
Image by: FASHIONSNAP

Image by: FASHIONSNAP
3月27日から3日間にわたって開催された「F1日本グランプリ」(以下、日本GP)。今年は開催地の鈴鹿サーキットに3日間で31万5000人が来場し、前年比で約5万人増と大きな賑わいを見せた。レースそのものへの関心はもちろん、関連イベントも都内で相次ぎ、盛り上がりはサーキットの外側にも。なかでも今年は、ラグジュアリーやファッション業界からの関心が一段と高まり、今、F1を取り巻く景色はこれまで以上に華やかさを増している。
ADVERTISING
LVMH参入で変わったF1の景色
F1をファッション文脈で語るうえで欠かせないのが、昨年発表されたLVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH Moët Hennessy Louis Vuitton)による10年間のパートナーシップだ。これにより、F1の現場ではサイネージ掲出といったブランド露出にとどまらない、ラグジュアリーならではの演出が随所で存在感を放っていた。
F1はスポンサーシップの観点で元々高級嗜好品とは親和性の高いスポーツでもある。LVMH傘下ブランドの中で「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」は、各グランプリのトロフィー・トランクを制作し、表彰台に欠かせない風景として大会に華を添えている。同じく表彰式名物のシャンパンファイトでは「モエ・ヘネシー(Moët Hennessy)」がドリンクを提供。また、スタート地点にそびえ立つ時計塔のラップタイムは、F1とゆかりの深い大会公式タイムキーパーを務める「タグ・ホイヤー(TAG Heuer)」が計測している。このように、それぞれのブランドが得意分野で大会運営の重要部分を担っている。

前戦に続き、優勝を果たした「メルセデス AMG ペトロナス F1チーム」19歳の新星アンドレア・キミ・アントネッリ(Andrea Kimi Antonelli)は表彰台でルイ・ヴィトンのトロフィーケースに入った優勝杯を掲げた。
Image by: LOUIS VUITTON

Image by: TAG HEUER

Image by: TAG HEUER
これらの製品提供で大会を支える一方で、ラグジュアリーブランドならではのホスピタリティーを提供する場としてVIPエリア「Formula 1 Paddock Club™」内に「LVMHラウンジ」を併設。昨年よりスペースが拡張され、大会期間中、飲食をはじめ、パドック真上でのレース観戦やピットウォークへのアクセスを含むさまざまなエクスクルーシブなアクティビティを顧客やメディア関係者向けに提供し、ブランド体験を通してF1観戦を楽しめる仕組みを作っている。





