クリス・ヴァン・アッシュがTEPPEI、都築拓紀とファッショントーク ラグジュアリーがユニフォーム化する時代にフレッドペリーとコラボした理由

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Image by: FASHIONSNAP

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 「フレッドペリー(FRED PERRY)」が、デザイナー クリス・ヴァン・アッシュ(Kris Van Assche)とのコラボレーションコレクションの発売を記念して、フレッドペリーショップ東京で、同氏を迎えたローンチパーティーを開催した。

反骨精神の共鳴から生まれたコラボレーション

 クリス・ヴァン・アッシュはベルギー出身のメンズウェアデザイナー。1998年にアントワープ王立美術アカデミーを卒業後、エディ・スリマン(Hedi Slimane)のアシスタントとしてキャリアをスタート。エディの移籍に伴い「クリスチャン・ディオール(Christian Dior)」へ移り、2000年から2004年まで「ディオール オム(DIOR HOMME)」立ち上げ期を支える。2005年に自身の名を冠したブランド「クリスヴァンアッシュ(KRISVANASSCHE)」をパリで発表し、以降ウィメンズも展開。2007年春夏にディオール オムのデザイナーに就任し、2018年に退任。その後「ベルルッティ(BERLUTI)」で3年間クリエイティブディレクターを務めた。

クリス・ヴァン・アッシュ

クリス・ヴァン・アッシュ

 今回のコラボは、クリスの「既存のルールを打ち破ることが好き」という反骨的なクリエイションに、フレッドペリーが共鳴したことを背景に実現。スポーツとストリートの文脈を持つフレッドペリーの象徴的なアイテムをクリスが独自の視点で再構築し、ユースカルチャーユニフォームの再定義を目指したという。

トークショー会場


会場入り口
イベント案内看板
会場外観

ブランドのレガシーを再構築した12アイテムを展開

 今回のコラボコレクションでは、クリスのプライベートコレクションから引用した花の写真のバッジで彩った鮮やかなレッドのポロシャツ「Fred Perry Shirt」や、ブランドの定番であるコットンピケ素材のシャツをテーラードシャツに再解釈したアイテム、トラックスーツをベースにしたピンストライプのスーツ、両ブランドのディティールを融合したブレザー&ショーツなど、フレッドペリーの伝統とクリスのクリエイティビティが融合した全12アイテムを販売している。

トークショー会場
トークショー会場
トークショー会場
トークショー会場
トークショー会場
トークショー会場

今回のコラボが「非常に理にかなっている」理由

 今回、ローンチ記念パーティーで開催されたトークショーでは、来日したクリスとともに、スタイリストのTEPPEI、ファッション好きで知られるお笑い芸人トリオ 四千頭身のメンバー 都築拓紀が登壇。大きな歓声に包まれながら会場に登場したクリスは、ディオールなどの自身がこれまでデザインしたアイテムを着用している来場者が数多くいることに気づき、喜びの声をあげた。

クリス・ヴァン・アッシュ

 トークショーが始まると、早速コラボコレクションの話題に。クリスは今回のコラボについて「私としては、非常に理にかなったものでした」とコメント。その理由として、これまでコレクション制作のたびに作成してきたイメージボードに、若者文化やサブカルチャーの象徴としていつもフレッドペリーが存在していたことを挙げた。都築とTEPPEIは、コラボアイテムをセルフスタイリングで着用して登場。赤の「Fred Perry Shirt」に、スケートシューズやワークパンツなどのさまざまなカテゴリのアイテムの色味を合わせて、統一感のあるスタイリングを心がけたという都築は「今回のコラボは、特にクリエイターの色が出ているように感じます。フレッドペリーは古着でよく着ていたのですが、テーラードのイメージは持っていませんでした。フレッドペリーの歴史と、クリスさんのクリエイティビティが両立している素晴らしいコレクションだと感じました」とコメント。自身が好きなモッズやスキンヘッズなどの1960〜70年代のユースカルチャーを意識してスタイリングしたというTEPPEIは、「コラボの話を聞いて、クリスさんが今の時代にどういう服を作ってくれるんだろうとワクワクしていました。実際に見てみると、とてもウェアラブルであるうえに、フレッドペリーのレガシーもしっかりと組み込まれていて、とても気に入っています」と、実際に袖を通した感想をそれぞれの視点から語った。

