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　桂は、1930年生まれ。1964年に日本人初のブライダルファッションデザイナーとして活動を開始し、1965年に日本初のブライダル専門店「ユミ カツラ」をオープンした。現在に至るまでパリやニューヨークなど世界各国30以上の都市でショーを行い「ブライダルの伝道師」とも称されるとともに、1965年には国内着用率が3%だったウェディングドレスの普及に大きく貢献。功績が認められ、1993年に外務大臣表彰、2019年に文化庁長官表彰、2023年には蚕糸功労者最高賞「恩賜賞」に選ばれた。　ユミカツラインターナショナルは桂の訃報に際し、「桂由美氏は、誰よりも花嫁を美しくすることに寄り添い、日本のブライダル文化の発展を願い、そしてユミカツラを愛していました。1965年から今日までの60年間並々ならぬ情熱を捧げてこられた桂由美氏の意思を受け継ぎ、ユミカツラとして100年続く企業を目指します」とコメントしている。

YUMI KATSURA

Fashion

桂由美が死去、日本人初のブライダルファッションデザイナーとして60年間活躍

　同ブランドは13日、公式インスタグラムを通じてロベルト・カヴァリの訃報を発表。動物のテキスタイルで知られるロベルトに敬意の念を表し、動物の柄を背景に、"Surround love yourself with love, becasue love will be the beacon of your life."や、"I copy the dress of an animal becasue I love to copy God. I think God is the most fantastic designer."などロベルトが残した名言を投稿し、彼を追悼した。また投稿と共に、2020年から同ブランドのクリエイティブディレクターを務めるファウスト・パグリッシ（Fausto Puglisi）の声明文も発表。ファウストは、「あなたはもう肉体的にはここにいないかもしれないけど、私はあなたの魂をいつも感じるでしょう。あたたがビジョンとスタイルをもって立ち上げたブランドのために働けることは、私のキャリアの中でも最高の名誉です。あなたの名は、多くの人々、そして特に私にとってのインスピレーションの道標であり続けるでしょう」とコメントを残した。　ロベルト・カヴァリは、1940年にイタリア・フィレンツェで誕生。同地の芸術学校で学んだ後、自身の名を冠したブランドを1970年に設立し、パリでデビューコレクションを発表した。アニマル柄をレザーにプリントしたアイテムをアイコンに、エレガントセクシーなドレスアイテムなどを展開してきた。

Roberto Cavalli

伊発ファッションデザイナー ロベルト・カヴァリが死去、享年83

　ルシアン・ペラフィネは1964年、フランスのニース生まれ。「ピエール・カルダン（pierre cardin）」のモデルを務めた後、「シャネル（CHANEL）」のスタイリングや「バルマン（BALMAIN）」のニットウェアのデザインを担当。1994年にファッションブランド「ルシアン ペラフィネ」をスタートさせ、ファーストコレクションとしてニューヨークでウィメンズのカシミヤのウェアを発表した。貴重な生地であるカシミヤに麻の葉やドクロ、ピースサインのモチーフを加えたデザインが好評を博し、「カシミヤの王様」として親しまれた。2021年に「ザディグ エ ヴォルテール（ZADIG & VOLTAIRE）」の創設者ティエリー・ジリエ（Thierry Gillier）によって買収され、ブランドを去った。

lucien pellat-finet

カシミヤの王様 ルシアン・ペラフィネが死去、享年78

　ハリー・フェインは、サザビーズの会長を務めた第15代ウェストモーランド伯爵を父に持ち、英国王室に仕える王冠宝飾職人「クラウン・ジュエラー」として知られるガラード家の一員であった母との間に誕生した。カルティエを中心にヴィンテージの時計やジュエリーの収集家として活動し、1987年にヴィンテージのカルティエと美術品を扱うプライベートギャラリー「オブシディアン（Obsidian）」を設立。2018年には、カルティエのアイコンウォッチ「タンク（TANK）」のヴィンテージコレクションの一部を「コム デ ギャルソン（COMME des GARÇONS）」南青山店で展示販売した。幅広いジュエリーやオブジェの販売をする傍ら、約半世紀にわたって収集活動をし続けた。

