【時間の使い方に迷った時に読む言葉】小山田早織と正中雅子、キャリアと家庭の間で考える日々のこと
フレデリック・コンスタントと刻む私のための時間

Image by: FASHIONSNAP

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気がつけば今年も師走。時間に追われ、振り回され、なんだか今日も忙しい。クリスマスムードの街中を早足で歩きながら、気持ちは焦るばかり。ふと立ち止まり考える、「自分らしい時間の刻み方って?」。
スタイリストの小山田早織さん、MACHATT デザイナー/CEOの正中雅子さん。ファッション業界の第一線で活躍しながらも二児の母として家庭やプライベートも充実させている2人は、今のため、未来のため、後悔のない日々を過ごすために、どのような時間を刻んできたのだろう。「フレデリック・コンスタント(FREDERIQUE CONSTANT)」のきらめきを手元に宿して語るのは、【“時間の使い方”に迷う私たちに寄り添う】彼女たちの切実な体験談。
ABOUT:FREDERIQUE CONSTANT
1988年にスイス・ジュネーブに誕生した時計ブランド。あるときスイスに旅行に訪れた創業者 アレッタとピーター・スタース夫妻が、高級時計店に並ぶ時計がどれも手が届かない高額なものばかりだったことを受け、「スイスメイドの高品質な時計を適正価格で多くの人の手に届けたい」という考えのもと起業した。スイス発の時計ブランドとしてはまだ歴史は浅いが、玄人も納得する堅実なものづくりの姿勢で知られている。
目次
小山田早織:自分を管理することで自分を幸せにするためのおまじない
明確なロジックのもと、洗練されたクローゼットを作り上げるための哲学を発信し、多くの女性たちから厚い支持を集めるスタイリストの小山田早織さん。さまざまなファッション誌や広告、ショーのスタイリングを手掛け、モデルやアーティストたちからの指名も多数。テレビ出演や書籍の出版、ブランドプロデュースやYouTubeなど、幅広いフィールドで活躍する多忙の日々の中、プライベートでは二児の母という顔も持つ。苦難の日々の先に見出した小山田さんなりのストイックな時間術と時計観は、悩める私たちの背中を力強く押す。

所有している時計は10本程度。初めて雑誌の表紙のスタイリングを担当した時や、出産など、節目に合わせてお気に入りを集めてきた。「思い返すと、節目で買ったものしか今は手元に残っていません。価格を問わず、思い出を形に残すつもりで購入した時計には思い入れがあります」。スマートウォッチを試してみたこともあったが、結局ほとんど使うことはなく、長年アナログ時計一筋。
仕事でもプライベートでも、絶対にスマホで時間を確認することはしない。
誰かと話をしているときも、仕事をしている時も、さりげなく手元を確認するのとスマホを取り出して画面をつけるのとでは所作が全く違う。「マナーの一つというか、同じ時間を過ごしている相手への気遣いという意味でも時計は重要だと思っているんです」。
大切な思い出の詰まった時計たちと共に時間を刻んできた小山田さん。多忙の日々の中で確立した自身の時間術においても、腕時計は重要な役割を果たす。「毎日アナログ時計で行動を区切って生活しています。朝は子どもたちを送り出すまでは一切携帯を見ないですし、夜も決めた時間以降は携帯を開かないと決めていて。以前は寝る前にメールチェックをする習慣がありましたが、夜中の連絡に即座に対応するのは社会人としては合格かも知れないけど、それを続けていくと自分自身を労われなくなっていく気がして」。
日頃からモノを厳選し、家にある置き時計は最低限。「家でも腕時計をつけていることが多く、支度をするときは、洗面台に腕時計を置き、スキンケアやメイク、髪のセットの時間を決めてから取り掛かります。掃除をするときも、この時間までに終わらないなら残りは帰ってから、と思うと、意外と時間内に終わらせることができたり。やるべきことの合間にすぐメールチェックをしてしまうと、結果的に色々なことが終わらなくなっていくんですよね。この習慣を始めてから、余計な情報が入ってこなくなってすごく楽になりました。朝が難しければまずは寝る前の1時間、30分だけでも全てを遮断して、自分のことだけを大切にすることをおすすめします」。

自分で自分の時間を“つかさどる”
子育ても仕事も、全てに全力投球で向き合い、限界を迎えたこともあった。一見完璧にみられがち、でも全てを投げ出したくなった経験があったからこそ、今がある。何かを変えなくてはという焦燥感から救ってくれたのが「時計」だった。
お気に入りの1本だけを携えて、“自分だけの時間”を重ねていくことは、大人の楽しみであり、大人の嗜み。そしてその相棒選びに必要なのは「直感」だけ。いつもの服装に合うか、といった今の自分の型に当てはめる必要はない。むしろ取り入れた新しい時計からワードローブ全体をアップデートさせていくのだ。安くない買い物だからこそ、肌に身につけ、一番に目に触れるアイテムだからこそ、自分の「これだ」という直感を信じて。気に入ったものを身につけているだけで、時計を見る癖が身に付く。

