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家具を持ち歩く謎の4人組が青山通りに出現「何してるの?」と聞いてみた

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 「浅草から家具を手で運びながら路上で寝泊まりしているアーティストがいるらしい」という噂を聞きつけ、目撃情報を辿りながら目的地だという渋谷方面へ。その4人組に青山通りで遭遇しました。彼らは「ボワジョルノー(boijeotrenauld)」というアーティスティックグループで、周囲には木製のテーブルや椅子に腰を掛けて休憩したり会話を楽しむ人々の姿も。フランスから来たという4人に「何をしているの?」「目的は?」「警察に怒られない?」など、気になることを聞いてみました。

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ー何をしているんですか?

セバスチャンさん(以下、S):11月13日に東京に来て、木材やマットレスを探して家具を作り始めました。11月21日にこのプロジェクト「TOKYO CROSSING」を浅草から始めて、上野〜四谷〜新宿〜原宿といったルートで渋谷を目指しています。家具を手で運んで、休憩しながらゆっくりと。

boijeotrenauld-20151210_009.jpg(左から、セバスチャン・ルノー、ローラン・ボワジョ、メラニー・エレスバック、クレモン・マータン)

ーテーブルの他に布団もあるので、路上で寝泊まりもしているんですね。何か目的はありますか?

S:日本の現地の人と同じスペースを共有すること、そして通行人にコーヒーを飲みながら会話ができる休憩の場所を提供することです。イタリア製のコーヒーマシンも持参しているので、自由にコーヒーが飲めるスタイル。通行すること以外の、ストリートの違う使い方を提案しています。

ー今も、通りがかりの方々と話をされていましたね。

S:僕達だけではなく、日本人同士が触れ合う場所にもなっていますね。テーブルと椅子を置くだけで、普通のストリートが、他人同士が知り合う場所に変わるんです。ただ"座る"とか、"ものを置く"以外の用途を持ったツールに家具が変身するんですよ。あと「誰が観客になり得るかわからない」というのも面白い点。椅子に座っている人が東京という街のショーを見ているのかもしれないし、通行人はその椅子に座っている人を見ているかもしれない。そういった意味でインタラクティブなパフォーマンスになっていると思います。ほら、あなたも今ショーの一員になっているんですよ。

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ー誰でも参加できるパフォーマンスなんですね。家具はどなたが作ったんですか?

S:このプロジェクトはアーティスティックグループ「ボワジョルノー(boijeotrenauld)」と家具・建築会社「2m26」という2つのグループによる共作です。「ボワジョルノー」は僕と、ローラン(Laurent Boijeot)によるアーティスティックグループで、クレモンもフォトグラファーとして参加しています。「2m26」は、僕とメラニーがデザインする家具の会社で、ローランも家具を作る過程でヘルプにはいってくれることも。「TOKYO CROSSING」では2つのグループを融合して、全員で東京に来ました。家具は僕とメラニーがデザインして一緒に作りました。持ち歩いている家具は全部で42ピースありますね。

メラニーさん(以下、M):僕は、セバスチャンとローランがやっているプロジェクトに参加した形です。「2m26」は、今年の9月にウェブサイトなどを立ち上げたばかりなんですよ。

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S:コンセプトを考えたのは僕とローランですが、実現化に携わったのは4人(セバスチャン、ローラン、メラニー、クレモン)。そして「何をしているの?」と訪ねてくれたりする通行人全員も一員です。

ーフランス出身とのことですが、こういったプロジェクトはいつ始めたんですか?

S:4年前です。主にヨーロッパで、劇場から招待されて行なうこともあったし、今のように自発的にやることもありました。たぶんヨーロッパでは8都市くらい周りましたね。もっと大都市でも挑戦してみたいと思ったのをきっかけに、先月はニューヨークに行って、東京に辿り着きました。

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ー次の目的地は?

S:「CROSSING」プロジェクトの次の目的地は特に決まっていないですが、今後は南アメリカとかアフリカにも行ってみたいですね。言葉にするのが難しいのですが・・・「ストリートのコントロールを失った街」でこのプロジェクトを実施したいんです。

ー家具も一緒に飛行機で運んでいるんですか?

M:都市ごとに毎回、新しい家具を作っているんですよ。

S:旅の終わりに、家具はその都市の住民に無償であげています。「受け入れてくれてありがとう」という感謝の気持ちも込めて。毎回、その土地で家具をつくるところから始めて、パフォーマンスをして、最後は現地に残しています。

ーこれら全部、東京で作ったんですね。国ごとによってデザインは違いますか?