都築拓紀

都築拓紀

TEPPEI

TEPPEI

そんなふたりのコーディネートをクリスは嬉しそうに見つめ、「コレクションを作る過程でスタイリングを組むことはとても楽しい作業ですが、それ以上に、リアルな人々がそれぞれのスタイルで服を着てくれるのを見るのが自分の一番の楽しみです。今日こうしてふたりの個性的なスタイリングを見ることができて、本当に嬉しいです」と、笑顔を見せた。

クリス・ヴァン・アッシュ

 今回のコラボコレクションの根底には、「ユニフォームの再定義」と「既存のルールを打ち破ること」というテーマがある。クリスは「私は昔からユニフォームという存在にとても魅了されてきました。特にメンズウェアは、ワークウェア、スポーツウェア、ミリタリー、スクールユニフォームなど、多くのルールやコードで成り立っています。それらは何かのグループに帰属することの象徴ですが、そうしたルールやコードがあればあるほど、それをどこまで押し広げられるか、違う方向に解釈できるかを試すのが楽しいんです」と、自身のクリエイションの哲学を披露した。

トークショー会場

 都築が「クリスさんは小さい頃からルールを破る子どもだったんですか?」という問いを投げかけると「それは私の両親に聞いてみてください(笑)。自分では良い生徒だったと思いますが、いつも質問ばかりしている子どもでした。『このクローゼットの服は誰が作ったの?』『なぜこれを着なきゃいけないの?』と。アントワープ王立芸術アカデミーで学びたいということも、かなり早い段階から考えていました」と、そのキャリアのルーツを語った。クリスの話を受け、自身もファッションデザイナーとして活動する都築は「僕は『ルールを破っちゃダメだ』と言われて育ちましたが、だからこそ『破りたい』という気持ちが芽生えてしまう。大人になるとルールを破ることが難しくなりますが、ファッションの世界はそれが許されている。服を作る立場にいることは、ルールを破りたいという欲望がある中で、救いになっているのでは」と、ファッションが持つ解放的な側面に思いを巡らせた。

クリス・ヴァン・アッシュ

ラグジュアリーの“ユニフォーム化”とフレッドペリーのDNA

 話題は現在のファッションシーンへと移る。TEPPEIは世界的にファッションが同質化していることを指摘したうえで、今回のコレクションについて「着やすくスポーティーでありながら、しっかりとしたコンセプトを持ってデザインされている点が素晴らしい」と、そのクリエイティビティを評価。この指摘に、クリスは自身の経験を重ね合わせて、「私がファッションの世界に入った頃、ラグジュアリーブランドはそれぞれが異なる強いアイデンティティを持っていて、とても多様性がありました。しかし今は、どのブランドも似てきているように感じます。ある意味で“ラグジュアリーのユニフォーム”のようになっている。だからこそ、フレッドペリーと協業したかった。彼らは他とは違う、非常に強い独自のDNAを持っています。そのDNAを壊すのではなく、リスペクトし、装飾し、高めることを試みました」と応えた。

 話題は、クリスのよりパーソナルなクリエイションの源泉へ。コラボアイテムに付帯する缶バッジにデザインされた「花」のモチーフについて、「花は私にとって非常にパーソナルなものです。この写真は、私が自宅で撮ってSNSに上げているもの。今の世の中は少し暴力的だと感じますが、その中で花は“小さな美しい瞬間”を届けてくれます。自分はファッションデザイナーにならなかったら、花屋になっていたといつも言っているんです。ファッションと花は、生きていくのに不可欠ではないけれど、日常をより美しくするためには不可欠なもの。その点でとても似ていると思います」と、特別な思いを語った。

