Shigeto Ichikawa

デザイナー黒河内真衣子が「日本を意識していない」と語った理由

市川重人

繊維ニュース 記者

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 この発言が正しいのかもしれない。黒河内真衣子「マメ(Mame Kurogouchi)」デザイナーは「(クリエイションをする上で)日本を意識していない」と語った。3月19日に行われた、第1回「FASHION PRIZE OF TOKYO」受賞者のトークセッションで、シーズンコンセプトを聞かれた際の答えがそれだった。同ブランドは、日本の職人や国内工場のテクニックを積極的に採用し、力強いコレクションにまとめ上げるのが特徴。2018-19年秋冬シーズンは、日本の民具や工藝、四季のうつろいに影響を受けているが、それでも「日本を意識していない」と発言したのは、黒河内デザイナー自身のファインダーを通したコレクションに自信があるからなのだろう。さらに「ライフスタイルを見つめ直す。その日常をコレクションに反映させたい」と続けた。

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 国内素材のみに焦点を当てたステレオタイプな日本ブランドや「日本製=高品質」を訴求するブランドとも違う。つまり、アウトプット(インプットして蓄えた情報や経験を生かす)の結果が「マメ」の日本らしさに繋がっている。数年前、パリで出展した「マメ」の服を見ていた時に、欧州のバイヤーから「この服、日本っぽいな」「禅(ZEN)の精神性を感じるよ」と声を掛けられたことがある。さらに中国人のバイヤーからは「スペシャルなピースだけど、細部がしっかりしている」という意見もあった。筆者はショールームの担当者ではないので「はいはい...」と受け流したが、今考えると、当時から「日本らしさ」をバイヤーは察知していたようだ。

 

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 筆者は、日本独自の美意識を追求すれば、世界で戦えるメジャーなクリエイションが誕生すると思っている。それは「カワイイ」や「サブカルチャー」「ストリート」といった曖昧な定義ではなく、デザイナー個人の人生経験やライフスタイル、哲学などによってもたらされる。やはり「カワイイ」など前述した要素は、スパイス的なモチーフでこそ活かすことができる。一方、黒河内デザイナーのクリエイションを観ると、表面的な「日本らしさ」に捉われず、自身の考えや哲学を優先させている。そこにブランドの本質があると思うのだが。

>>Mame Kurogouchi 2018年秋冬コレクション

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