
Image by: © ISSEY MIYAKE INC./Frédérique Dumoulin-Bonnet

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近藤悟史手掛ける「イッセイ ミヤケ(ISSEY MIYAKE)」が2026年春夏に掲げたテーマは「Being Garments, Being Sentient(衣服は意識を持つのか)」。コレクションは「もし衣服が生き物のように意識を持ち、意思表示をすることができるとしたら」という発想から製作された。衣服を身体を覆う道具としてではなく、自律性を持つ存在と捉え直す試みで、ランウェイには、肩が誇張され吊り上がったシャツや、袖を意外な場所に付けたジャケットや、片腕をその“穴”から出して着るスタイルなど、身体との関係性をずらすデザインが登場。違和感が遊び心を呼び起こし、着る人の意志によって多様なスタイリングを可能にする。「自由な精神を表現しようと思い、無機的なものと有機的なものを組み合わせることによって新たな身体と衣服の関係性を探ることと試みた。服に生物的な要素を与えることで、服自体も生き物のように面白い形になっていったり、着る側の身体、最終的には考え自体が自由になるのでは」と近藤は語る。
「ARMS」「GENERIC WEAR」では衣服が成長していく様や脱皮を思わせる造形をホールガーメント製法で実現し、Tシャツやパーカーに異質な表情を加えた。カンペール社との協業では、同ブランドのフットウェア「Peu Form」の有機的なフォルムを衣服に応用。革のように身体を覆うルックは仕立ての概念を超えた新しい衣服像を示した。さらに「A SHOPPER’S BODY」ではセカンドスキンのような伸縮性のある素材の中に空のボトルなどを閉じ込めた不思議な造形で消費社会を映し出し、「PALINDROME」ではシャツを裏返すことで二面性を提示した。
近藤からのオファーにより音楽はレバノン人アーティストでサウンドクリエーターのTarek Atouiが担当。石や水、獣皮など自然素材の楽器から生まれる音が会場に響き、有機質と無機質との融合というコレクションとも呼応するような生命力みなぎるライブパフォーマンスが演奏された。ショー終盤ではカンペールとの第2弾となる新スニーカー「Karst Finch」も披露。衣服に「意識」を宿すという仮説は、単なる造形実験にとどまらず、人と環境、消費社会との関係性にも問いを投げかけたようだった。
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