ヴィンテージジュエリーの世界的収集家 ハリー・フェインが死去

　ハリー氏は1954年、トロントにハリー・ローゼン社を設立。「ジョルジオ アルマーニ（GIORGIO ARMANI）」や「エルメネジルド ゼニア（Ermenegildo Zegna）」といったイタリアの高級ブランドをカナダで初めて販売し、2005年に息子のラリー・ローゼン（Larry Rosen）氏が会長兼CEOに就任するまで、51年間にわたって会社を牽引した。現在同社はカナダ全土に19店舗を展開している。　同社は、ハリー氏の訃報を受けてSNSを更新。「メンズウェアとファッションに対する彼の情熱は比類ないものだった。彼が我々に与えた影響は、言葉では表すことができません」とコメントした。

Business

「ハリー・ローゼン」創業者が死去、享年92

　石津祥介氏は「ヴァン（VAN）」の創業者である石津謙介氏の長男として1935年に誕生。明治大学文学部中退後、桑沢デザイン研究所を卒業し、婦人画報社「メンズクラブ（MEN'S CLUB）」編集部を経て、1960年に「ヴァンヂャケット」に入社。主に企画、宣伝部と役員を兼務し、1965年には石津謙介氏が提唱したアイビースタイルのバイブルとして知られる写真集「TAKE IVY」を出版した。日本メンズファッション協会常務理事、日本ユニフォームセンター理事を歴任。近年は、石津事務所代表として、アパレルブランドのブランディングや、衣食住に伴う企画ディレクション業務に携わっていた。

服飾評論家の石津祥介が逝去　享年88

　ダヴィデ・レンネは、11月1日付でモスキーノのクリエィブディレクターに就任。2024年2月に開催されるミラノファッションウィークの2024年秋冬シーズンでデビューコレクションの発表を予定していたが、就任からわずか9日後の訃報となった。　同氏はイタリア・トスカーナ出身。1996年から1999年までフィレンツェ大学とアート＆デザインスクールのポリモーダでファッションとコスチュームデザインを学び、卒業後は「アレッサンドロ・デラクア（Alessandro dell'Acqua）」のシニアデザイナーとしてキャリアをスタートした。2004年に「グッチ（GUCCI）」に入社して以来、20年以上にわたってウィメンズコレクションのデザインを手掛け、最終的にはウィメンズウェアのヘッドデザイナーを務めた。　モスキーノのクリエイティブディレクター就任後は、親会社であるアエッフェ（Aeffe）のマッシモ・フェレッティ（Massimo Ferretti）会長の直属として、メインラインのウィメンズとメンズ、アクセサリーを担当していた。

MOSCHINO

モスキーノの新クリエイティブディレクター ダヴィデ・レンネが逝去、就任からわずか9日

　アイヴァン・バートは、複数のモデルエージェンシーで経験を積んだ後、1994年にIMGモデルズに入社。ケイト・モス（Kate Moss）やナオミ・キャンベル（Naomi Campbell）、アシュリー・グラハム（Ashley Graham）、ベラ・ハディッド（Bella Hadid）、ジジ・ハディッド（Gigi Hadid）といった数々のモデルを見い出し、スーパーモデルとしてのキャリアを切り開くサポートを長年にわたって行ってきた。また多様性や包括性が注目される以前から、多様な体型や年齢、人種のモデルを積極的に採用し、活躍のチャンスを作ってきた人物としても知られている。バートは今年3月に同社の社長職を退任していたが、引き続きシニアアドバイザーとして取締役を務めていたという。　訃報の知らせを受け、ナオミ・キャンベルやアシュリー・グラハム、ジジ・ハディッドなど、多くのモデルや関係者がバートを追悼するコメントをインスタグラムなどで発表している。