S:滞在の期間にもよりますね。以前はもっと期間が短かったので、丈夫で重い家具を作っていたんです。ニューヨークと東京に来る時にデザインを一新して、長い滞在もできるように運びやすくて軽いものに変えました。

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ー公共の場所なので、警察から注意されることもあるかと。

S:それも国によりますね。日本はそこが少し変わっていて、パフォーマンス自体を止めることはないですが、動くように頻繁に注意されます。もし小刻みにでも動けば、違法ではないんですよね。「動け」と言われたら、椅子を少し動かすだけで、動いたことにはなるわけだし。そこが曖昧だと感じました。

M:あまり同じ場所に家具を置いたり、長居してほしくないみたいです。

S:日本では「ストリート」の定義が狭いなと感じました。休憩する場所という意味は込められていなくて、通行する場所としてのみ認識されています。だから、ストリートで人とゆっくり会話していると「なにをしているんだ」ってなることもありますね。

ーでは、ニューヨークはどうでしたか?

クレモンさん(以下、C):(苦笑)ひどかったですね。

S:ニューヨークでは、建物の管理者と揉めることが多かったんです。警察を呼ぶ、とプレッシャーをかけられることが多くて、警察が実際に来ても違法じゃないから結局は何もしない。東京では、警察が来ると動かないといけないので、そこは違いますね。

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ー夜もストリートで寝ているんですよね。寒くないですか?

M:温かいブランケットをたくさん持ってきてるので大丈夫です!

C:あと毎晩、銭湯に通ってるので。清潔さも保てるし、そこで身体も温めれるので有難い。

ー銭湯は日本独自かと思いますが、気に入りましたか?

M:大好きです!

C:銭湯はラグジュアリーですよ。ニューヨークでは1〜2日に1回シャワーを浴びれるかどうかだったので。東京では銭湯が至る所にあって助かっています。

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ー浅草からここまで歩いてきて、印象に残っていることがあったら教えてください。

S:いまもそこのテーブルに座っているアキコに出会いました。2日に1回くらい会いに来てくれて、朝ごはんを持ってきてここで食べたりしています。そういう出会いは嬉しいですね。アキコに限らず、繰り返してきてくれる方は他にもいます。あと東京では、警察官もプロジェクトの一員になっているかもしれないですね。常に近くにいるので。昨日くらいから少し厳しくなってきたかなとは感じますが、たぶんパフォーマンスが終わりに近づいているからではないでしょうか。

ー日本ではパブリックパフォーマンス自体が珍しく、また欧米人に比べて日本人は恥ずかしがり屋とも言われますが、実際はどうでしたか?

S:最初はシャイな方が多いと確かに思いましたが、実際に1ヶ月近く東京のストリートで過ごしてみると、日本の方はオープンマインドで話もたくさんするな、という印象に変わりました。ただ、やはり日本ではストリート=歩く場所に直結するので、ストリートで急に座って休憩となると、参加しにくいのかもしれません。もしこのパフォーマンスを公園でやっていたら、もっと気軽に入れる人もいたんじゃないかな。

M:平日と週末でも反応は異なりました。土日はもっとたくさんの方が来て、一緒に時間を過ごしたんです。

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ー東京にはいつまでいるんですか?

S:「CROSSING」プロジェクトは1ヶ月を基本期間に設定して行なっています。でも東京は警察からのプレッシャーもあり、20日間になる予定。たぶん明日(12月11日)か明後日(12月12日)には終わりますね。このアーティスティックプロジェクトの後は、家具会社に行ったり小さなアパートをリノベーションしたり。12月23日から広島に行きます。

ー今後また「TOKYO CROSSING」をやる予定は?

S:東京にはまた戻ってきたいですね。文化が面白いので、もう少し見てみたいです。

ー特に「面白い」と思った文化はありましたか?

S:日本人は、ものすごく他人の世話をするし、集団的な意識が強いと感じました。あと「侘び寂び」という言葉も興味深い。それから、日本は老人がとても多いので、そろそろ社会のシステムの変わり時じゃないでしょうか。日本ならではの集団や調和を大切にする意識と、主に若者間で増えつつある個の意識が、これからどのようにミックスしていくのかが気になります。ヨーロッパは、個の文化が強い地域。周囲との調和という要素があまりないので、日本特有の文化は興味深かったです。あなたの子供が生まれるころには、日本は今と変わった国になっているんじゃないかな。

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■boijeot.renauld:公式サイト
■2m26:公式サイト

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