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【インタビュー】「モノを瞬時に現金化」新サービスCASHの仕組みは?光本代表に聞く

新会社で始める"現代版質屋"で新規市場の開拓へ

―MBOを実施すると同時に、ブラケットの社長の座を取締役の塚原文奈さんに交代。その狙いは?

 「STORES.jp」は基盤ができているので、0から1というよりは、1をどれだけ500にしていけるかという規模になりました。今でも経営には関わっていますが、私は新しいものを作ったりする方が得意なので、今まで一緒にブラケットを経営してきた塚原に社長を任せて、新しい事業の立ち上げのチャレンジに自分の時間を使っています。

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―新規事業をブラケットで展開しないのはなぜですか?

 ブラケットが「STORES.jpの会社」になった今、新しい事業をやるにあたって切り離すことが大事だと思いました。もちろん「STORES.jp」に対しては愛も想いも考えもある。ブラケットに関わっていたら深いレベルで携わりたくなってしまうのは目に見えているので、別組織にした方が結果的に皆にとって良いんじゃないかと思いました。

―新会社は何人で立ち上げたのでしょうか?資本金はいくらですか?

 創業時は3人でしたが、今は私を入れて5人。資本金は600万円です。 

―社名は「バンク(Bank.inc)」。名前の由来は?

 スタートトゥデイを卒業してから色々な業界の市場や課題を見てきました。それなりに規模がある市場で、このタイミングで事業を立ち上げるにあたり一番ベストな業界はどこだろうって考えた時に、興味持ったのが金融業界。社名は業界にちなんで付けました。

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―これまで金融業界の経験は?

 全く無いです。金融業界って小難しくて距離があって、冷たくて、馴染みがないようなイメージがあって、一般の人にとってすごく遠い存在。ですが、私たちは経済の世界にも生きていて、切っても切れない業界です。だからこそ、金融のサービスや業界を一般の人にとって親しみやすく、カジュアルにポップに付き合える物にしたいと考えました。これは「STORES.jp」を作った時の思いと一緒。それまでオンラインストアは知識や技術がある人しか作れない物でしたが、「STORES.jp」を作った私たちがECのプロだったかと言うと、全くのど素人でした。ここまで成長できたのは、ECのど素人がECを必要としている一般人のためにサービスを作ったことに価値があったと思うんです。そう言った意味でいうと、金融のど素人が、金融を知らない一般人のために作ったサービスに価値が生まれるんじゃないかと考えました。

―消費者の視点で考える。具体的にどのような事業を考えていますか?

 私たちがチャレンジしようとしているのは、あえて既存のフィールドを言うのであれば「消費者金融」なんです。世の中がこれだけ変化を遂げている中、金融業界は昔から全然変わってないと感じていて。ただ市場は大きく、消費者のニーズも世界の変化に合わせて変わってきていると思うんですよね。なので、このタイミングで全く変わっていないこの業界も今の消費者のニーズに合わせて変化を遂げるべきタイミングじゃないかなと。その変化を私たちが起こせたら面白いんじゃないかなと思ってのチャレンジです。

―第1弾となる「キャッシュ(CASH)」はどのようなサービス?

 あえて分かりやすく説明すると「現代版質屋」みたいな物です。質屋って何かと言うと、例えばブランドのバッグがあったとして、これを"人質"として預かった代わりにお金を貸すんです。借りた側には常に「お金を返す」か「お金を返さない」の2つのチョイスがあります。「お金を返す」場合は"人質"を返してもらえる。「お金を返さない場合」は、単純に商品をあげるだけです。

【アプリ「CASH」利用方法】

cash_20170628_011.jpg取り引きしたい商品のカテゴリーやブランド、コンディションなどの情報を入力した後、商品を撮影。査定結果が表示され、希望者は瞬間的にキャッシュ化することができる。現金の引き出しはいつでも可能で、コンビニ受け取りまたは銀行振込を選択。対象商品は2カ月以内に発送する必要があり、アプリを通して集荷依頼ができる。また、2カ月以内であればキャッシュ化した現金と15%の手数料を支払うことで取引をキャンセルすることも可能。利用履歴は「アクティビティ」に発送期限とともに表示される。必要な個人情報は電話番号のみで、従来の質屋などで必要な個人情報や審査は不要なのが特徴となっている。

■CASH:公式サイト

―スマートフォンで撮影するだけでキャッシュ化できる。質屋をカジュアルにしたサービスですね。

 「目の前にあるものが瞬間的にキャッシュに変えられるサービス」という見せ方にしています。開発には3カ月くらい使いましたね。現在はアパレル商材がメインで、iPhoneやiPad、タブレットなどのガジェットも対象になっていて、随時増やしていく予定です。

―査定結果はどのように決めているのでしょうか?

