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2019年注目したい若手ブランド、ベストナインを選出

 若手ファッションデザイナーのホープをフィーチャーする企画「若手ブランドベスト9」を3年ぶりに公開。今年活躍が期待される日本人デザイナーの9ブランドをピックアップし、打線を組んでみました。

1番・センター:「ダイリク(DAIRIKU)」 メンズ

着実にファンを増やすトップバッター

 「ダイリク」は、デザイナーの岡本大陸がバンタンデザイン研究所在学中に大阪で設立したメンズブランド。「ストーリーやルーツが感じられる服」をコンセプトに、アメリカの古着や映画などから得た多彩なアイデアを散りばめ、コレクション毎に異なる人物像を表現しています。2016年に「アジアファッションコレクション(Asia Fashion Collection)」のグランプリを受賞したことを機にニューヨークファッションウィークに初参加し、2018年春夏シーズンから本格的に東京で展示会を開催。リアリティのある世界観と、グラフィックやモチーフといった凝ったディテールからも感じられるユニークなアプローチでファンを増やしていて、勢いを感じさせるため1番バッターに抜擢しました。

2019年春夏コレクション

 

2番・セカンド:「リコール(Re:quaL≡)」 ユニセックス


大胆にシルエットが変形するコレクションに注目

 2016年スタートの「リコール」は、ロックバンド ジャンヌダルク(Janne Da Arc)への憧れからファッションの道に進み、文化ファッション大学院大学(BFGU)とここのがっこうで学んだデザイナーの土居哲也が友人とともに立ち上げました。ブランド名は「Re:(時の単位)」「equal≡(常に等しく)」を組み合わせたもの。「第33回イエール国際モードフェスティバル」に出品しファッション部門のセミファイナリストに選出されるなど、海外のアワードでも意欲的な姿勢に期待のブランドです。2019年春夏コレクションは「Re shape at boot by.POLOMANI」をテーマに、何通りにも着用可能なジャケットやトップス、ボトムスを製作しました。シルエットが大胆に変化するアイテムは、卸先のセレクトショップ「R for D」などでも好評。

2019年春夏コレクション

 

3番・ショート :「ユウキ ハシモト(YUKI HASHIMOTO)」 メンズ

ラフ・シモンズやマルジェラで経験しコラボにも積極的な新ブランド

 「ユウキ ハシモト」は、京都造形芸術大学を卒業後にアントワープ王立アカデミーに進学し、学士と修士課程を経た橋本祐樹が立ち上げ、2019年春夏シーズンにデビュー。メンズブランドですがウィメンズアイテムも発表しています。在学中に「クリスヴァンアッシュ(KRISVANASSCHE)」「ラフ・シモンズ(Raf Simons)」「メゾン マルジェラ(Maison Margiela)」といったブランドで積んだ経験から、1人で全てを作り上げるだけではないクリエイションを学び、様々なブランドや企業、クリエイターとのコラボレーションにも積極的に取り組んでいくそう。確実な一本で4番に繋げるプレーをしつつ、状況によって盗塁を狙う3番バッターをイメージしました。

 2019年春夏コレクション

4番・サード:「アキヒデ ナカチ(Akihide Nakachi) 」ウィメンズ

デビューから海外メディアに掲載、繊細さと力強さを併せ持つ実力派

 デザイナーの名嘉地明秀は心理学を学んだ後に文化服装学院に入学。様々なコレクションブランドでパタンナーアシスタントや販売職を経て、2018年秋冬シーズンに自身のブランド「アキヒデ ナカチ」を立ち上げました。コンセプチュアルな要素と力強さを感じさせるコレクションを通じて「繊細でありながら芯のある凛とした女性」を表現しています。見えないものを伝えるために新しい視点から服作りを行い、デビューコレクション「you were(are) here」では"2人で着るための服"を発表。US版「i-D」をはじめとする各国のメディアにも取り上げられました。造形的で奥が深いデザイン力で、早くも頭角を現し始めた新進ブランドです。

2019年春夏コレクション

 

5番・ファースト:「ベースマーク(BASE MARK) 」ウィメンズ

機能素材のレイヤードに国内外から注目

 「ベースマーク」は繊維商社タキヒヨーが2015年秋冬シーズンに立ち上げニューヨークを拠点に展開していましたが、2016年春夏シーズンをもって休止。マークスタイラー傘下のブランドでチーフデザイナーとして経験を積んだ金木志穂がデザイナーに就任し、2017年秋冬シーズンに再スタートしました。遊び心のあるレイヤードスタイルや風合いにこだわった素材選びが注目され、アメリカやドイツ、スイス、イタリアなどに加えて、スペインとクウェートにも販路を拡大。生産背景や経験に裏付けられた安定感のあるコレクションが、今後どう飛躍していくか期待です。

