【インタビュー】「w♥c」デザイナー若槻千夏は東京コレクションで何を見せるのか

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■「w♥c」のショー生中継は21時〜 http://www.fashionsnap.com/tff/2013ss/

「w♥c」デザイナー若槻千夏
「w♥c」デザイナー若槻千夏
Image by: Fashionsnap.com

 国内最大のファッションイベント「Mercedes-Benz Fashion Week TOKYO(メルセデス・ベンツ ファッション・ウィーク 東京)」が10月13日に開幕する。新作を発表する全39ブランドのなかでも、"異色"の参加ブランドとして話題となっているのが若槻千夏が手掛ける「w♥c(ダブルシー)」だ。ウィゴーからデビューして3年、「芸能人ブランド」「キャラクターブランド」などのレッテルを払拭する成長と共にファンを増やし、路面店やソラマチに出店を果たした。巷では、全身「w♥c」でそろえ"ダブラー"と呼ばれる熱烈なファンも存在するという。そんな「w♥c」がなぜ今、「Mercedes-Benz Fashion Week TOKYO」に出場するのか。デザイナーの若槻千夏に話を聞いた。

 

―ブランドをスタートして3年目を迎えた感想は?

 「まだ3年かぁ」と思う感じですね。毎回、バタバタしていて。ブランドとしてまだ限界ではないなというのを感じています。

―国内最大のファッションイベント「Mercedes-Benz Fashion Week TOKYO(メルセデス・ベンツ ファッション・ウィーク 東京)」に初参加することになった経緯は?

 以前から一緒に仕事をしていたcommons&sense(コモンズアンドセンス)の佐々木香さんから「やってみたら」という話をして頂いたのがきっかけです。でも最初は、「いや、うちのブランド、そういう感じとは違いませんか? 東京コレクションに出るブランドってちゃんとしてますよね?(笑)」みたいな感じでお答えしました。「w♥c」はお祭り気分のような伝え方でやってきているので、格好良くてちゃんと洋服を作っているブランドのショーと同じ土俵に上がるなんて。商品の回転が早い「w♥c」のようなアパレルブランドが参加するという前例は少ないですし、「あれ、格好つけてる?」と思われるのが嫌だなというのが一番最初の思いでした。

 ただ、これまでやってきたいろんなことも、人の目を気にしていたら出来なかったのかなと思うようにもなりました。センター街の路面店や、ソラマチの店舗オープンも、万端な状態でできたことではなかった。

 今回挑戦するショーへの参加も、コレクションに参加するブランドとしては"万端な"ブランドではないと思いますが、むしろそれが"うちらしい"のかなってことで、去年の秋に「じゃあやってみようかな」と決意しました。

 人の目は今も気になりますし、実際「どうして?」と思っている人はいるでしょう。でも毎回新しいことに取り組んできた「w♥c」にとっても、私にとっても大きなチャレンジ。決意した以上、今は「もうやるしかない」という気持ちですね。

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―「Mercedes-Benz Fashion Week TOKYO」で実際にショーを見たことは?

 昨年の3月に「G.V.G.V.(ジーヴィジーヴィ)」「YUMA KOSHINO(ユマコシノ)」「beautiful people(ビューティフル ピープル)」「PHENOMENON(フェノメノン)」の4ブランドのショーを見ました。

―印象に残っていることは?

 いやもう全部ですね! 私、結構すぐに忘れちゃうんですけど、すごく衝撃を受けたというか・・・全部覚えてます。そして、ショーを見て一番最初に思ったのは「あ、うちのブランドには無理かもしれない」ってことですね(笑)。

 私のやり方は、洋服にエンターテイメント性を盛り込んで「本当なの?嘘なの?」というような、オモチャのような世界観に仕上げるんです。店内のマネキンも、ぬいぐるみをかぶっているのも一例ですね。あまり期待されてないからできる"おもしろさ"を追求しているのですが、コレクションにこの微妙な"おもちゃ感"を持って行くのは良くないなと感じたんです。

 だから東京コレクションの舞台に、どうやって「w♥c」らしさを持って行けばいいのか、すごく悩みましたし、悩む中でいろんな案を思いつきましたが、今回のコレクション内容に落ち着きましたね。

―ショーの内容を少しだけ教えてもらえますか?

 それは、もちろんシークレットで(笑)

―では話を戻して、"異色の"参加ブランドということで注目されてるかと思います。

 "いい意味"で注目されてるとは思っていないので、私自身は気が楽です。客観的に考えても期待されてるブランドではないので、緊張やプレッシャーはない。初参加ブランドとして「w♥c」の名前が発表されたときに、みなさんが感じる衝撃は「楽しみ」よりも「どんなことやるか見てやるよ」「何ができるんだよ」というテンションなのは百も承知。そこは洋服をちゃんと作ってきた自分が感じてきたことでもあります。

 「ファストファッションみたいなブランドが何やるんだよ」と思ってる人が10人中8人いても、残り2人くらいが「何やるんだろう?」と楽しみにしてくれていたら、それでいいかなと思っています。

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「w♥c」渋谷店 2階

―その思いをブログでも綴ってましたが、反響は?

