Interview | 彼が思う美意識について。vol.9

黒川想矢

黒川想矢

Interview | 彼が思う美意識について。vol.9

パスタを茹でながら考える
「新しさ」について 

リリー・フランキーさんが教えてくれたこと

黒川想矢

 「美しさ」の意味や考え方は、十人十色。傷ひとつないまっさらな状態も、時を重ねてなお輝くアンティークな状態も、美しさの一部だ。今を生き、未来への上り坂を駆け上がっている"彼"は、美しさをどう捉えているのだろう。ビューティ、ファッション、ライフスタイルの枠を超えて、彼の美意識を紐解く、オリジナルインタビュー。第9回は、俳優の黒川想矢にフォーカス。

 「今回の受賞において、僕は2つの自分と戦っています。たくさんの方々のサポートや運でしかないと思う自分と、まるで自分の力でやり遂げたと勘違いしてしまう自分です」⎯⎯。映画「怪物」で日本アカデミー賞 新人俳優賞を受賞した際の彼のスピーチは、今でも多くの人の記憶に残っているはず。すでに一流俳優の仲間入りを果たしている今、改めて話を聞いてみると、その素顔はあどけなさの残るフレッシュな16歳。その姿に安堵しつつも、考えやものの見方には誰もが才能を感じざるをえない独特な感性とワードチョイスが光っていた。高校生の等身大のスキンケアルーティンや興味のある美容からファッションについて、そして役者としてのこれからの話まで、今の彼を聞いた。
そして、彼が思う美意識とは──。

topic1.「国宝」撮影時に始まったスキンケアルーティン

⎯⎯現在高校2年生ということで、一般的には肌が荒れやすい時期だと思います。人前に立つうえで気にかけていることはありますか?

 基本的なスキンケアルーティンは怠らずにやっています。「無印良品」の化粧水と乳液を使っていますが、数ヶ月前から「アルジタル(ARGITAL)」の「インテンシブ エキナセアクリーム」を使うようになりました。誕生日プレゼントとしていただいたのをきっかけに使い始め、気に入ったので自分で買い足しています。塗るとスーッとする感覚が気持ちよくて。パッケージもおしゃれだから、少し気分が上がります。

⎯⎯スキンケアを意識し始めたのはいつごろですか?

 化粧水やクリームを含め、意識的にやり始めたのはここ数年ですね。「国宝」という映画の撮影で、毎日のように歌舞伎役者のおしろいをしていたんです。メイクをして落として...の繰り返しだったので、共演者やスタッフの方にもスキンケアをしっかりするようアドバイスをもらいました。そこからビタミンCのサプリも取り入れて、インナーケアも始めました。サプリは他にもたくさんの種類があるので、今後も自分に合うものを探して少しずつ取り入れていこうと思っています。
⎯⎯学校や仕事で出会う同年代の美容意識はどうですか?

 ちょっとやばいかも、と焦るくらい美容に詳しい人やちゃんとケアしている人が多い印象です。思春期のわりに肌がツルツルだったり、メンズでもセルフメイクをしていたり。改めて友達と美容の話をする機会もほとんどないので、今度勇気を出して聞いてみようかなと思っています。

⎯⎯プロのヘアメイクさんとも会われるでしょうし、教えてくれる人は多そうですよね。

 そうですね。しっかりヘアメイクをしてもらったときの自分の姿はすごくきれいだし、これを自分でできるようになったら強いだろうなと。周りの人に聞きながらヘアセットやメイクを練習して、高校を卒業するまでにはある程度自分でできるようになりたいですね。
⎯⎯そのほか食生活などで気にしていることはありますか?

 好きなものをたくさん食べることです!好き嫌いが多いのは良くないですが、僕のボス(舘ひろし)が、「嫌いなものは無理して食べなくていい」という考え方で、僕もそれに習っているというか、賛成しています(笑)。そうとは言っても苦手なトマト以外はバランスよく食べていますよ。

 自分は何においても考えすぎてしまう性格なので、食べ物の話だけじゃなく、全体的にもっと自由なスタンスでいようと思っています。そうすることで感情をフラットに保つことができて、お芝居への集中力もグッと上がるんじゃないかと。食生活はそんなマインド作りの一環でもありますね。
アルジタル「インテンシブ エキナセアクリーム」

topic2.ワードローブにはTシャツ50枚。ファッションにも敏感なセンス

 この日、"放課後"に撮影へやってきた彼の私服はすでにハイセンス。古着店で購入したというエッジの効いたデニムのセットアップにそのままでの撮影を提案したものの、用意された衣装に一目惚れの様子だった。
⎯⎯今日はスタイリストが用意した服の中からお好きなものを選んでいただきました。このコーディネートにした理由は?

 直感です。見た瞬間、これだ!と思いました。意外って言われるんですけど、パンチの効いたデザインが好きなんです。スカジャンのようなフォルムなのにシースルーっていうのがまた面白いですよね。私服では青いアイテムが多いので、今回赤いシャツを着たのが新鮮でした。

⎯⎯自分で服を買うことは多いですか?