Media

IMGモデルズ元社長 アイヴァン・バートが逝去、ナオミ・キャンベルやジジ・ハディッドらが追悼

　坂本氏は、1978年に細野晴臣氏、今年1月に死去した高橋幸宏氏とともにイエロー・マジック・オーケストラ（YMO）を結成。キーボードおよびシンセサイザーを担当し、「君に胸キュン」「ライディーン」などの楽曲を世に送り出した。ソロとしても活動し、音楽を手掛けた映画「戦場のメリークリスマス」では、日本人初の英国アカデミー賞作曲賞を受賞。今年1月には、坂本が闘病生活の中で日記を書くように制作した12曲を収録した自身6年半ぶりのアルバム「12」を発売した。　また、「ジュンヤ ワタナベ（JUNYA WATANABE）」2022年春夏コレクションで楽曲がBGMに採用されたほか、「ニューバランス（New Balance）」のグローバルフラッグシップストア「ニューバランス原宿」のオープンを記念して記念シューズのデザインを手掛けるなど、ファッション業界との繋がりも深かった。　坂本氏が所属するエイベックスは、訃報を受けニュースページを更新。ファンや関係者、医療従事者への感謝を伝え、最後に坂本氏が好んだという「Ars longa, vita brevis. 芸術は長く、人生は短し」という一説を紹介した。

Culture

音楽家 坂本龍一氏が死去、享年71

　同氏は、1934年スペイン生まれ。内戦を逃れ、フランスへ渡り、パリ国立高等美術学校で建築を学んだ。1966年にブランド「パコ ラバンヌ（Paco Rabanne）」を設立し、オートクチュールデビューを果たす。プラスチックや金属といった特殊な素材を使用したドレスなどを製作し、革新的なファッションで1960年代のファッションシーンに一大旋風を巻き起こした。その後、1969年に香水「カランドール」を発表し、またプレタポルテに進出した。　パコ・ラバンヌを傘下に持つプーチ（PUIG）会長兼CEOのマーク・プーチ（Marc Puig）は、「プーチのファッションとフレグランスのチームにとって、彼は重要なインスピレーションの源であり、パコ・ラバンヌ氏のラディカルでモダンなコードを表現するために、常に協力し合っているのです。彼の家族と彼を知る人々に、心からの哀悼の意を表します」とコメント。また、パコ・ラバンヌの公式インスタグラムでは「20世紀の最も影響力のあるファッション人物の中で、彼の遺産はインスピレーションの源であり続けるだろう」と敬意を表した。

Paco Rabanne

デザイナーのパコ・ラバンヌが逝去、享年88

　タチアナは1966年ドイツ生まれ、スウェーデン育ち。17歳で大手モデルエージェンシーが主催するコンテストに出場し入賞したのをきっかけにデビュー。1985年には英国VOGUEの表紙を飾るなど1990年代のスーパーモデルブームを牽引した。「シャネル（CHANEL）」や「ヴィヴィアン・ウエストウッド（Vivienne Westwood）」など多くのブランドでランウェイモデルを務め、最後にランウェイに登場したのは「エトロ（ETRO）」の2019年秋冬コレクションだった。

ETRO

元祖スーパーモデルのタチアナ・パティッツが死去、乳がんのため

　磯崎新は1931年大分市生まれ。1954年に東京大学卒業後、1961年に東京大学数物系大学院建築学博士課程を修了。故丹下健三に師事した。1963年に磯崎新アトリエを設立。代表作に「大分県立中央図書館」「つくばセンタービル」「ロサンゼルス現代美術館」「バルセロナ市オリンピック・スポーツホール」「ティーム・ディズニー・ビルディング」「トリノ冬季五輪アイスホッケーメーン会場」などがあり、国際的に活躍した。　主な受賞歴は日本建築学会賞、RIBA賞、朝日賞、ヴェネツィア・ビエンナーレ金獅子賞など。2019年には「建築界のノーベル賞」と称されるプリツカー賞を受賞した。＞＞その他の訃報記事を読む

日本を代表する建築家 磯崎新が死去、享年91

　ヴィヴィアン・ウエストウッドは1941年、イギリス生まれ。マルコム・マクラーレン（Malcolm McLaren）と共に、ショップ「レット・イット・ロック（Let It Rock）」を開店。その後、バンド「セックス・ピストルズ（Sex Pistols）」のプロデュースを行い、パンクファッションブームを巻き起こした。多くの若者支持を得て、自身の名を冠したブランド「ヴィヴィアン・ウエストウッド」を発表。パンクの女王として、第一線で活躍し続けた。

