デザイナーユェチ・チが手掛ける「ユェチ・チ（YUEQI QI）」が、「Rakuten Fashion Week TOKYO 2025 S/S」で2025年春夏コレクションを発表した。会場は国立競技場の室内練習室。

　デザイナーのユェチ・チは、2018年にセントラル・セント・マーチンズのニットデザイン科を卒業し、「シャネル（CHANEL）」の刺繍アトリエで経験を積んだ後、2019年に自身の名を冠したブランドを設立。2020年春夏シーズンに上海ファッションウィークでコレクションデビューを果たし、東京のファッションウィークには2023年秋冬シーズンに初登場した。初期のコレクションは中国の文化やフォークロアから着想していたが、現在ではより個人的なテーマを探究しており、中国手工芸復興運動の担い手の1人として、緻密なビーズ作品を得意とし、ノスタルジックな色彩やディテールの作品で知られる。

　今シーズンの着想源としたのは「鍛造鉄（ワウトアイアン）と鉄格子（グリッドアイアン）の関係性」。鍛造鉄は精巧で表現豊かな装飾品としての創造性を持つのに対して、鉄格子は美的要素を削ぎ落とす代わりに大量生産され、機能性と経済性を追求するものとして、この2つの抽象的な概念を、クチュールとアスレジャーの対比によって表現した。

　ショーでは、国立競技場のアスリートの練習用のトラックを舞台に、ベースボールシャツやジャージなどのアスレチックウェアやデニム類などをベースにしたアイテムに、ブランドの強みでもある装飾的なアイテムを組み合わせたルックを披露。「アディダス（adidas）」とのコラボレーションウェアが4ルック登場した。このほか、10月15日に発売する「アグ（UGG）」とのコラボレーションシューズが初披露された。コラボシューズは、アグの厚底ショートブーツ「クラシック ミニ ディッパー」をベースに、ボディにステッチやスナップボタン付きの花の形のレザーパーツをあしらったウエスタン調のアイテム。表面には、ブランドロゴを模したハートのモチーフとシグネチャーである構造的なモジュラー装飾を取り付けることができる。なお、ショーのヘッドピースは、ヘア＆ヘッドアーティストの河野富広が手掛けた。