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「ストイックでない」ニューエイジのエシカル消費者たち

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生活のいたるところでエコライフを実践する人たちというのは、昔から、エシカルファッションのお客様像の主なものだった。大義があって実践している人もいれば、いろいろと調べているうちに「エコでないもの」が自分や家族、環境に与える影響が怖くなってしまった人もいる。

食事はベジタリアン・ビーガン・マクロビ等、食器洗い洗剤も生分解可能なもの、廃棄物を最小限に抑える布ナプキンを使い、着るものはオーガニックコットンやエシカルファッションが中心(ファストファッションは嫌い)で、自分のそういった選択をSNSを使って周りに伝える。

そして飛行機に乗ることがあればカーボンフットプリント(CO2排出量)のことを考え罪悪感を覚えるという模範的な人々。もちろん程度の差はあれど、こういったライフスタイルを実践したり、少なくとも目指すことを是としてきた。

しかしエシカルファッションの現場にいると、最近そうではない、ニューエイジの消費者の存在を強く感じる。

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一言でいうと、彼ら・彼女らはストイックではないのだ。エシカルファッションのコンセプトに共感し、欲しいものがあればオンライン等で購入するが、その服を合わせるのはファストファッションだったりする。

地産地消の野菜を売るファーマーズマーケットで購入したりもするが、友人と焼き肉に言ってお腹いっぱい肉を食べてきたりするし、ファストフードにも抵抗はない。ファストファッションや肉食の問題点の知識はあるが、生活の心地よさを一番に考えた上で、自分なりのバランスを保った選択をしているのだ。そして、なぜかおしゃれ。

エシカルファッションというと、30−40代の母親という昔からの顧客像に加え、最近では大学生や若い社会人の顧客が多い。感覚的ではあるが、後者はこちらの「ストイックでない」エシカル消費者がほとんどであると感じている。

高校生・大学生にファンの多いモデル鎌田安里紗さんは「エシカルファッションプランナー」という肩書きも持ち、自身のファンにエシカルファッションのコンセプトを伝えている。

その鎌田さん自身も、一時は「自分は特にエシカルでない一般ブランドも着るのに、こういう活動をしていていいのか?」と悩んだ時期もあったそう。しかし「100%じゃなくていい、エコ仙人にならなくていい。完璧を求めて何もしないより、少しでも実践した方が」と思い、今では一般ブランドとの仕事もしながら弊社INHEELSのようなエシカルファッションブランドとのプロジェクトも積極的に行っている。

INHEELSの社内プロジェクトであるエッセイ企画「午前0時のハイヒール -HONNE no ethical by Jennifer」で最も人気のあるエッセイの一つ、「シャボンのにおい 血と肉のにおい シャンプーのにおい リンスのにおい」の中にこんな一説がある。

朝起きて、昨日も入ったのに気分転換のためにまたシャワーを浴び、オーガニックコーヒーを飲み、レザージャケットを羽織ってお出かけし、沢山石油使って3日間コトコト煮込んだハッシュドビーフを食べ、ソーシャルデザインの記事に共感してFACEBOOKでシェアし、夕食に玄米と有機野菜とビオワインを飲みながら、やたらでっかいテレビで環境問題特集をみる。

そんな矛盾とか錯乱とか混沌をたっぷり含んでいるのが人の形をしたエシカルの姿だし、その佇まいはすごく健やかで、未来に向かってひらいている感じがする。

独自のバランス感覚でエシカルを織り交ぜて行く。完璧でなくていいぶん、敷居は低い。この「ストイックでない」ニューエイジのエシカル消費者が、これからのエシカルファッションの可能性を広げていっている気がする。

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