Image by: LOUIS VUITTON
メディアミックスで高まるエンタメ性
2019年にスタートし、現在8シーズンまで配信されているNetflixのドキュメンタリー「Formula 1: 栄光のグランプリ」は、近年のF1人気を語るうえで外せない存在だ。レースの裏側の人間模様やチーム内外での政治、登場人物のドラマチックなヒューマンストーリーにフォーカスし、モータースポーツという専門的で近寄りがたい分野に、"推し"の選手やチームを見つけやすい土壌を作り上げた。F1熱が高まるアメリカでは昨年公開されたブラッド・ピット主演の映画「F1/エフワン」が大ヒットを記録。どちらもF1を主催するFIA(国際自動車連盟)の全面協力のもと制作されたコンテンツで、日本を含むグローバル規模で多様なファン層の取り込みに成功した。
国内では今年11年ぶりの地上波放送の復活も話題となり、日本人ドライバー不在ながらテレビやYouTubeなどさまざまなメディアでF1関連のコンテンツ配信も目立った。日本GP前には人気選手たちが都内のイベントなどに登壇し、滞在の様子をSNSでそれぞれ投稿。「ディオール(DIOR)」や「リモワ(RIMOWA)」などのブランドアンバサダーを務め、ドライバーきってのファッションアイコンとしても知られるルイス・ハミルトン(Lewis Hamilton)は、車好きの聖地である横浜・大黒パーキングエリアにフェラーリを乗りつけて"降臨"し、交際が噂されるキム・カーダシアン(Kim Kardashian)を助手席に乗せていたこともゴシップを賑わせ、サーキット外でも話題を振りまいた。
ハミルトンのような現役のレジェンドが表彰台争いを繰り広げる中、F1界にも世代交代の波が押し寄せ、昨年デビューしたルーキードライバーは5人。とりわけ日本GP優勝のアントネッリは、ドライバーズチャンピオンシップで史上最年少のポイントリーダーに躍り出るなど、新たなヒーローの誕生を予感させる。毎シーズン、わずか20席をめぐるシート争奪戦をはじめ、ルール変更への各チームの対応力やマシン設計、レース戦略といった競技そのものに加え、人気選手のメディア露出は、スポーツにとどまらないエンターテインメントとしての魅力を年々高めている。
F1公式発表によると、2025年時点で世界中のF1ファンは8億2700万人に達し、うち43%が35歳未満、新規ファンに限るとおよそ48%が女性を占めているといい、女性と若年層へのリーチ拡大が、F1人気を押し上げた要因として挙げられそうだ。
ファッション化する関連アイテム
会場で販売されるウェアやグッズも、F1観戦を盛り上げる重要な要素の一つ。「アディダス(adidas)」や「プーマ(PUMA)」といったスポーツブランドを筆頭に、長年F1とパートナーシップを続けているヒューゴ ボス社に加え、今年は新たに「トミー ヒルフィガー(TOMMY HILFIGER)」といったファッションブランドもチームウェアやファンウェアを手掛けている。
中でも今季、注目を浴びたのが、日本GPでも優勝を果たした「メルセデス」のウェアだ。アディダスは昨年メルセデスとのパートナーシップを締結し、公式ウェアを担当。そして今年、「ヨウジヤマモト(Yohji Yamamoto)」との協業ライン「Y-3」のコレクションが登場した。2006年に発売されたシューズ「Y-3 F50 TUNIT Beast Pack」に着想を得た“狼”のグラフィックモチーフを取り入れたコレクションは、1月のパリ・メンズファッションウィークで披露。ブラックを基調に、ウェアやシューズ、キャップなどの小物を含むフルコレクションが発売された。
ドライバーがレース中に着用しているスーツにも同様のモチーフが採用。日本GPでメルセデスのチーム代表トト・ヴォルフ(Toto Wolff)が着用したレザージャケットや、前週の中国グランプリでStray Kidsのフィリックスが着用したチームジャケットはSNSで大きな反響を呼んだ。どちらのアイテムも約30〜40万円ほどする高価格帯のアイテムでありながら、公式サイトでは完売するなど好評を博した。(現時点で一部再入荷あり)
発売前に発表されたキャンペーンでは、チームドライバーらをモデルに起用しファッション性の強いヴィジュアルを制作。「レーシングコースから、ストリートへ」のコレクションコンセプト通り、スポーティな観戦ウェアとしてだけでなく、日常で着られるラグジュアリーなアイテムとしても訴求され、F1ファッションの可能性を広げている。







Image by: Y-3
連日、鈴鹿サーキットには、ファッションブランドをはじめ、ウォッチメーカー、飲料メーカー、クレジットカードブランド、カーブランドといった協賛ブランドの招待枠でメディアや著名人、インフルエンサーの姿も多く見られた。海外からは、"ウォッチパーティ"の主催者としても知られるフランス拠点のクリエイター、リアス(Lyas)が「Y-3」を着用して現地入り。F1観戦をファッションの視点から切り取る発信はSNS上でも賑わった。
F1人気の高まりは、ラグジュアリー企業の参入、映像コンテンツを通じたエンターテインメントとしての裾野拡大、さらにウェアやグッズのファッション化により、単なるレース観戦から、ブランド体験を含めF1を取り巻くカルチャーを楽しむプラットフォームとして進化しつつある。来年以降もサーキットの内側だけでなく、その外側でもファッションやカルチャーを巻き込みながら、新たなファン層を取り込み、さらなる広がりを見せていきそうだ。
最終更新日:
ADVERTISING
TAGS
記事のタグ
RELATED ARTICLE
関連記事
RANKING TOP 10
アクセスランキング

ダイソンが初のポータブルハンディファンを発売 最大風速25m/秒を実現
















