「DEVOA」デザイナーの西田大介
Image by: FASHIONSNAP.COM

Fashion

スポーツの世界からファッションデザイナーへ、人体を熟知した「DEVOA」の服作りとは

「DEVOA」デザイナーの西田大介
「DEVOA」デザイナーの西田大介
Image by: FASHIONSNAP.COM

 スポーツインストラクターからデザイナーに転身した異色の経歴を持つ、メンズファッションブランド「デヴォア(DEVOA)」のデザイナー西田大介。体で学んだという、スポーツ医学の知識と経験に基づいた服作りとは?

 

飛び込んで体で学んだ服作り

 西田は20歳の頃、スポーツインストラクターとして活動しながら、運動力学や栄養学など人体について学んでいた。キャリアからすると将来はカイロプラクターか柔道整復師が有望だったが、思いがけない声が掛かったことから、異なる道が開けた。

 「店をやってみないか」。

 その店とは、名古屋の小さなセレクトショップ。もともと服が好きで、古着のリメイクが得意だった。店長兼バイヤーを引き受けることになったのだが、次第に「自分で作りたい」と思うようになっていったという。

 いざ作ろうと決めたものの、必要なことや習わしなど、わからないことだらけ。0からのスタートだったが、持ち前の行動力で機屋や工場に飛び込んで現場で学び、またパタンナーとの出会いもあって、なんとか服作りのベースができていった。

 作った服は「着て欲しいと思える人が集まる場所」に飛び込み営業。セレクトショップなどではなく、カフェやレストランの一角に服を置かせてもらい、自ら来店客に声を掛けて販売するという直売スタイルだ。従来にはないやり方で模索しながらも、スポーツのように鍛錬を重ねた。

 名古屋から上京して1年目には、服作りを続けながらセールスエージェントとして就職。全国のセレクトショップを回りながら、小売の仕組みやセールスに関する知識を体で覚えていったという。「お店というのは生き物で、扱う品は変わっても、人は変わらない。人と人とのパートナーシップについても学びました」。

 それらが生かされたのが、2008年に「デヴォア」として初めて開催した展示会だ。手当たり次第に人を呼ぶのではなく、信頼できる13人のショップオーナーのみに手書きの招待状を送った。結果的に11件の契約が決まり、本格的にブランドとして動き出したのがこの時。その後も国内の卸を開拓しながら、パリに出展し数シーズンをかけて海外の取引先を20件以上に広げるなど、少しずつ歩みを進めている。

人体を熟知した独自のアプローチ

 独学で服作りを習得したデザイナーは過去にも例があるが、西田が異なるのはキャリアを生かした独自のアプローチだろう。人体構造と機能、スポーツ医学や生物学の知識を服に落とし込むことで、オリジナリティを形成している。

 例えば、陸上競技などのアスリートに欠かせないテーピング。筋肉を補強したり怪我を予防するテーピング理論を、パターン設計に応用した。またカッティングと縫い目の位置、皮膚の動く方向と生地の伸縮の関係性は、ダイレクトに着心地を左右する。パンツの膝裏のシワの位置、三角筋の立体的な厚みといった細部まで計算された服は、どうしたらスタイルが良く見えるかを論理的にかなえていく。

 スポーツウェアと同様に素材も重要。イタリアの名門「ファリエロサルティ(Faliero Sarti)」や「オルメテックス(OLMETEX)」といったテキスタイルメーカーと開発に取り組み、長いものだと3年を費やして製作する生地もある。決して能率的ではないが「見たことのないものやびっくりするものを生み出すことが、仕事として当たり前だと考えています」とし、顧客視点を第一にものづくりを捉えている。

西田が一番影響を受けたデザイナーとして挙げる解剖学者のアンドレアス・ヴェサリウス(Andreas Vesalius)の版画。

 影響を受けた人物として挙げるのは、解剖学者のアンドレアス・ヴェサリウス(Andreas Vesalius)。筋肉を変化させて描いたり不思議な点がある彼の版画に、美しさと魅力を感じると話す。ヴェサリウスが後世に伝わる革新的な解剖図を残したように、人体を熟知した独自のアプローチで「唯一無二の存在になっていきたい」という。

最新の関連記事

Realtime

現在の人気記事

    Ranking Top 10

    アクセスランキング