Vivienne Westwood

デザイナーのヴィヴィアン・ウエストウッドが逝去、享年81

　YOSHIは13歳の時に「オフ-ホワイト c/o ヴァージル アブロー（OFF-WHITE c/o VIRGIL ABLOH）」が東京で開催したパーティーでヴァージル・アブロー（Virgil Abloh）にファッションセンスを称賛されたことをきっかけに注目を集めた。これまで「アンブッシュ（AMBUSH®）」や「ヘルムート ラング（HELMUT LANG）」のモデルに起用された。2019年9月に映画「タロウのバカ」で俳優デビュー、同年5月にファーストアルバム「SEX IS LIFE」で歌手デビューした。＞＞14歳当時のストリートスナップを見る

俳優・モデルのYOSHIが死去、大型バイク運転中にトラックに衝突

　ワイデンは、1982年にビジネスパートナーのデイヴィット・ケネディ（David Kennedy）と共にワイデン+ケネディの前身「Wieden & Kennedy」を設立。「ナイキ（NIKE）」のキャッチコピー「Just Do It」を考案するなど、世界最大の広告代理店の一つとしての礎を築き上げた。現在同社はナイキのほか、マクドナルドやフォード・モーター・カンパニーなどを顧客に抱え、世界中に8つのオフィスを構えビジネスを展開している。　訃報を受けワイデン+ケネディは、公式Instagramで声明を発表。「私たちは心を痛めているが、それ以上に、感謝と愛情を感じている。あなたの誠実さ、勇気、信念、そして変わらぬ愛に感謝したい。あなたがいなくなるのは、とても寂しい」と追悼の意を表した。

