Shigeto Ichikawa

一服の清涼剤「リョウタムラカミ」の現在地

市川重人

roomservice PaToNe

フォローする:

 

 ファッション・ウィーク3日目は、東京の若手デザイナー数組がショー&インスタレーションを行っている。モデルの見せ方や演出で工夫を凝らし、独自性を生み出そうとそれぞれが苦心しているように見えた。クリエイションで日常と非日常を行き来しながら、ブランドのビジョンを模索している。また、これまで若年層の支持を集めてきた若手デザイナーにとって、大人層を取り込むための過渡期に入ってきた。この壁を乗り越えようと、多くのデザイナーが挑戦的なコレクションを発表し、今後の展示会で成果を挙げようとしている。

afwt-ichikawa-2-20180322_001.jpg

afwt-ichikawa-2-20180322_002.jpg

 ここまで厳しい視点で見てきた一方、思わず笑みがこぼれてしまったのが「リョウタムラカミ(RYOTAMURAKAMI)」のコレクションだった。パワフルな「大阪のおばちゃん」をモチーフに、ガーリーなテイストを力技で組み合わせた。ハレーションを起こしてしまいそうな際どいカラーリングや犬柄(おばちゃん風に言えばワンちゃん柄)のスカート、難解なおばちゃん風レイヤードも特徴。これが海外でどう受け止められるかは不明だが、ファッションの楽しさを大いに伝えることはできる。また、かに道楽の動く看板に代表される「張りぼて文化」をアイテムに取り入れ、平面的な要素を忍ばせている。平面的と言えば、着物にも通じる日本独自のコンセプトでもある。

afwt-ichikawa-2-20180322_003.jpg

afwt-ichikawa-2-20180322_004.jpg

 ストイックにインスタレーションを構成する若手デザイナーが増えるなか、ユニークなコレクションで観客の笑いを誘う「リョウタムラカミ」。そして「本物のおばちゃん」にならないように、最新ファッションとしてギリギリの線を攻めている。コレクションの楽しさは、記者やバイヤーに伝わったはず。ビジネス的には、サイズのバリエーションや型数の充実といった課題も解消されつつある。今季も流通企業のサポートがあり、ショーを通じてオリジナリティを確立するチャンスだ。村上亮太デザイナーは「(今季は)ファッションを楽しみたかった」と語る。ローカルでノスタルジックなコレクションは競合相手が少ない。ビジネスの本番である展示会でどう評価されるのか、勝手ながら注目したい。

>>RYOTAMURAKAMI 18年秋冬コレクション

roomservice 編集長 市川重人の東コレポスト
デザイナー黒河内真衣子が「日本を意識していない」と語った理由
「ミドラ」のショーに見る、中堅デザイナーの期待と不安
G.V.G.V.とTTT_MSWが魅せた妖しくも艶のある男女
アマゾン ファッション「AT TOKYO」の真実

市川重人

最新の関連記事

おすすめ記事

Realtime

現在の人気記事

    Ranking Top 10

    アクセスランキング