 二次流通のマーケットのあらゆるプライスがデータベース化されているので、それを活用しています。

―撮影した写真は査定結果に影響があるのでしょうか?また、撮影した写真は何かに活用するのでしょうか?

 写真よりもブランドや使用感とか、カテゴリの方が重要ですね。写真については私たちが二次利用するということはありません。

―収益源は?

 取り引きしたアイテムと、取り引きをキャンセルした場合にいただく15%の手数料が収益源になります。アイテムについては自分たちで出品してキャッシュ化するルートがあるので、当面はそれを活用します。

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―ビジネスとしてのうまみが少ないように感じますが。

 私たちは二次流通のマーケットプライスのだいたい3割の金額しか提供しません。それをキャッシュ化した場合、例えばオークションに出品すると6〜7割分の収益が乗っかるので、むしろお金で返してもらうより儲かるかもしれません。

―利用者に関する情報は電話番号のみ。リスクはないのでしょうか?

 これは性善説に基づくビジネス。壮大な社会実験だとも思っています。ただ、もし2カ月以内に商品を送っていただけない場合にはブラックリストに入って、それ以降は私たちのサービスが使えなくなります。

―消費者金融でよく聞く"取り立て屋に追われる"心配はないのでしょうか?

 「取り立て」という概念はありません。どんな状況においても、返済期間が過ぎればスパッと関係が終わるんです。それと私たちのサービスは最高2〜3万円という少額の資金需要を満たすサービスなので、高額の取り引きはしません。

―少額の資金需要はあるのでしょうか?

 従来の消費者金融サービスは、一回あたりの貸付単価の平均が50万円と高額。その理由はすごく明確で、結局お金を提供するサービスは与信が全てなんです。本人確認証の提示をはじめ、世帯人数や持ち家の有無、家族構成などの与信審査を人間がしています。それには時間とコストがかかるので、少額を貸していたら割に合わないんですよ。なので、貸付金が高額でないと結果的に儲からないんです。与信をとるから少額が貸せないのであれば、与信をとらずに少額のお金を提供して成り立つ仕組みが作れたらいいんじゃないかなと思ったんです。少額の資金需要はあると確信しています。

 それに、少額の資金需要の高さを表している現象が「メルカリ」の爆発的な成長だと思っているんです。皆さんがメルカリに出品するのは、やっぱりキャッシュが欲しいからだと思うんですよ。それも10万円や20万円といったレベルではなくて、5,000円〜1万円程度のお小遣い稼ぎをするために使っている。「キャッシュ」はそういう資金需要をすごくカジュアルに、超簡単に満たしてくれるサービスです。ファッション好きの方もいろいろなアイテム持っていると思いますが、みんながリッチかというとそうでもないし、若干の資金需要を求めている方もいるはずなので、カジュアルにファッション感覚で自分が持っているものをキャッシュに変えるという体験をしてもらえたら嬉しいです。

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―初年度の目標は?

 抽象的な答えになっちゃうかもしれませんが、そもそもこういう事業は今までになかったので比較できるものも無いですし、本当にどれくらいの方に使ってもらえるかも出してみないと分かりません。ただ、それなりの人に使って頂いたり、話題にして頂けるんじゃないかなという僅かながらの自信はあって。カッコつけて言うならば、私たちはマイクロファイナンスの企業になりたいんです。私たちのサービスをきちんと普及させることによって、この市場を自分たちの手で作り上げることが直近の目標ですね。

―将来的には海外展開も視野に入れていますか?

 このロジックがしっかり世の中で成り立つということが実証できれば、海外でも成り立つ仕組みだと思います。ただ、国民性に関わってくる事業なので、国は選ばなきゃいけないと思うんですけど。

―今後、他の起業と業務提携する計画などはありますか?

 今後はもしかしたら二次流通品の買取専門会社などと提携をして、取り引きした商品を捌いてもらう可能性もあるかもしれません。私もスタートトゥデイの中にいましたので、「ゾゾユーズド(ZOZOUSED)」のビジネスモデルをよく知っているのですが、二次流通のビジネスで一番大変なのは買い取るところなんですよね。売れるものさえ持ってしまえば、売り先はいくらでもあると思っているので、そこはあまり心配していないです。

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―その他のサービスの展開は予定していますか?

 「キャッシュ」のほかに、給料の前借りサービス「ペイデイ(pay day.)」を近日中にリリース予定です。仕組みは「キャッシュ」と同様。今後もアプリを通して、他の観点で少額の資金需要を提供するサービスをいっぱい出していきます。マイクロファイナンスの市場を私たちの手で作り上げるとともにマスのサービスになりたいので、マスの人たちの色んな需要を色んな角度や見せ方でキャプチャしていければなと思います。

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■公式サイト:バンクキャッシュペイデイ