ワイデン+ケネディの創立者 ダン・ワイデンが死去、享年77

ポスト

　三宅一生（8月5日死去）、森英恵（8月11日死去）、エリザベス女王（9月8日死去）と大物の死去が続いている。遂にというべきか、ザ・映画監督のジャン＝リュック・ゴダールまでが9月13日に91歳で亡くなった。　その訃報で一番驚いたのは、死因が病気ではなく、スイスでは合法になっている自殺幇助によっていたこと。自ら死を選び、医師が処方した薬を飲んで逝ったという。死ぬ時も自分なりにオリジナリティーを発揮しているのがいかにゴダールらしいと思う。この10年間はある意味人生にかなり疲れていたのではないかと思う。家族（3人目のパートナーであるアンヌ＝マリーミエヴィル）に看取られ穏やかな死に顔だったという。この訃報を知って、ああ、スイスならこんな死に方もできるんだと思った人もかなりいたのではないか。最期に人間の死に方にある種の提案をしたということか。　高校時代には、文章を読んだだけでまだ見たこともないゴダールの映画に刺激を受けて、「男は男である」と言う映画を制作して文化祭で上映したのが思い出される。　さらに私が大学に入って1973年に上京したのは、ゴダールの映画を見るためだった。「カトル・ド・シネマ」という名画鑑賞会に入会して、日本青年館とか中野公会堂とかで、ゴダールを中心にヌーヴェルヴァーグの映画を見続けた。その多くは政治的なメッセージが多く、また映画的にもかなり独りよがりで難解な映画が多かったが、自分なりに評価していた。トリュフォーの映画は、ゴダールに比べて、政治色はほとんどなく見やすい映画がほとんどで人気は断然こっちの方だった。しかし映画史的には、ゴダールの方が断然価値は高いと思う。鑑賞会が終わった後に、安酒場で映画の批評会をやるのが通例で、大酒を飲むようになったのもゴダールのおかげだ。　ゴダールの作品で最も私が好きな映画と言うことになると、1970年代のジガ・ヴェルトフ集団を結成して匿名性のもとに映画の集団制作を行っていた政治的メッセージの映画の時代を経て、1980年代にゴダールがまた作家性を取り戻して、商業映画を撮り始めた時期の「パッション」（1982）をあげたい。ここから「カルメンと呼ばれた女」（1983）、「ゴダールのマリア」(1985)、「ゴダールの探偵」（1985）と続くゴダールにとっての第2のピークが訪れている。また私は、クラシック音楽のマニアでもあるが、ゴダールの映画では、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲を始め、バッハ、モーツァルトなどの曲がふんだんに使われており、これも私がゴダールの熱狂的ファンであることの理由になっている。　ゴダールがヌーヴェルヴァーグの旗手として活躍した1960年代は、ファッションがオートクチュールからプレタポルテに移行する時期にあたり、まさにパリがファッションの首都として光り輝いた時期である。当然、「アンチ・ブルジョア」を謳っていても、ゴダールの映画に登場する女優たちは、そうした時代のファッションを身に纏っている。最初と2番目のゴダールの妻だったアンナ・カリーナ(1940〜2019)、アンヌ・ヴィアゼムスキー(1949〜2017)は多分私服だったのではないかと思うが、十分にそのファッションはその時代の空気を反映していて美しい。「軽蔑」（1963）ではブリジット・バルドー(1934〜)のファッションが見ものである。　その映画自体が、ファッションにインパクトを与えたということになると、ヌーヴェルバーグの代表作として必ず挙げられる「勝手にしやがれ」(1960)だろう。「インターナショナル　ヘラルド トリビューン」をシャンゼリゼで売っている新聞売りのアメリカ娘ジーン・セバーグ(1938〜1979)のショートカットヘア(セシルカット)とカプリパンツ（サブリナパンツ）だ。いずれも、「悲しみよこんにちは」(1958年、サガンの小説の映画化で主人公の名はセシル)と「麗しのサブリナ」(1954年、主人公を演じるのはオードリー・ヘプバーン)の流用ともいえるが、この「勝手にしやがれ」の方が強く印象に残っている。　期待しているのは、ゴダールの死で、その作品がTV放映されることだ。初期の有名作だけでなく、1980年代の傑作の放映を期待したいものである。　しかし、月並みな感想を書き続けているが、こう大物の死が続くと、いやが上にも、時代の変わり目というのを意識せずにはいられない。

