ウエストン・ヴィンテージ

ジェイエムウエストンの靴に新たな命を吹き込む「ウエストン・ヴィンテージ」 フランスの工場を訪ねて

履き古した靴を生まれ変わらせる職人技

ウエストン・ヴィンテージ

ウエストン・ヴィンテージ

Image by: J.M. WESTON

 フランス人は「上質なものを大切に、長く使い続ける」と言われています。履かなくなったシューズを下取りし、リペアすることで新たな命を吹き込む「ウエストン・ヴィンテージ」は、そんなフランス人の心に自然と宿る、サステナブルな魂を物語るような取り組み。その修復作業が行われている「ジェイエムウエストン(J.M. WESTON)」のアトリエを訪ねました。

ジェイエムウエストン誕生の地、リモージュへ

 パリから特急列車に揺られて約3時間。フランスの中部に位置するリモージュ地方に到着しました。18世紀ごろから世界屈指の磁器の都として栄えた街であり、また、レザーなめしや靴産業で知られる職人の街でもあります。

 ジェイエムウエストンは、1891年にリモージュで誕生。創業当時から、現在もこの地で、上質なシューズを作り続けています。リモージュ郊外に位置する工場には、職人歴40年というベテランから若手まで、約200人の職人が在籍しており、自社で底財に使用するレザーのタンニングから仕上げまでを行っています。

 裁断、縫合、組み立て、艶出し……ひとつひとつの技術が、130年以上にわたる歴史の結晶。

 丁寧な手仕事を見学していると、アイコンモデルの「シグニチャー ローファー #180」について「名前の由来は、一足作るのに180の工程があることからなんだよ」と、職人の方が教えてくれました。一足一足、職人による手仕事が詰まっていることを実感します。

フランス本社のリペア専門チームが修復

 ここで改めて「ウエストン・ヴィンテージ」のシステムをご紹介。

 履かなくなったシューズを下取りし、修復を経て再販売するという取り組みで、2020年から行われています。下取りしたシューズはすべてリモージュに集められ、職人の手で一足ずつ修復作業が行われます。

 ジェイエムウエストンでは、自社工場にリペア専門のチームを結成し、熟練の職人が多数在籍。持ち込まれるシューズの数は、年間およそ1万足。フランス国内でトップクラスだそうです。

 案内していただいた修復アトリエには、さまざまな年代やモデルのシューズがずらり。中には20~30年前のレアなヴィンテージシューズもありました。

 「リペアをすれば、それだけ長く履き続けられる。うちのシューズはデザインだけではなく、高い耐久性も自慢です。わたしたち職人は、誰かの思い入れの深い一足を次世代に継承するサポートをしています」

新たな命が吹き込まれ、次の世代へ

 リペアの過程は、まずソールを手作業で外し、そのモデルとサイズに合ったラストをシューズの中に入れ、形を整えます。ヴィンテージのみに施される補強工程もあり、老舗ならではの知恵と技術が詰まっています。

 その後は、新品のシューズと同じ素材を用いてソールを張り替えていくのですが、驚いたのはヴィンテージと新品のシューズが一緒に作業されていること。新品と同じ扱いで、愛情を込めて職人たちが作業しています。ここに「単なるリペアではない」という意味が集約されています。

 隅々までメンテナンスされ完成したシューズは、以前の持ち主が大切に履き込んだ風合いが加わり、まさに「新たな命が吹き込まれた」と言える唯一無二の一足となります。

伊勢丹新宿店メンズ館でポップアップ開催

 「ウエストン・ヴィンテージ」は通常、パリのシャンゼリゼ通り店で取り扱っていますが、今年も日本に上陸します。4月30日から5月13日、東京の伊勢丹新宿店メンズ館 1階「ザ・ステージ」にてポップアップを開催。職人たちの手によって生まれ変わった、一点物のシューズが並びます。また、希少なコードヴァンやロシアンカーフを使用した、限定シューズの販売も。自分だけの特別な一足を見つけてみてはいかがでしょうか。

(左から)リペア前、リペア後のシューズ

最終更新日:

■ジェイエムウエストン 伊勢丹新宿店メンズ館 ポップアップ
会期:2025年4月30日(水)~5月13日(火)
 ※5月10日(土)ジャズライブ開催 14:00~、15:00~、16:00~
会場:伊勢丹新宿店メンズ館 1階「ザ・ステージ」東京都新宿区新宿3-14-1
電話:03-3352-1111
営業時間:10:00~20:00

text: Mami Okamoto

ウエストン・ヴィンテージ

Image by: J.M. WESTON

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