 最近増えましたね。ファッション関連の撮影をさせていただくこともあって、現場で出合った服から影響を受けています。もともと服を選ぶときは映画の登場人物やキャラクターからインスピレーションを受けるタイプだったので、ファッション撮影を通して自分の好みや候補が広がった気がします。
⎯⎯一番多く持っているアイテムは?

 間違いなくTシャツですね。50枚くらいはあると思います。プレゼントでいただくこともあったし、ロケ先で限定品を買いがちなのもTシャツ。中でも"びいふ"と"けえき"ってひらがなで買いてあるデザインのものがお気に入りで、去年は週2くらいで着ていたと思います(笑)。今年も新しいTシャツが欲しくなってしまいそうだけど、なんせ50枚もあるのでまた着たことがないものもあり。まずはそれらを全部着ることからですね。

topic3."無意識"から生まれる自然な芝居

 多くの映画玄人をも虜にしてきた彼の芝居にはどんな秘密が隠されているのだろう、と質問。しかし答えは、誰も真似できない彼だけの素直な人柄にあるようだった。

⎯⎯米アカデミー賞にノミネートされたアニメーション映画「アルコ(ARCO)」の日本版では、主人公 アルコの声を担当されています。

 アルコはごく普通の子だけど、とても勇敢で、未来に希望を持つことを恐れない強さがあります。僕は、この映画には悪が存在しないような印象を受けました。強さだったり優しさだったり、アツくなるストーリーです。
⎯⎯声優の経験は初めてだったとか。

 また新たな挑戦をさせていただきました。役の感情を想像するということはこれまでのお芝居でもやってきましたが、アニメーションではさらに想像力が必要でした。作品の中では崖の上から叫んでいるシーンでも、実際はモニターとマイクの狭い距離感なんですよね。だから自分の意識が収録スタジオに置かれたままだとダメなんです。そこが難しかった。アルコがいる場所と、彼がその世界をどう見ているのかという視点を想像しながら声を吹き込みました。

⎯⎯黒川さんの"ボス"が主演の映画「免許返納!?」も6月19日に公開されますね。

 初めてのコメディ作品ということで、これもまた新しい経験でした。映画作品でボスと共演したのが初めてで、現場だけじゃなく食事の席でもいろんな話を聞かせていただきました。ボスがいると緊張する気持ちもあるけど安心する気持ちもあって、お会いするたびに新しい学びがあります。もっと立派な俳優になって早く恩返しをしたいですね。
⎯⎯作品が立て続く中で、役の切り替えに迷うことはありますか?

 切り替えているっていう意識があまりないんです。芝居をしているというよりは、その人物の感情を、自分の身体を使って自然に発信している、みたいな感覚で。ストーリーの中に在る風とか匂いとか相手の言葉を、空っぽな自分の中に入れて返す"無意識"の行動かもしれません。

topic4.彼の美意識

 最後の質問をすると、室内には静かな時間が30秒ほど続いた。そして、彼は一つひとつの言葉を包み込むように優しく並べる。

⎯⎯黒川さんが思う「美意識」とは?

 美しいものを見て、反射的に美しいと思える感性だと思います。ある意味、無意識こそが美しさに対する意識なのかもしれません。僕は写真を撮るのが好きで学校でも写真部に入っているのですが、そこでの活動も一緒。余計な考えを全部停止して無になれた時の写真が一番きれい。今の自分にはこの状態でいられる時とそうでない時をコントロールするのがまだ難しいので、上手に切り替えられるようになりたいです。
黒川想矢(くろかわ・そうや)
2009年12月5日生まれ、埼玉県出身の俳優。5歳から芸能活動を始め、数々の作品に出演。2023年公開の映画「怪物」で日本アカデミー賞 新人俳優賞を受賞。2025年に公開され歴史的ヒットを記録した映画「国宝」では主人公 立花喜久雄の幼少期を演じる。自身初の主演声優を務めたアカデミー賞ノミネート作品「アルコ」が公開中。"ボス"と慕う舘ひろしと映画初共演となった作品「免許返納!?」が6月19日に全国ロードショー。Instagramは@soyakurokawa_official、最近スタートした彼の"写真アカウント"は@soyakurokawa.archive
ジャケット8万3600円/トルク(トルク ラボ 03-6384-5672)、フードシャツ3万7400円/アーネイ(スタジオ ファブワーク 03-6438-9575)、シャツ7万2600円/コンカース、パンツ10万5600円/フランク リーダー(ともにマッハ55リミテッド 03-5846-9535)、シューズ4万1800円/ドクターマーチン(ドクターマーチン・エアウエア ジャパン 0120-66-1460)
photography :Shohei Numao, styling :Yuta Fukazawa, hair&make :Yuka Terakado | text&edit :Hikaru Kimura(FASHIONSNAP)
Published on: 2026.05.12