SEVENTIE TWO

映画監督 ジャン＝リュック・ゴダールが死去　スイスでは合法の自殺幇助により

　イギリス王室はエリザベス女王が9月8日に崩御したと発表を行った。96歳だった。9月6日に女王から首相に任命されたばかりのリズ・トラス首相が「深い憂慮」を表明する中、8月からスコットランド・バルモラル城で医学的監督下に入ったばかりだった。在位期間70年は英国王室史上最長で世界的に見るとフランスのルイ14世（1643〜1715）に次いで第2位。その生涯は、第二次世界大戦（1939〜1945）、スエズ危機（1956年）、フォークランド紛争（1982年）、湾岸戦争（1991年）、イラク戦争（2003年）、ロシアのウクライナ侵攻（1922年〜）など戦禍の絶えない激動の96年だった。　これほど国民から愛された君主は歴史上いなかったのではないかと言われるほどの存在だった。第二次世界大戦後に凋落するかつての大英帝国の女王に1952年に25歳の若さで即位。まさに英国民とともにその「英国病」の苦難を乗り越えて来た女王だ。しかし、1981年に結婚した長男チャールズ皇太子とダイアナ元皇太子妃のダブル不倫、離婚、ダイアナ元妃の交通事故死で英国王室の人気はどん底まで落ち、王室廃止論も浮上し国民の王室離れが進んだと言われる。そこでとられた戦略が「開かれた王室」と呼ばれるもの。地方訪問や慈善活動の時にはSNS活用などの努力で再び王室は人気を取り戻したかに見えたが、再びチャールズ皇太子の次男ヘンリー王子とメーガン妃の王室離脱があったり、女王の三男アンドルー王子の未成年性交問題などまた英国王室には暗雲が漂っている。屋台骨を支えたエリザベス王女の死で英国王室はどうなっていくのか不安は隠せない。　ファッション的には、亡くなったエリザベス女王のファッションは実にオーセンティックなものだった。例えば亡きダイアナ元皇太子妃が現在も「ディオール（DIOR）」の代表的なハンドバッグになっている「レディ ディオール」の広告塔になったことなどに比べれば、着用したり使っているブランドは、「スマイソン（SMYTHSON）」、「ハンター（Hunter）」、「ロウナーロンドン（Launer London）」、「バブアー（BarBour）」、「アネーロ ダヴィデ（Anello&Davide）」「フルトンアンブレラ（Fulton Umbrellas）」、「アスプレイ（Asprey）」、「パーカー（PARKER）」（万年筆）、「ロバーツ ラジオ（Roberts Radio）」など大半はロイヤル・ワラント（王室御用達）のブランドだ。日本に上陸を果たしているブランドがほとんどだが、女王の死去で人気が出てくるブランドがあるかもしれない。　エリザベス女王には専属のパーソナル・アシスタント兼シニア・ドレッサーのアンジェラ・ケリーがいた。女王は重要なイベントでは必ずと言っていいほど彼女がデザインした服を着用するなど絶大な信頼を得ていた。ケリーは2019年に出版された「The other side of the Coin：The Queen, the Dresser and the Wordrobe」の中で「女王の靴を履き慣らし、いつでも出掛けられる状態にしていたのは女王陛下と足のサイズが同じだった私です」と書いているほどだ。　また女王の戴冠式ガウン（1953年）とウェディングドレス（1947年）をデザインしたことで有名になった王室御用達デザイナーはノーマン・ハートネル（Norman Hartnell、1901-1979）だ。ウェディングドレスにはエピソードがある。第2次世界大戦後の物資難で配給制だったため「英国王室として恥ずかしくないウェディングドレスを作って欲しい」と国民から王室に配給券が多数送られ、実際にその配給券でウェディングドレスは作られた。英国王室と国民の強い絆を感じさせるエピソードだ。　エリザベス女王のファッションでなくてはならないものと言えば帽子だろう。身長が決して高くない女王は身長を高く見せるために、ドレスと同色の帽子を被ることを徹底していたという。帽子デザイナーとして30年以上女王の帽子を作り続けてきた職人のひとりがレイチェル・トレヴァー=モーガンだ。モーガンは「女王陛下のために帽子をデザインするときは、同じワラントホルダーであるドレスメーカーのスチュワート・パーヴィングとの共同作業がほとんどです。彼からスケッチと材料見本を受け取り、そこから帽子のデザインを進めていきます」と語っている。　2021年12月31日にEU離脱を完了し、さらに英国王室を支えてきたエリザベス女王を失った今、英国の今後に注目が集まっている。