クラシック カレ レディース (20万3500円)
妥協のない選択は、カラー選びにも言えること。フレデリック・コンスタントの1番人気モデル「クラシック カレ レディース」の今冬の新作である日本限定モデルは、シルバーとローズゴールドの2色をラインナップしている。ジュエリーとの組み合わせにもこだわりたいからこそ、手持ちのジュエリーのカラーとバランスが取れるケースカラーを優先する人も多いかもしれない。「ローズゴールドカラーのジュエリーを持っていないからといって、つい安心感のあるシルバーを買ってしまう人が多いと思います。でも、ローズゴールドに心が惹かれているなら、絶対にローズゴールドを選ばなきゃ。自分の好きなことや直感を大事にして、自分のワードローブを固めていかなくては、結局自分の軸を見失ってしまいます。ローズゴールドは肌馴染みも良いですし、手元にゴールド、耳元にシルバーなど、ミックスして合わせると色が違っても取り入れやすいですよ」。
ローズゴールドのクラシック カレ レディースを主役にした、ホワイトのニットとパンツ、ゴールドジュエリーでまとめた柔らかなワントーンのリラックススタイル。ブラックの牛革に四角いフェイスのシンプルなデザインは、さまざまなブランドが発表しているからこそ選ぶのが難しい。「1本持っていたら、一生愛せるくらいシンプルで飽きのこないデザイン。女性らしさもあるけど華奢すぎず、日常使いもしやすいけどジュエリーとしての存在感もある絶妙なバランスです。フェイスは日本人女性の腕にフィットする秀逸なサイズ感ですし、文字盤が少し湾曲していて腕に沿うような丸みがあるのもまろやかで良いですね」。
「クラシック カレ レディース」
着用したのは、2003年の登場以来、日本市場で不動の人気を誇る「クラシック カレ レディース」コレクションから登場した日本限定モデル。アール・デコ調のデザインや、長方形文字盤の内外にレイルウェイ(路線型目盛り)を配し、ローマンインデックスとブラックの牛革ストラップを採用したクラシカルなデザインが特徴。今冬の新作は、新たに文字盤全面に艶めくマザーオブパールを使用しており、ホリデーシーズンを彩るさりげない華やかさが加わった。

一変して、クールなジャケットスタイルに合わせたのはブレスレットタイプの「クラシック マンシェット」。アンティーク感があるフォルムに、都会的なきらめきが光るデザインは、ジュエリー感覚で取り入れたい。「1本で存在感がある華やかなデザインなので、手元は潔く時計だけ、耳元も控えめにすることで、大人の抜け感が楽しめそうです」。
「私は男の子を2人育てているので、週末はサッカーの付き添いがあったりカジュアルな格好をしなくてはいけないシーンが多いんですが、他の保護者の方もいらっしゃるのであまりラフにはできず塩梅が難しい。でもカジュアルな服装にしっかりした時計をつけている方はきちんと見えますし、知的な印象を受けますよね。私も、ラフな格好の時にはあえてマンシェットのような華やかな時計を合わせてスタイルを格上げしています。逆に綺麗な格好をしている時にはあえてラバーストラップを選んだり、クラシックなメガネスタイルにはクラシカルなレザーストラップのアイテムを合わせたり」。

クラシック マンシェット (24万2000円)
普遍的なエレガンスを追求するフレデリック・コンスタント。小山田さんの考えるエレガンスとは、ただ上質な服を着ていることではない。常に他者と関わって生きているからこそ、他者に対するさりげない心遣いや行動、そうした内面にこそエレガンスは宿るのではないかと、年齢を重ねるごとに確信を強めたという。自分に優しくないと他人に優しくできない、自分の心に余裕を持ち、自分で自分を幸せにできた先に、内側から滲み出るものなのだと。誰もに平等に与えられた24時間で今何をするか。それを決められるのは会社でも家族でも友人でもなく自分自身でしかない。時計は、今この瞬間から自分を自分で管理し、自分で未来を変えていく決意を与えるための「おまじない」になる。それは紛れもなく「自己投資」なのだ。

