ZOZOとLINEヤフー、堂本剛によるコラボプロジェクト「堂本剛プロデュース」から、新作としてNetflixのオリジナルドラマ「ストレンジャー・シングス」とのコラボアイテムが登場。同作のファンであることを公言している堂本は、一人のファンとして、そしてクリエイターとして、今回のプロジェクトにどう向き合ったのか。アイテムに込められた「いきすぎた愛」の裏側を聞いた。
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堂本剛
Image by: FASHIONSNAP
「奇跡が起きすぎた」 コラボ実現の裏側
⎯⎯堂本さんは以前から「ストレンジャー・シングス」がお好きだと伺っています。作品と出会ったきっかけは?
自分のバンド仲間や音楽仲間から「剛くん、絶対好きそうだから見た方がいいよ」と言われたのが最初でした。ただ、2〜3ヶ月忙しくて気にしていなかったのですが、時間ができた時に思い出して見始めたんです。世間的には「今さらハマってんの?」っていうタイミングでしたね。
⎯⎯すでに何周もされているそうですね。堂本さんを惹きつける魅力はどのあたりにあるのでしょうか。
ストーリーが面白いのはもちろんですが、僕の世代にはドンピシャのオマージュがたくさんあります。僕はファンクミュージックを中心に活動しているシンガーソングライターでもありますが、ファンクの世界でもリスペクトを込めたオマージュをすることがよくあるんです。そこにも親和性を感じました。作品を視聴者として楽しむ一方、ライティングやファッション、美術スタッフの配色のセンスなど、クリエイターとして楽しめる要素が盛りだくさんで、自分に刺さるものが多くて。結果、何度も見てしまっていますね。
それに、主役が一人ではないという感じも自分の性格に合っていると思いますし、僕が長年手がけている.ENDRECHERI.というクリエティブプロジェクトでも、ライブの最後の1時間くらいをバンドメンバーとのフリーセッションで構成しています。主役が誰もいない、バンドメンバー、お客さまもみんなが主役であるという空間作りをずっと築き上げてきました。「ストレンジャー・シングス」も、エルという中心人物はいるけれど、誰もが主役であるということが、繰り返し見ていくとそこがより大切なテーマなんだと深く染みてくる作品です。

⎯⎯そんな「ストレンジャー・シングス」とのコラボが、ZOZOとのプロジェクト「堂本剛プロデュース」を通じて実現しました。
第2弾のコラボでルックを撮った最終日、そのままZOZOチームと「ストレンジャー・シングス」のグッズを買いに行ったんですよ。チームにも好きな人が多かったので。まさか次の第3弾が「ストレンジャー・シングス」になるなんて思ってもみませんでした。
お話をいただいた時はもちろんすごく嬉しかったです。大好きな想いを作品にぶつければいいんだな、とストレートに考えました......が。作品が好きすぎるからな……というような感情も芽生えて。この作品の超ファンだから(笑)、はたして良いのだろうか、など一瞬よぎりましたが、こんな巡り合わせはないと思い、お引き受けさせていただきました。
⎯⎯どんなコレクションを目指しましたか?
日本人だからこそできる、ジャパン的な「ストレンジャー・シングス」をアウトプットできたら、今までにないコラボアイテムが生まれるだろうし、海外の人にはより特別なものになるだろうと考えました。



Image by: ZOZOTOWN
コラボアイテム一覧
⎯⎯湯呑みなど日本らしさを感じるアイテムもありますね。
日本のカルチャーや日本人の技術みたいなものが感じられるアイテムが何かあるといいな、と。ダファー兄弟(「ストレンジャー・シングス」シリーズ生みの親であるマット&ロス・ダファー)が日本のカルチャーに影響を受けて作った作品であるということもあったので、日本カルチャーが色濃く出ているアイテムを作りましょう、という話になりました。湯呑みもそうですし、この風呂敷も、包むとデモゴルゴンみたいになるな、という打ち合わせでのアイデアから生まれたものです。

⎯⎯当初のアイデアから形を変えて、素敵に仕上がったアイテムはありますか?
このスウェットがそうですね。もともと僕は“ストシン版デコトラ”を作ってアイテムどこかに入れたいと思っていましたが、今回の作品で「ラジオ局」が出てくるという話を聞いて、デコトラではなくラジオの電波をイメージしたデザインを刺繍でバンとともに入れました。ものづくりなので、うまくいかないことも当たり前にありましたが、それが良いスパイスになって、最終的に良い形で着地できたものがたくさんありました。

⎯⎯今日着用されているTシャツも、特別なエピソードがあると伺いました。
これは奇跡が起きたアイテムですね。デモゴルゴンと僕が共演するというデザインを最初に申請したら、一度ダメになったんです。デモゴルゴンにも気持ちがありますから仕方がないですよね、なんて話していたんですが、それが数日後に「この案でOKが出ました」と話が急転しまして。僕が鼻血を流しているこのポーズも、もともとはエルのポーズだから、エル以外の人がやるのはクリエイティブ的に厳しいだろうと分かっていました。だから、OKになったと聞いた時は「奇跡が起きすぎたな」とみんなで興奮していました。おそらく、本国チームが「まあまあ、いいじゃないか。今回くらいは」とデモゴルゴンを説得して、デモゴルゴンも「いいよ、いいよ」って言ってくれたんじゃないですかね。そうでなければ、OKは出なかったと思います(笑)。
⎯⎯デモゴルゴン、優しいですね(笑)。
「こうなったら面白いですね」という提案が実現してしまったので、不思議な感じです。ファンとしてはめちゃくちゃ嬉しい出来事でした。
ファンだからこそ難しい、作品愛とクリエイターのバランス
⎯⎯コラボテーマは「いきすぎた愛」。クリエイターとして、そしてファンとして、そのバランスはどのように意識されましたか。数字で言うと、何対何くらいでしょうか。
そうですね......最初は「ファン:6、クリエイター:4」くらいの熱量でやるのがいいかなと思っていました。ファンとしての気持ちを出さないと、この企画は違うだろうと。一度はその逆、「ファン:4、クリエイター:6」くらいの方がきっと良いものができるだろうと考え直したんですが、最終的には「ファン:6.5、クリエイター:3.5」くらいになった感じがしますね。やっぱり、自分がファンとして欲しいコラボアイテムを作るべきだ、という初心に戻って。それくらいのファンの度合いを込めて作りました。