エリザベス女王崩御とそのファッション　ウェディングドレスにまつわるエピソード

インサイド

ファッション業界などから寄せられた追悼投稿■「バーバリー（BURBERRY）」■「ザボディショップ（THE BODY SHOP）」女王陛下エリザベス2世のご逝去を知り、深い悲しみに包まれています。ブランドを代表して、王室の皆様にお悔やみを申し上げます。歴代最長の君主かつ女性元首として、国家やイギリス連邦への忠勤ならびに女王陛下の遺したレガシーに感謝しています。■「ジョー マローン ロンドン（JO MALONE LONDON）」女王陛下エリザベス2世のご逝去を知り、深い悲しみに暮れています。誇り高き英国のブランドとして、国民や世界中の皆様と共にこの死を悼みます。王室の皆様に深い哀悼の意を表します。■「ハンター（HUNTER）」エリザベス2世女王陛下のご逝去を悼み、心よりお悔やみ申し上げます。 ⁣英国で最も長く在位した君主として、女王陛下はその献身とリーダーシップで私たち全員にインスピレーションを与え、忘れられないレガシーを残して下さいました。王室の皆様に深い哀悼の意を表します。■「ロウナー ロンドン（LAUNER LONDON）」■「クリストファー・ケイン（CHRISTOPHER KANE）」女王陛下のご逝去の報に接し、心よりお悔やみ申し上げます。残された王室の皆様にもお悔やみを申し上げます。私たちは、女王陛下の統治や国家および連邦への奉仕に深い敬意を表します。どうか安らかにお眠り下さい。■「マルベリー（Mulberry）」生涯を通じて献身的な奉仕で人々をインスパイアした卓越した女性、エリザベス2世女王陛下の死を深く悲しんでいます。私たちの思いは王室と共にあり、世界中の人々とともに女王陛下の死を悼みます。ポートレートは、写真家セシル・ビートンが1968年に撮影。女王陛下に敬意を表して、英国の全店舗は明日9月9日金曜日の営業を取り止めます。■「モルトンブラウン（MOLTON BROWN）」エリザベス2世女王陛下のご逝去の報に接し、心よりお悔やみ申し上げます。人々に愛され、尊敬された歴代最長の君主として、英国や連邦、そして世界への生涯にわたる献身的な公務を忘れません。■「ポール・スミス（Paul Smith）」70年におよぶ在位期間中、計り知れない尊厳や敬意、無私とともに英国に奉仕してきたエリザベス2世女王陛下の訃報に、深い悲しみを覚えています。コンパニオンズ・オブ・オナー勲章を昨年受章させていただくとともに、女王陛下にお目にかかる機会を頂戴し光栄に思います。1994年に、女王陛下からコマンダーを授与して頂いたことも大変名誉なことでした。英国の芸術と産業を支持して下さったことを永遠に感謝します。私や妻、そしてブランドのチーム全体の思いは、王室と共にあります。（Ann Carringtonによる作品「Pearly Queen of Bluegate Fields」は、ポール・スミスで開催されたジュエリーの展示会で展示されました。）■アレキサンダー・マックイーン（Alexander McQueen）」■「ステラ マッカートニー（STELLA McCARTNEY）」エリザベス2世女王陛下の訃報に、深い悲しみを覚えています。ブランドのチームを代表して、王室に心からお悔やみを申し上げますーーステラ「したがって、私の戴冠式は失われた力と輝きの象徴ではなく、将来に対する私たちの希望の宣言であり、神の恵みと慈悲によって、私は治世を行い、皆様の女王としてお役に立ちます。」ーーエリザベス2世女王陛下■「ルイ・ヴィトン（LOUIS VUITTON）」LVMHグループは、エリザベス2世女王陛下のご逝去に際し、英国王室、英国およびイギリス連邦の人々に心からの哀悼の意を表します。女王の変わらぬ強い使命感は、これからも世界中でインスピレーションを与え続けるでしょう。■ケリング（KERING）■「ティファニー（Tiffany ＆ Co.）」■「ディオール（DIOR）」エリザベス2世女王陛下の訃報に、深い悲しみを覚えています。英国は、メゾンの伝統の中でも長い間特別な存在であり、メゾンの創始者および後継者により祝福されているインスピレーション源です。王室の皆様と英国の友人たちに心からお悔やみを申し上げます。■「エンポリオ アルマーニ（EMPORIO ARMANI）」エリザベス2世女王陛下が去った世界を想像することは容易ではありません。それは英国人ではなくとも、女王陛下が好きだった皆様にとっても同じだと思います。君主制のアイデアは常に1つの夢を生み出し、歴史やおとぎ話とも結びついています。エリザベス2世女王陛下は女王の象徴でした。バランスが取れており、忠実であり、避けられないスキャンダルにも動じず、どんな些細な仕草も象徴的でした。デザイナーとして、私はいつも女王陛下の慎ましさとともに、個人的な服装やコミュニケーションの方法に感心していました。私は彼女について何も変えなかったでしょう。彼女の訃報を聞いて悲しくなります。ジョルジオ・アルマーニ■ロンドンの老舗百貨店「セルフリッジ（SELFRIDGES）」■ロンドンの老舗百貨店「リバティ ロンドン（LIBERTY LONDON）」■「セルフポートレート（SELF-PORTRAIT）」■「グッチ（GUCCI）」エリザベス2世女王陛下のご逝去を悼み、心よりお悔やみ申し上げます。真の恵みは稀であり、女王陛下の尊厳、強さ、希望を思い出すことで最も深く感じられます。王室や彼女を愛した世界中の皆様に心よりお悔やみを申し上げます。■グッチ クリエイティブ・ディレクター アレッサンドロ・ミケーレ■クイーン（QUEEN）のギター ブライアン・メイ■サラ・ジェーン・アダムス■ファッションジャーナリスト 宮田理江■ヴィクトリア・ベッカム（Victoria Beckham）■ファッションデザイナー ポール・サリッジ■「ケイト・スペード ニューヨーク（kate spade new york）」世界がエリザベス2世女王陛下の死を悼むように、英国の空に虹がかかりました。王室や英国、イギリス連邦に心からお悔やみを申し上げます。私たちは女王を、公のために務め、献身的で、強さを象徴する永遠の人物として称えます。そのレガシーは過去70年をはるかに超えて生き続けるでしょう。■「グローブ・トロッター（GLOBE-TROTTER）」9月8日木曜日にエリザベス2世女王陛下がお亡くなりになられたことを知り、心よりお悔やみ申し上げます。女王陛下の王位への奉仕は最大限の敬意をもって記憶されるとともに、私たちの思いは英国王室と共にあります。グローブ・トロッターは、エリザベス2世女王陛下の訃報を悼み、世界中の人々と手を取り合います。■「ヴォーグ（VOGUE）」■「ヴィヴィアン・ウエストウッド（Vivienne Westwood）」女王は国家に奉仕します。毎朝朝食をとり、ほとんどの日の服装は公務のために決められたものです。握手をしたり、スピーチをするためです。英国の全ての国家機関は、女王の承認と帰属を求めています。女王の人生は定められたものです。王室は社会的なセメントです。女王は国を取りまとめるとともに、外交の船首像でもあります。王室が世襲であり、王室のメンバーが外交の方法を受け継ぎ、国家や世界に対する義務感を育むことは非常に重要であると思います。私たちはみな、女王に感謝しています。■「アップル（Apple）」■くまのパディントン■「JW アンダーソン（JW ANDERSON）」■「マノロ ブラニク（Manolo Blahnik）」■ファッションフォトグラファー ニック・ナイト（Nick Knight）■「ジミーチュウ（JIMMY CHOO）」■デザイナー シャーロット・オリンピア・デラル（Charlotte Olympia dellal）

