Shigeto Ichikawa

「ティート」「キディル」、期待の2ブランドについて

市川重人

繊維ニュース 記者

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「アマゾン ファッション ウィーク東京」2日目は、おそらく最も論点・争点が難しい日だったに違いない。ウェディングドレスで始まり、ミセス層のカリスマブランド、刹那的なウィメンズウエア、和装を起点にしたクリエイション、ストリート発の狂気的なメンズウエア、日伊国交150周年を記念したショーなど、挙げただけでも「東京」の猥雑さが伝わってくる。日本人の気質として理路整然とショーのスケジュールを消化するのとは対照的に、ブランドが入り乱れた猥雑さが今の東京を物語っている。

興味深いショーはあったが、前記したブランドで突き抜けたクリエイションは見当たらなかった。オーバーサイズのシルエットで軽妙なレイヤードを見せた「ティート トウキョウ(tiit tokyo)」、こちらもオーバーサイズで現代の不良を表現した「キディル(KIDILL)」が攻めたクリエイションを見せたものの、2ブランドともインパクトを残したとは言い難い。

「ティート トウキョウ」は、女性の二面性に光を当て、溢れ出す感情表現をドレスなどで具現化。アシンメトリーの素材使い&ディテールで揺れ動く感情を露にし、とても難しい表現に挑んでいた。一方で、若干カジュアルに仕上げたツイードアイテムやトップスもあり、詩的なショーとの距離感も感じられた。毎回、コンセプトの立案やショー会場の選定、演出を含めた世界観にもこだわるブランドだけに、さらに踏み込んだショーピースを制作する必要性を感じている。ショーを重視すれば、コマーシャルラインの制作が難しくなるが、今後の展示会でそのバランス感覚を磨いてほしい。また、公式スケジュールの会期外でショーを行う気概もあることから、負けん気も強いはず。岩田翔、滝澤裕史の両デザイナーには、東京の実力派としてさらに高いレベルを目指してほしい。

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>> tiit tokyo 2017年春夏コレクション

場末のライブ会場でショーを行った「キディル」は、オーバーサイズのニットやレオパード柄のセットアップ、不安定なバランスで描くシャツやワイドパンツを披露した。散漫になりがちなオーバーサイズのウエアを上手くまとめ、且つストリートから派生したカルチャーを力強く表現していた。しかしコレクションを見ると、(大人の男性が)着用するシーンが限られ、これでは小さいコミュニティでの販路しか開拓できない。それは戦略として正しい側面もあるが、末安弘明デザイナーにとって、必ずしも良いことではないだろう。東京のファッション ウィークで「ロック調」を発信する数少ないブランドになったが、強みを生かしきれていない。デザイナー業界を俯瞰しながら、大人層の開拓と強みの生かし方、ここにヒントが隠されている。

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>> KIDILL 2017年春夏コレクション

【roomservice 編集長 市川重人の東コレ短期コラム】
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