三原康裕
Image by: FASHIONSNAP

Fashion フォーカス

メゾン ミハラヤスヒロが20年の節目に辿り着いた"カッコ悪さ"

三原康裕
三原康裕
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 ファッションは楽しい。そう思わずにはいられないショーを実現したのが、設立から20周年を迎えた「メゾン ミハラヤスヒロ(Maison MIHARA YASUHIRO)」だ。遊び心に溢れ、モードの美的価値観と距離を取るようなオリジナリティの根底には「カッコ悪いことを」というデザイナー三原康裕の思いがあった。

 

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 ショーの舞台は秩父宮ラグビー場の屋外通路。長く伸びたランウェイのシートは業界人や著名人を含む多くの観客で埋め尽くされ、期待の高さを表していた。これまでも三原は自身が手掛けるコレクションでMIYAVIや上原ひろみなどミュージシャンを起用してきたが、今回は中央にライブステージが設置されている。定刻過ぎに楽器を奏で始めたのは、シークレットゲストのジャズバンドSOIL & "PIMP" SESSIONS。長めの前奏で興味を引きつけると、徐々に笛の音が聞こえはじめた。同時に視界に入る大型トラック。バンドの正面に停車し、荷台のウィングが跳ね上がると、そこに積まれていたのは40人を超えるモデルたちだった。

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 ヘルメットを被りオレンジ色の服に身を包み警備員に扮してモデルたちを先導し始めたのは、三原本人。独学で靴作りを学んだ後にファッションブランドを立ち上げ、日本を代表する1人として王道とも言える道を歩んできたデザイナーが、この日は自らショーを盛り上げる演出の一部となった。演出家やヘアメイクアーティストも警備服を着用し、それぞれの仕事を観覧者の前でこなす。従来のファッションショーとは一線を画すユニークなスタイルで、モデルたちが1人ずつ荷台から降りて歩き出した。

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 メゾン ミハラヤスヒロ2018−19年秋冬コレクションのテーマは「PROTO-TYPE」。"試作品"や"原型"という意味の通り、実験的なアプローチが盛り込まれている。異なる要素のドッキング、ボリュームのバランス、職人の手仕事を感じさせるステッチや断ち切り仕様など、ミハラヤスヒロならではの高度なテクニックに加え、ゴミ袋のようなテクスチャーとプリントのアウターや、メモリが付いたメジャーのディテール、「ディーシーシューズ(DC SHOES)」のロゴ。思わず目を留めてしまう遊びが満載だ。

 「美しさや格好良さとは何かと考えた。でも疲れちゃうよね。だから面白いこと、カッコ悪いことがしたい」。三原の今の気持ちがそのままコレクションという形になった。母親が画家で、多摩美術大学出身。常に美と隣り合わせにある世界に生きてきたが、自らが切り開いてきた道の延長にあったのが"カッコ悪い"という概念。20年に渡りインディペンデントで築いてきたクリエイションを、三原らしい解釈で集大して見せたようだ。

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 ショーが終わって三原は「(バックステージにいるので)いつも自分のショーを見たことがない。自分も見て楽しみたいと思って、いっそ出てしまおうと考えた」と冗談交じりに話してくれたが、ファッションは楽しいもの、という本来の意味を垣間見ることができた。4月からは、19年を共にした陵本望援氏に代わり三原がソスウの代表取締役社長を兼任することが決まっており、クリエイションとビジネスの両軸でブランドを率いていく。20年の先には何が待っているのか。その新たな幕開けを感じさせるショーだった。

Maison MIHARA YASUHIRO 2018-19 A/W COLLECTION from Idea Sosu on Vimeo.
動画制作:PERIMETORON

■Maison MIHARA YASUHIRO:2018-19年秋冬コレクション全ルック

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