エリザベス女王死去　ファッション業界からも追悼の声＜随時更新＞

　【ロンドン＝若月美奈通信員】英国のエリザベス女王が9月8日、スコットランドのバルモラル城で死去した。96歳だった。6月には在位70周年の記念式典が盛大に行われ、今月6日にはカーディガンにチェックのスカート姿で、リズ・トラス氏を首相に任命する姿が報道されたばかりで、英国民は驚きと悲しみを隠さない。BBC放送をはじめテレビ各局では終日、追悼版番組が放映された。　そうしたなか、英国ファッション協会（BFC）は16～20日に予定されているロンドン・ファッション・ウィークを予定通り開催することを明らかにした。もっとも、主要なビジネス活動のみの開催で、ショーは行うが、パーティーやオープニングなど、公式スケジュールにあるイベントは全てキャンセルされる。女王の葬儀は10日後に行われる可能性があり、その日のショーは再調整の必要が生じる。

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英エリザベス女王死去、ロンドン・ファッション・ウィークは決行

　女王エリザベス2世の本名はエリザベス・アレクサンドラ・メアリー・ウィンザーで、1926年にヨーク公の長女としてロンドンで誕生。1952年2月6日に25歳で即位した。在位期間は歴代最長で70年にわたり君主を務めてきた。1947年にフィリップ・マウントバッテン大尉と結婚し、子どもには長男のチャールズ皇太子、長女のアン王女、次男のアンドルー王子、三男のエドワード王子がいる。　訃報を受けて、ファッション業界でも死を悼む声が相次いでおり、「バーバリー（BURBERRY）」「ポール・スミス（Paul Smith）」「ディオール（DIOR）」「グッチ（GUCCI）」など多くのラグジュアリーブランドやデザイナーから追悼コメントが寄せられている。