 コメント欄がないので、その場での反応は分からないんですよね。ブログを見てくれた友達からは「見に行くね」と言われましたよ。女の子はみんな服が好きなので。

―その反面、ネガティブな意見はありましたか?

 いやぁ、ネガティブしかないと思います(笑)。ポジティブなのは私と、一緒にやる人だけみたいな。

―ネガティブな意見をどう捉えていますか?

 最初に声をかけてくれた佐々木さんはいろいろなショーを見ている人なので、佐々木さんに言われなかったらやってなかったかもしれません。私、今まで期待されたことないんです。だから佐々木さんがなんで「w♥c」に興味があるんだろうと常に思っていて(笑)。でも、きっとどこかしらで期待してくれていて、そういう人がいるなら応えたいなと思っているんです。一緒にやってくれる人がいることが一番の糧になっています。今回は、自分と期待してくれてる人に向けてやるショーですね。

―タレントプロデュースのブランドではありますが、若槻さんは実際現場でかなり動かれてますよね。

 そうですね。やっぱり「タレントのお店でしょ」というのは、まだまだ言われます。「だから売れてるんですよね」と思われることもあると思います。でも私、その意見は正解だと思うんですよ。自分が無名だったらここまで大きくならなかったと思うので、きっかけとしては若槻千夏としてタレント活動をしていた部分は大きい。タレント活動があって、今のブランドがあるので、その部分を消そうとは思ってはないです。

 でも「タレントの店だから売れてるよね」という捉え方の人にも、少しでも「私はちゃんとやりたいんです」というのが伝わればなと思っています。通常のコレクションも全部自分でチェックしていますし、お店には立てないですが、夜な夜な行っていますよ(笑)。特にコレクションで発表するものは試行錯誤して、自分なりに「ちゃんと洋服やってるんですよ」という思いを表現してるつもりです。

――発表されるのは2013年春夏コレクションですよね? 今までの制作スケジュールよりも早いのでは?

 すごく早いですね。でもやっとアパレルに馴染んできたぞみたいな感じです(笑)自分が好きなものが作れています。

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―新作の制作やショーの企画で大変だと感じる事はありますか?

 "コレクション"に対する知識がないのでルールも分からず、手探り状況です。でも、ブランドをスタートした当時もそういう状態だったなと思い出します。始めたころはTシャツだけいっぱい作っちゃって、「あれボトムスは?」っていうこともあったし(笑)。

 今は、ブランドを3年間続けてきて、洋服のことがある程度分かって、「w♥c」として売れるものが理解できるようになった。だからこそ"慣れ"がでてきて、今が一番面白くないのかもしれません。だから、コレクションへの挑戦はいい刺激。コレクションに向けて1点もののコレクションピースを制作しているんですが、最初にブランドを立ち上げたときみたいに、好きなものを好きなだけ作れることが本当に楽しいです。コレクションへの参加を通して作ることの楽しさを改めて感じることができて、「さらにブランドを成長させていけたらいいな」という思いが強まっています。

―コレクションへの参加は、「自分」と「ブランド」のためですか?

 そうですね。もしかしたら、自分のためというのがのがほとんどかもしれません(笑)。「w♥c」のためになるかは、やってみないとわからないですが、とにかく自分が服ときちんと向き合いたいという思いは、ずっと抱えてきた事です。古着が好きではじめたブランドだったのですが、ブランドが3年目を迎えて、出店やキャラクターが増えたことで、作り手としては「キャラクターが強いブランドになってるんじゃないかな」と思ってました。

 だから、ここでもう一度、自分の気持ちを原点に戻して、自分がやりたかったことや、自分が洋服作りを始めた意味を見つめ直すことが、今回、ショーへ挑戦した本当のの目的なのかもしれないです。「w♥c」始めた頃に自分が作りたいものを作って、みんなに驚かれたり「売れるの!?」と思われたことを思い出しながら、「自分がつくりたいものを純粋に作ろう」と取り組んでます。

―若槻さんは「Mercedes-Benz Fashion Week TOKYO」でコレクションを発表する意味をどう捉えていますか?

 いい意味でも悪い意味でも、今回のショーへの取り組みの過程は今、私ができること100%。

―では最後に発表まで間もなくですが、ショーを見に来る方に一言。

 お手柔らかに見て下さい。つぶやかないで下さい、みたいな(笑)頑張ります。

■「w♥c」のショーは10月15日(月)21時から。渋谷ヒカリエHikarie Hall Aでランウェイショー形式で発表予定。ショーの総合プロデュースは、「commons&sense」編集長である佐々木 香が手がける。

 

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