取材当日に着用したボトムスもコラボアイテムのもの。プリントしてからヴィンテージ加工することで生まれた程よいかすれ感と遊び心あるデザインが特徴で、バックポケットには“ゲート”を思わせるステッチをさりげなく入れている。
⎯⎯制作過程では葛藤もあったのでしょうか。
ありましたね。デザインが通る、通らないということもたくさんありますし。でもファンであるがゆえに、とにかく“いきすぎた”デザインを一旦全力で出してみよう、と。結果的にいいところでパワーバランスも取れたと感じています。デコトラのポップアップストアも提案しましたよ、言うだけはタダなので(笑)。もちろん実現しなかったですけどね。
⎯⎯ファンとしての立場でクリエイションに参加するという経験は、これまでとは違いましたか。
この10年くらい、自分のことを応援してくださるファンの方と仕事をする機会はすごく増えました。でもその逆、自分がファンである立場で関わる機会は本当になかったんです。まさか大好きな作品に、ファンの自分が関わるなんて。本来なら関わる未来なんてないと思っていたし、そういう機会があっても関わらないというくらい、ファンとしての立ち位置を大事にしていた部分もあって。でも、この機会は誰もが経験できることではないと思い、意を決してファンとしてこのプロジェクトに参戦しようと決めました。今までのコラボとは全く違う苦悩と楽しみがあって、でも結果、全部が楽しかったなと心からそう思えますね。
⎯⎯スカジャンは監督のマット・ダファーさんがイベントで着用していたそうですね。
そうなんです。このコラボが発表される前にダファー兄弟と面会させていただく機会があって、その際に気に入っていただけたのでプレゼントしたんです。着用のお願いをしたわけではなかったんですが、イベントで着てくださったみたいで。知人たちから「スカジャン着てますよ!」と連絡がいっぱい来て、こんなことになるなんて思ってもいませんでした。
⎯⎯まさにクリエイター冥利に尽きますね。
作った甲斐がありました。だって、原作者が「それ欲しいんだけど」って言うってことは、ツボを突きまくってるってことですよね。

ストレンジャー・シングスの世界観を、日本の象徴的なアウターであるスカジャンに落とし込んだ一品。バックには物語のキーキャラクターと象徴的なシーンを刺繍で再現した。リバーシブル仕様になっている。
⎯⎯このコラボアイテムをどのように楽しんでほしいですか。
今の時代、ヘアメイク、ファッション、ミュージックといったものが、少し分離してきちゃっているような感じがしています。この作品が題材にしている年代は、それらがまだ連動してラウンドしていた時代。このコラボアイテムを着ることで、分離しているものに橋がかかって、より作品を楽しめる状況に絶対になると思います。ぜひ着用して、シーズン1から最後までもう一度駆け抜けてほしいですね。
⎯⎯最終章となるシーズン5は堂本さんご自身も着用して鑑賞されますか。
それはもちろんです。見ると終わっちゃうという気持ちもあって、最初のエピソードをどのタイミングで、どんな感じで見るか、まだ決められていないんですけどね。
⎯⎯ちなみにその時はどのアイテムを着たいですか?
このセットアップですね。「UPSIDE DOWNのゲート」をモチーフに、表側の世界と裏側の世界の境界をデザインしました。
⎯⎯袖部分のファスナーを開閉してシルエットをアレンジできるのがいいですね。なぜこのアイテムを選ばれたんですか?
ヴェクナ、デモゴルゴン、デモドッグ、デモバッドとか、裏側の世界の生命体をクローズアップしたアイテムって意外とないんです。そっち側を着用して見るっていうのも「ストレンジャー・シングス」っぽいかなって。

最終更新日:
■STRANGER THINGS × .ENDRECHERI. in ZOZOTOWN
受注販売期間:2025年11月27日(木)12:00〜12月24日(水)11:59
※ 販売期間終了後に再度販売する可能性有り
配送期間:2026年4月下旬~6月上旬予定
特設サイト
東京都出身。高校時代に編集者を志し、デザインもわかる編集者を目指して美術系専門学校でグラフィックおよびウェブデザインを学ぶ。ウェブメディア「ORICON STYLE(現・ORICON NEWS)」で編集を経験後、カナダでのワーキングホリデーを経て、2014年にレコオーランドに入社。ライフスタイル領域をメインに担当後、現在はシニアエディターとしてデスク業務のほか、セレクトショップや百貨店・商業施設、ECといった小売関連企業を中心に取材。企業のトップに取材する連載「トップに聞く」を担当している。趣味はボードゲーム。
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