左:クラシック カレ レディース (20万3500円)【クォーツ、ステンレス ローズゴールドプレートケース、牛革ストラップ、3気圧防水、マザーオブパール文字盤、日本限定】右:クラシック マンシェット(24万2000円)【クォーツ、ステンレススチールケース&ブレスレット、3気圧防水】
正中雅子:自分の心の望むことに正直に
「マチャット(MACHATT)」のデザイナーでCEOの正中雅子さん。正中さんが発信する大人かわいい着こなしや大人の女性のニーズに応えるシルエット、デザインは、関西を中心に幅広い世代の女性たちから熱狂的な支持を集める。小山田さんと同じく二児の母でもある多忙な日々を送る正中さんからは、また違った角度からの揺るぎない時間への感覚について聞くことができた。その等身大な言葉は、ふと沈みそうになる私たちの気持ちを軽くする。

スタメンとして愛用している時計は6本。その日の服装を完成させるための最後のエッセンスに「時計」は欠かせない。「同じ服装でも時計が違うだけでかなり印象が変わりますよね。レディライクで優しい印象を加えたい時にはゴールドを選びがちですし、メンズライクな雰囲気にしたい時は大きめのフェイスを選びます。時計と服のバランスが決まったら、そこにジュエリーを足していきます」。
時計に憧れたのは、SNSがまだ今ほど盛んではなかった時代。「私が19〜20歳くらいの頃は、雑誌に載っていたデザイナーやバイヤー、プレスなどのファッション業界人がさらっと身につけている時計がすごくカッコよく見えて、ますます憧れを抱くようになりました」。
「しんどくなって時計をつけられなくなった時期があった」
雑誌で見かける時計に10代の頃から憧れ、20代はずっと時計と共に過ごした。しかし29歳の頃、第一出産を前にふと時計がつけられなくなったことがある。「自分でブランドを運営しているので、産休を取ることもなく、産後もできる範囲で仕事を続けていました。でもある時ふと、もともと好きだった時計や香水が急にしんどくなって。『赤ちゃんが傷つくから』といった理由ではなかったんですが、その感覚的な理由から3〜4年はつけずに生活していました。1歳くらいまでの赤ちゃんと過ごす時間ってすごくゆるやかで、赤ちゃんを見ている時の気分と時計がマッチしなかったのかも。不思議です」。
再び時計をつけるようになったのは、ふとした気分の変化だった。「ナチュラルに、また時計をつけたいなと感じた瞬間があって。そう思ったらまた時計が色々と気になりだして。今ではまた昔のように毎日時計をしています」。時計はどんな時も一定のスピードで時を刻み続ける。生活や人生のリズムが大きく変化する時、時間に対する向き合い方だってしなやかに変化するものだ。
「私の中で、休日よりも平日の仕事の時に時計をつけたくなる。休日につけるときはジュエリー感覚が強く、子どものサッカーの試合に行く時や公園に行くときはつけないこともありますよ」。

クラシック カレ レディース(18万1500円)【クォーツ、ステンレススチールケース、牛革ストラップ、3気圧防水、マザーオブパール文字盤、日本限定】
綺麗めなベージュのセットアップにはフリルの襟元で女性らしさや優しさをプラスし、シルバーフェイスで新たな表情を見せる「クラシック カレ レディース」でスパイスを。「女性らしさやエレガントさがありながら、それだけではなく“良い意味での強さ”のようなものを感じました。写真で見るだけでは伝わりにくい、凛とした佇まいが素敵です。デニムに合わせてもカッコ良さそう」。手元はシルバーとダイヤのリングに合わせ、耳元には大ぶりなゴールドのイヤリングを添えることでベージュトーンのセットアップとも調和。

子どもが2人とも小学生になり、長子は来年の春から中学生。「子どもが小さい頃は、自分の時間がなかなか取れませんでしたが、今では2人とも習い事に行ってしまったらむしろ暇なくらい。子育てもフェーズが変わると、自分の時間の在り方もかなり変わりました」。
自分の心が求めることに正直に
子どもが小さい頃は、平日は仕事に追われていても、週末には子どもと向き合う時間を作ろうと努力した。出産前の頃と同じだけの時間をネイルサロンやまつ毛サロン、美容室、エステなどこだわっていた各種美容に費やすことはできなくなった。「お客さんの前に出る機会が多いので美容院は最優先で行く。でもネイルやまつ毛は一旦後回しにしていました。ずっと変わらないのは、無理に自分の時間を作るというより、その時自分の心が最優先だと思っていることをするということ」。自由な時間が増えた現在と当時では、優先したいことも違う。
「自分の時間を作りたい時は作ればいいし、仕事を頑張りたい時は頑張ればいい。子どもといたい時は子どもといるのが一番いい。それで何かが間に合っていないことが逆にストレスになる人もいると思うので人それぞれですが、私は子どもや自分のための時間を大事にする代わりに、家事は割り切って優先順位を下げています。まずは、自分の心地よい環境や状態が何なのかを知って、優先順位つけて時間を使っていくのが大事」。好きなことを大切にするためには、もちろん家族や周囲の協力も欠かせない。でも、自分の望むことをまっすぐ正直に理解できているからこそ、その姿勢はブレることがない。

