの雰囲気を一変させることができるドレスやパンツスーツ、スパンコールのトップスに興味を持ったことをよく覚えています。その時に初めて、服を着ることで変わる心理や感情に関心を持つようになりました。
ーでは、ファッションデザイナーを志したきっかけは?
「スタイルを通して自分自身を発見すること」に気がついた時ですね。ご存知の通り、1980年代後半のロンドンではパンクスタイルが流行し、当時10代だった僕もパンクスタイルに興味を持ちました。そんな中、流行しているパンクスタイルを着ることで新たな自分を発見できた気がしたんです。装いを変えれば、パンクロッカーにも、ロマン主義者のようにもなれる。装うということは信じられないほど幻想的な自分だけの瞬間だな、と思いました。
ーハーティグさんは2001年にデビューしたブランド「リバティーン(Libertine)」でメンズウェアとウィメンズウェアのどちらも手掛けています。メンズウェアとウィメンズウェアをデザインする際にアプローチの違いはありますか?
いいえ、まったく違いはありませんよ。たしかに、私たちのブランドは主にウィメンズウェアを主軸に据えているので、メンズウェアよりもウィメンズウェアのことをよく考えています。しかしリバティーンの理念はどちらも同じです。
ー具体的にはどの様な理念ですか?
装飾や印刷、テキスト、色、パターン、そして私が「好きだ」と思えたものの全てを表現することです。
ーハーティグさんは自分が良いと思えるものをどのように見つけ出しているんですか?
本当に様々なところからです。文学であれ歴史であれ、何かを調査していない瞬間はありません。私は特に中東を旅するのが大好きで。最近では、シリアの首都であるダマスカスなどで使用されているタイルや、14世紀から20世紀初頭まで存在していたオスマン帝国※の服や装飾品に魅了されています。あとはやはり、花などの自然ですね。私はデザイナーである一方で、庭師なんです。余暇のほとんどを花の勉強や植え込み、庭いじりに費やしています。
※オスマン帝国:現在のトルコ共和国
ーガーデニングのどこに魅力を感じていますか?
僕はファッションで培ったものを住宅設計やガーデニングデザインにも適用しています。「基礎を応用することでトータルをまとめ上げる」というのはファッションもガーデニングも同じ原理だな、と感じています。
ーハーティグさんといえば花のように鮮やかなデザインが特徴的ですが、時代の移り変わりと共に現在はミニマルでシンプルなデザインの方が多くの人に受け入れられやすいように感じます。なぜ色鮮やかなアイテムにこだわるのでしょうか?
ミニマルでシンプルなデザインは信じられないほど退屈だと感じているからです。パターンが特徴的な服やプリントデザインが施された服を着るには自信と知性が必要ですが、ミニマリストよりも彼らのほうがずっと人として興味が湧きます。黒やグレーの服を着るのはとても簡単ですし、最も単純なルートかも知れませんが「何かを着て少しでも自分らしさを表現したらいいのに」とどうしても思ってしまいます。何かを装うことで、誰かに少しでも喜びや興味、魅力を提供できるなら何故そうしないのでしょう?
ー約20年という長いキャリアを持つハーティグさんですが、どのようにファッション業界に影響を与えたと考えていますか?
とあるファッション専門家が私たちリバティーンのことを「21世紀で最もコピーされたブランド」と呼んだんです。10年前から注目していたリサイクルウェアや、極端な形のデザイン、装飾は近年様々なブランドで見かけます。特に「グッチ(GUCCI)」のコレクションでは毎シーズン私たちのかつてのアイデアがたくさん登場するようになりました(笑)。私たちは小さなブランドでしたが、ファッション界に大きな影響を与えていたようなのです。
ーデシグアルとのコラボの経緯について教えて下さい。
お話を頂いたのは約1年半ほど前でした。デシグアルと10年間に渡って仕事をしてきたデザイナー、クリスチャン・ラクロワ(Christian Lacroix)が僕を推薦してくれたそうです。そこからバルセロナに何度か足を運び、今回のコレクションを発表するに至りました。
ー自身が手掛けるブランドと、デシグアルとのコラボではデザインする上に何か違いはありましたか?
違いはありませんでしたよ。というのも、デシグアルとリバティーンのクリエイティビティはとても似ているんです。私たちは「色やプリント、パターンを通じて視覚的に自分自身を表現出来るようにデザインをする」という点で似たような考え方をしていると思います。
Desigual x Johnson Hartig コレクション
ー今回のコラボにおいて最も意識したことはなんですか?
まずはできる限り地球環境に配慮したことです。次に、人々が驚くようなユニークなものを作ることを特に意識しました。何故なら、そのどちらもがデシグアルと私の一致する精神だったからです。私たちは、所謂「ニッチな層」に届けつつ、満足してもらい、その上でリピートしていただくことが重要だと思っています。
ー最後に今回のコラボの魅力はどんなところにあると思いますか?
今回のコラボは、人々に喜びを与え、カラフルな服を着て外に出るリスクを楽しむことができる服だと思っています。着ている人はもちろん、今回のコラボアイテムを着用している人を見る町中の人にも関心を持ってもらえるんではないでしょうか。
ADVERTISING
RANKING TOP 10
アクセスランキング