
Image by: 無印良品
「『無印良品』と言えば?」で想起される製品が、この1〜2年で大きく変化しています。
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良品計画が運営する無印良品で、「発酵導入美容液」(1990円)に代表されるヘルス&ビューティカテゴリーが好調です。これまで、レトルトカレーやバウムクーヘン、靴下といった商品のイメージが強かった無印良品ですが、近年、基礎化粧品やボディケアアイテムの存在感が強まっています。
国内でのヘルス&ビューティカテゴリーの売り上げは2025年8月期に初めて1000億円を突破。国内の無印良品の売上高4701億円に対し約22%と、4分の1近くをヘルス&ビューティカテゴリーが占めるようになっています。
2年で400億円超を積み上げ
決算資料によると、国内売り上げに占めるヘルス&ビューティカテゴリーのシェアは、過去2年で5ポイント上昇しました。数字をもとに推計すると、ヘルス&ビューティカテゴリーは、過去2年で400億円以上の売り上げを積み上げたことになります。
実際、2024年の無印良品の自社EC売り上げランキングで、発酵導入美容液はあらゆるジャンルのアイテムを抑え、1位となっています。

無印良品が天然由来成分100%にこだわって、2025年9月にリニューアルした「敏感肌用ボディケア」シリーズ
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ヘルス&ビューティカテゴリーの伸長は、無印良品が2年をかけて、戦略的に同カテゴリーを強化してきた成果です。2023年8月に、米ぬか発酵液を高配合した発酵導入美容液を発売してヒットにつなげると、そこから発酵導入シリーズで商品ラインナップを拡大。天然由来成分を強みと心得え、「敏感肌用ボディケア」シリーズも拡充しています。
販促面でも余念はありません。企業イメージやフィロソフィーを伝えるテレビCMは流しても、商品単体にフォーカスするCMは禁じ手だった無印良品において、発酵導入美容液は商品単体でのテレビCMも解禁しています。
なぜ無印良品はヘルス&ビューティカテゴリーに注目したのでしょうか。アパレルなどに比べて今まで手薄だったというのがまず1点。そして、男性を含めスキンケアを意識する層が近年増えているといったことも、大きな背景としてあります。
加えて、基礎化粧品やボディケアアイテムは消耗品ゆえ、気に入ってもらえれば定期的な購入が見込めます。化粧水のリピーターになった客がたびたび店を訪れたり、ECサイトを見たりするようになれば、それ以外のアイテムのついで買いも期待できます。
“これがいい”ではなく、“これでいい”を体現
実はヘルス&ビューティカテゴリーと共に、同社が近年注視しているカテゴリーがもう1つあります。それは、掃除シートやウレタンスポンジ、水切りネットなどの、キッチン周りのグッズです。
こちらも基礎化粧品と同じく消耗品であり、使い勝手やコスパを気に入ってもらえればリピート購入につながります。前述の2024年のEC売り上げランキングで、発酵導入美容液に続く堂々の2位は「水回りの汚れ用 掃除シート」(299円)でした。
キッチン周りの消耗品は、言ってしまえば地味なアイテム。基礎化粧品類もパッケージは潔いほどにそっけなく、化粧品というジャンル特有の華やかさはありません。
ただし、無印良品はバブル景気前夜の1980年の創業以来、「“これがいい”ではなく、“これでいい”」という理性的な消費のあり方を、大量生産・大量消費の消費主義に対するアンチテーゼとして掲げてきました。キッチングッズも、華美でなくコスパもよいヘルス&ビューティアイテムも、まさにそうした思想を体現する商品であり、2024年8月期、2025年8月期と、同社の2期連続の過去最高業績を牽引しています。
話をヘルス&ビューティカテゴリーに戻すと、2025年秋冬をもって、一旦その商品ラインナップの拡大や天然由来成分へのアップデートはひと区切りを迎えました。ここからは、国内で磨いた商品力を武器に、海外にも横展開していく時期です。
強化する海外出店でも柱に
現在、ヘルス&ビューティカテゴリーの発酵導入、敏感肌用ボディケアの両シリーズの商品は9ヶ国にまで展開を広げ、「(無印良品を出店する世界全33ヶ国・地域の)残りの国の店舗にも、2026年夏までに広げる。特に中国本土や韓国では、現地スキンケアブランドとの競合が激しい中でも、極めて良好な手応えを得ている」と清水智良品計画社長は2025年8月期の決算会見で語っていました。

無印良品が2026年に出店するパリ旗艦店のイメージ画像
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良品計画は、2028年8月期に営業収益(売上高に相当)1兆円、営業利益1000億円という3ヶ年計画をこのほど公表しました。うち5000億円を海外で売り上げる計画で、今後3年間の店舗純増数として、年平均で国内45店、海外70店を描いています。コロナ禍を通し国内で検証を重ねてきた売り場面積600坪(約1980平方メートル)サイズでの出店を、ここからグローバルに波及させる考えです。
2025年内にはタイ・バンコク、ベトナム・ホーチミンにそれぞれ同国最大の旗艦店をオープンする予定で、26年秋冬にはフランス・パリに欧州最大規模の旗艦店の開業も控えています。今後拡大していく海外店舗においても、ヘルス&ビューティカテゴリーは柱の1つとして期待されています。
最終更新日:
◾️良品計画2025年8月期連結業績
営業収益:7846億円(前期比18.6%増)
営業利益:738億円(同31.5%増)
純利益:508億円(同22.3%増)
◾️良品計画2028年8月期連結業績目標
営業収益:1兆円
営業利益:1000億円
営業利益率:10%、その後に12%

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