Shigeto Ichikawa

アマゾン ファッション「AT TOKYO」の真実

市川重人

繊維ニュース 記者

フォローする:

 

 アマゾン ファッションが独自に実施するプログラム「アット トーキョー(AT TOKYO)」が23日に終了した。今季は「アンブッシュ(AMBUSH)」、「マメ(Mame Kurogouchi)」、「ネイバーフッド(NEIGHBORHOOD」、「ティー(TTT_MSW)」の4ブランドがショーを開催。同プログラムは、東京をベースに活動するデザイナーを独自に支援するもので、東京のカルチャーとファッションを融合した世界観を訴求している。ファッション・ウィークは24日も続くが、ここでは、同プログラムについて記述したい。

afwt-1chikawa-4-20180323_012.jpg

 また「アット トーキョー」は、既存の枠に捉われない自由度の高いサポートも特徴だ。王道のランウェイショーを開催するデザイナーもいれば、23日にパフォーマンス行った「ネイバーフッド」のように、ベルリン発のデジタルハードコアバンド「ATARI TEENAGE RIOT」(ATR)のライブを軸にした内容でもアマゾン側はゴーサインを出している。さらに、ATRとのコラボ商品をアマゾンやネイバーフッドの直営店で販売。ファッション製品のBtoCを念頭に置くアマゾンの戦略は、今までの東京ブランドに最も欠けていた部分でもある。消費者の購買に直結する同社の影響力は、回を追うごとに大きくなっている。

afwt-1chikawa-4-20180323_024.jpg

 アマゾン ファッションは、会場費やモデル代といった基本的な資金を提供するほか、「アット トーキョー」の特設サイトで限定商品や支援デザイナーのライフスタイルにまつわる商品を販売。同社の支援は3シーズン目で、多い時で億単位、少なくても数千万規模の資金を投入していると推測される。これは、あくまでも「アット トーキョー」だけの金額であり、ファッション・ウィークに参加する他のデザイナーは資金的な恩恵を受けていない。また、東京デザイナーの間では、2018年春夏シーズンに行った「サカイ(sacai)」と「アンダーカバー(UNDERCOVER)の合同ショーのインパクトが強く、いつか「アマゾンの支援を受けたい」と公言するデザイナーが増加。特に若手デザイナーの期待は大きく、ショーとECの融合にブランドの未来を見出そうとしている。

afwt-1chikawa-4-20180323_071.jpg

 その一方で、通常のファッション・ウィークに参加するデザイナーからは、嫉妬にも似た感情や冷ややかな意見を聞くことが多くなった。「有名なデザイナーのみ支援している」「サポートする必要のないデザイナーを全面的に支援している」との声も聞こえてくる。この意見に筆者は懐疑的だが、アマゾン側がビジネスに繋げられるデザイナーを支援しているのは事実。同社のデザイナーを選ぶ眼は非常にシビアで、ショーと同時に販売する限定商品の用意にも余念がない。欧州のファッション・ウィークでは、大規模な投資を必要とする「シーナウ・バイナウ」が勃興したが、翻って東京の「アット トーキョー」の方がより現実的である。ECの巨人アマゾンの支援はさらに大きくなるのかーー。しかしその金額ではなく、デザイナーのECを軌道に乗せるビジネスモデルを注視するべきだと思う。

roomservice 編集長 市川重人の東コレポスト
デザイナー黒河内真衣子が「日本を意識していない」と語った理由
「ミドラ」のショーに見る、中堅デザイナーの期待と不安
一服の清涼剤「リョウタムラカミ」の現在地
G.V.G.V.とTTT_MSWが魅せた妖しくも艶のある男女

市川重人

最新の関連記事

おすすめ記事

見逃し記事

Realtime

現在の人気記事

    Ranking Top 10

    アクセスランキング