2019年春夏コレクション

 

6番・ライト:「コウタグシケン(Kota Gushiken)」 ウィメンズ

卒業コレクションに注目が集まったニットブランドが今秋デビュー

 デザイナーの具志堅幸太は、高校卒業後にイギリスのセントラル・セント・マーチンズに留学し、ニットウェアのデザインを学びました。在学中は「ディオール(DIOR)」のクチュール部門や「プロエンザ スクーラー(Proenza Schouler)」などでインターンシップを経験。卒業コレクションが英ファッションメディアThe Business Of Fashionで「Top 6 Central Saint Martins BA Graduates Of 2016」に選出され、2017年には伊勢丹新宿店「TOKYO解放区」の若手4ブランドにフォーカスした企画「TOKYO upcoming vol.2 ~next genelation by TOKYO kaihoku~」にピックアップされるなど、業界から注目を集めています。鮮やかな色合いと独特な柄が特徴で、ユニセックスの展開も視野に入れているそう。2019年秋冬シーズンから本格的にコレクションを製作していくことから、下位打線トップバッターの6番打者に抜擢しました。

 

7番・キャッチャー:「ワイオーエヌ(Y.O.N.)」 メンズ

得意のテーラリングを活かしたクオリティーの高いコレクションを発表

 デザイナーは西岡遙。「好きなものを好きな方法で」をコンセプトに、ブランドが得意とするテーラリングに現代の服飾の技術を加えてアイテムを製作しています。2017年秋冬シーズンに「キャッチボールアンドサンズ(Catchball&Sons)」から現在の「ワイオーエヌ」にブランド名を変更。YOUTH OBEY NEWEST(若者が新しいものを作り出す)の略で、デザイナーの名前の頭3文字にも通じています。「2017年度 Tokyo 新人デザイナーファッション大賞」ではプロ部門に選出され、祐天寺で直営店を運営するなど着実に成長を続ける安定感がブランドにも反映されていることから、チームを支える存在のキャッチャーに選びました。

2019年春夏コレクション

 

8番・レフト:「オッド(odd_)」 ウィメンズ

フリーハンドの“落書き”から服を作る異色のデザイナー

 大学で服作りを学び、杉野服飾大学大学院を2017年に卒業したタカヤマ ミチヒコが立ち上げた「オッド」。在学中に2度コレクションを発表し、卒業後の2018年春夏シーズンに本格デビューしました。ブランド名は「風変わりな」や「妙な」を意味する言葉で、「絵を描いて、服を造る」ことを軸にフリーハンドで絵を描いた後、その線の形を元に布を裁断しピンで留めるという独特な手法で製作しています。ユニークなプロセスでどんなブランドに昇華していくのか注目です。

2019年春夏コレクション

 

9番・ピッチャー:「ヨーク(YOKE)」 ユニセックス

新たなジェンダーレスファッションを提案する気鋭ブランド

 デザイナーの寺田典夫は文化服装学院卒業を卒業後、国内のドメスティックブランドやセレクトショップなどでキャリアを積み、2018年秋冬シーズンに「ヨーク」を立ち上げました。「繋ぐ」「絆」「服の切り替え布」といった意味を持つブランド名には「モノがヒトをつなぎ、ヒトがヒトをつなぎ、ヒトがモノをつなぐ」という思いを込めているそうです。2019年春夏コレクションは「SHAREWARE」をコンセプトに、一着を男女間でシェアすることができるアイテムなどを製作。ファスナーで上下に分かれるデザインのコートは、上を男性のブルゾン、下を女性のラップスカートにすることができる仕様で、新しい服をシェアする方法を提案しました。斬新なアイデアは、鋭い変化球が持ち味のピッチャーを彷彿とさせます。

2019年春夏コレクション

 今回は、メンズ、ウィメンズ、ユニセックスのブランドがバランスよく揃いました。学生時や卒業コレクションから注目を集めていたり、アパレルやデザインの経験を積んでから独立したり、スタートの形はそれぞれながら成長のスピード感が印象的でした。以前に本企画で紹介した「ダブレット(doublet)」のように、世界で評価されるブランドに飛躍するか?9人のホープそれぞれが率いるブランドの今後から目が離せません。

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