クラシック マンシェット(33万円)
正中さんが「時計モード」になるONスタイルは、ブラックジャケットにバルーンシルエットのニットパンツを合わせることで柔らかな抜け感も。「クラシック マンシェット」を主役にシルバーで統一したジュエリーで引き締める。
「スウェットやニットをクラスアップしてくれるような品のあるデザインですが、フェイスのグリーンがいい意味で少しカジュアル感があってかっこいい。ブレスレット部分のスタッズのようなデザインは、エレガントさもありつつエッジが効いているので、クールなスタイルに合わせるのも良いと思って」。
「クラシック マンシェット」
1980年代を代表するジュエリーウォッチのひとつ「カフウォッチ(ブレスレット型の腕時計)」タイプのモデルで、その斬新なデザインは開放的な時代を象徴した。フレデリック・コンスタントでは、2000年代初頭に当時のムードやライフスタイル、トレンドを反映したカフウォッチ「マンシェット」を発表。2025年夏に、マンシェットをリバイバルした新作「クラシック マンシェット」が登場した。四角い「クル・ド・パリ」装飾がエンボス加工されたポリッシュ仕上げのカフブレスレットが時計全体を彩り、その中央には時針と分針だけが配された控えめな文字盤を備える。
服装に新たなアクセントを加えてくれそうな時計を、ジュエリー感覚で選んできた。ものを選ぶ基準は常に「心が動くか」。
SNSが発達し、同世代の生活や購入品が目に入る現代。「私も雑誌で見た憧れの生活を、じゃあ私が実現するには何が必要なのか、と考えるきっかけにしていました。比べてしまってしんどいなら、見ない方がいいけれど、目標としての憧れを持つのは悪いことではないと思います」。素直な目線で自分の感性を磨き続けるからこそ、自分の「好き」をブレずに選び取り続けることができる。

「年々、ちょっとした所作の美しさや気取らない美しさ、芯のある女性らしさにエレガンスを感じるようになりました。“コンサバ”みたいな単純なことではなく、もっと深みのある、中身のある女性というか。私は全然、ガサツなタイプなんですけど(笑)」。
そんな正中さんの理想の女性について。「例えば『若い子が身につけているものだから自分は違う』と思うんじゃなくて、たとえ自分は身につけないとしても『それ可愛いね!』とか『私も着てみようかな!』と、何事も素直に受け止められる心を持っている方は、年齢を問わずチャーミングだなと思います。年齢を重ねるとつい、若い人と自分の間に線を引きそうになることがあるけど、何歳になっても素直で好奇心を持っている人。大人になるとその人の本質がそういう素直さや雰囲気、表情に現れてくると思うので、素直な人が素敵だなと思います」。

左:クラシック マンシェット(33万円)【クォーツ、ステンレススチールケース&ブレスレット、マラカイト文字盤、3気圧防水】右:クラシック カレ レディース (18万1500円)【クォーツ、ステンレススチールケース、牛革ストラップ、3気圧防水、マザーオブパール文字盤、日本限定】
INFORMATION
「フレデリック・コンスタント エレガントフェア」
フレデリック・コンスタントが、全時計商品の購入者を対象に、抽選で5組10名に安藤忠雄が手掛けた穏やかな静寂が広がる瀬戸内を堪能する至極のリゾート「瀬戸内リトリート 青凪 by 温故知新」の宿泊券が当たるフェアを開催。一部店舗では、対象時計の購入者を対象に替えストラップを1本プレゼントする引換券を進呈。
期間:2025年12月10日(水)〜2026年1月31日(土)
対象店舗:旗艦店フレデリック・コンスタント ブティック 東京を含む全国のフェア対象店舗
小山田早織 | Saori Oyamada
雑誌、ファッションメディアや広告をメインにスタイリングを手がける。シンプルながらも、こなれた印象をつくるスタイリングが得意。日本テレビ『ヒルナンデス』で人気を博し、同世代の女性から圧倒的な支持を受ける。YouTubeチャンネル『Styling of Life』も更新中。 @saorioyamada
正中雅子 | Masako Shonaka
販売、セレクトショップのディレクターを経て、2011年「MACHATT(マチャット)」を立ち上げる。立体的なシルエットやひねりのきいたデザインが関西を中心に人気。2児のママ。 @masacoshonaka
photography: Kotoka Izumi | text & edit: Chikako Hashimoto, casting: Takashi Sasai, direction: Riko Miyake, project management: Ryota Tsuji (FASHIONSNAP)
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