 そんなクリスに対し、都築は予算や市場などのさまざまな服作りの制約に「どれくらい我慢しますか?」と問いを投げかける。クリスは「確かに、服作りをするうえで多くの制約がありますが、私はそれをネガティヴな要素だとは捉えていません。むしろ、先ほど話した“ルール”や“コード”のように、それを使って遊ぶためのものだと考えています。私の人生における最大の喜びは、自分の服がストリートで人々に着られているのを見ることです。最終的に、人々が食べてくれることを一番大事だと考えている料理人と同じ。その考えは、私の中でずっと変わっていません」と、明快に答えた。

 自身のシグネチャーブランドの再開について尋ねられたクリスは「自分のブランドは、もちろん想いを込めて取り組んでいましたが、作りたいものを追求しながらブランドを経営していくことは、経済的に非常にハードでした。2004〜05年の立ち上げ当時もブランド経営は困難でしたが、今は状況がさらに複雑になっていますし、ラグジュアリーの世界にいることで実現できていたクラフトマンシップや素晴らしい技術を、自分のブランドで表現できるのかという問いもあります。そのため、現段階では今回のフレッドペリーとのコラボのように、各分野のエキスパートたちと協力することを楽しんでいます。新たなブランドを手掛ける可能性は、今後もし良い提案があれば考えたいですね」と答えた。

クリス・ヴァン・アッシュ

20年かけて見つけた「自分らしさ」

 最後に、TEPPEIがファンを代表する形で、クリスのアイデンティティの確立方法について尋ねた。自身のブランドからディオール、ベルルッティまで、異なる環境でクリエイションを続けてきた彼は、どのように「自分らしさ」を見出したのか。「大事なのは、日々自分のことを学び、知っていくことです。2005年に自分のブランドを始めた時の私と、今の私は全く違う人間です。ベルルッティを離れた後、自分がどんなデザイナーなのか分からなくなった時期がありました。その時、それまで手掛けた55のコレクションを1冊の本にまとめたのです。自身のブランドはインディペンデントで若かった。ディオールは巨大なラグジュアリーブランド。ベルルッティは職人技が光るブランド。アーカイヴを振り返ることで、環境は違えど、変わらない自分らしさを見つけることができました。フレッドペリーとのコラボも同じです。形態は変わっても、全てが自分らしいと胸を張って言えます。この感覚が得られるようになるまで、20年以上かかりました」と、自身の歩みを静かに、しかし確信を持って語った。

トークショー会場


 盛況のうちにトークショーが終了してからも、来場者の熱気は冷めやらず、流れるようにクリスとのサイン&撮影会がスタート。この日、クリスは朝から取材続きだったものの、一切疲れを見せずに笑顔で希望者全員と写真を撮り、言葉を交わし、日本のファンとの交流を楽しんだ。

トークショー風景
トークショー風景

コラボコレクションの世界観を楽しんだ来場者のスナップ

 今回のローンチイベント会場は、多くの来場客で賑わった。そのなかから、コラボアイテムに身を包んだスナップを紹介する。

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カレン
るうこ
Sota
小森リオ
悠杏
増島拓実
Wagamamashimizu & HARU
礼
emma
ゆら
ARAKI
Nyokki
長倉悠雅 & 神仙龍之介 & 海馬
都築拓紀
TEPPEI

カレン

TEPPEI & 都築拓紀

TEPPEI & 都築拓紀

panelists: Kris Van Assche & TEPPEI & Hiroki Tsuzuki, Interpreter: Makiko Oji, scriptwriter: Shunsuke Okabe, photography & videography: Keigo Yasuda & Kentaro Takahara | moderator & direction: Cheimi Kominato, text & edit: Koji Yamada, casting: Takashi Sasai, social Media Edit: Sumire Sano, project management: Ryota Tsuji (FASHIONSNAP)

最終更新日:

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