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エリザベス女王崩御とそのファッション ウェディングドレスにまつわるエピソード

©Blakeway Productions 2020 copyright_Getty Images 2020

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エリザベス女王崩御とそのファッション ウェディングドレスにまつわるエピソード

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 イギリス王室はエリザベス女王が9月8日に崩御したと発表を行った。96歳だった。9月6日に女王から首相に任命されたばかりのリズ・トラス首相が「深い憂慮」を表明する中、8月からスコットランド・バルモラル城で医学的監督下に入ったばかりだった。在位期間70年は英国王室史上最長で世界的に見るとフランスのルイ14世(1643〜1715)に次いで第2位。その生涯は、第二次世界大戦(1939〜1945)、スエズ危機(1956年)、フォークランド紛争(1982年)、湾岸戦争(1991年)、イラク戦争(2003年)、ロシアのウクライナ侵攻(1922年〜)など戦禍の絶えない激動の96年だった。

 これほど国民から愛された君主は歴史上いなかったのではないかと言われるほどの存在だった。第二次世界大戦後に凋落するかつての大英帝国の女王に1952年に25歳の若さで即位。まさに英国民とともにその「英国病」の苦難を乗り越えて来た女王だ。しかし、1981年に結婚した長男チャールズ皇太子とダイアナ元皇太子妃のダブル不倫、離婚、ダイアナ元妃の交通事故死で英国王室の人気はどん底まで落ち、王室廃止論も浮上し国民の王室離れが進んだと言われる。そこでとられた戦略が「開かれた王室」と呼ばれるもの。地方訪問や慈善活動の時にはSNS活用などの努力で再び王室は人気を取り戻したかに見えたが、再びチャールズ皇太子の次男ヘンリー王子とメーガン妃の王室離脱があったり、女王の三男アンドルー王子の未成年性交問題などまた英国王室には暗雲が漂っている。屋台骨を支えたエリザベス王女の死で英国王室はどうなっていくのか不安は隠せない。

 ファッション的には、亡くなったエリザベス女王のファッションは実にオーセンティックなものだった。例えば亡きダイアナ元皇太子妃が現在も「ディオール(DIOR)」の代表的なハンドバッグになっている「レディ ディオール」の広告塔になったことなどに比べれば、着用したり使っているブランドは、「スマイソン(SMYTHSON)」、「ハンター(Hunter)」、「ロウナーロンドン(Launer London)」、「バブアー(BarBour)」、「アネーロ ダヴィデ(Anello&Davide)」「フルトンアンブレラ(Fulton Umbrellas)」、「アスプレイ(Asprey)」、「パーカー(PARKER)」(万年筆)、「ロバーツ ラジオ(Roberts Radio)」など大半はロイヤル・ワラント(王室御用達)のブランドだ。日本に上陸を果たしているブランドがほとんどだが、女王の死去で人気が出てくるブランドがあるかもしれない。

 エリザベス女王には専属のパーソナル・アシスタント兼シニア・ドレッサーのアンジェラ・ケリーがいた。女王は重要なイベントでは必ずと言っていいほど彼女がデザインした服を着用するなど絶大な信頼を得ていた。ケリーは2019年に出版された「The other side of the Coin:The Queen, the Dresser and the Wordrobe」の中で「女王の靴を履き慣らし、いつでも出掛けられる状態にしていたのは女王陛下と足のサイズが同じだった私です」と書いているほどだ。

 また女王の戴冠式ガウン(1953年)とウェディングドレス(1947年)をデザインしたことで有名になった王室御用達デザイナーはノーマン・ハートネル(Norman Hartnell、1901-1979)だ。ウェディングドレスにはエピソードがある。第2次世界大戦後の物資難で配給制だったため「英国王室として恥ずかしくないウェディングドレスを作って欲しい」と国民から王室に配給券が多数送られ、実際にその配給券でウェディングドレスは作られた。英国王室と国民の強い絆を感じさせるエピソードだ。

 エリザベス女王のファッションでなくてはならないものと言えば帽子だろう。身長が決して高くない女王は身長を高く見せるために、ドレスと同色の帽子を被ることを徹底していたという。帽子デザイナーとして30年以上女王の帽子を作り続けてきた職人のひとりがレイチェル・トレヴァー=モーガンだ。モーガンは「女王陛下のために帽子をデザインするときは、同じワラントホルダーであるドレスメーカーのスチュワート・パーヴィングとの共同作業がほとんどです。彼からスケッチと材料見本を受け取り、そこから帽子のデザインを進めていきます」と語っている。

 2021年12月31日にEU離脱を完了し、さらに英国王室を支えてきたエリザベス女王を失った今、英国の今後に注目が集まっている。

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