HARE 2019-20年秋冬コレクション

Shigeto Ichikawa

2万円のロングコートが示す、SPAブランド「ハレ」の可能性

市川重人

繊維ニュース 記者

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HARE 2019-20年秋冬コレクション

アダストリアによるSPAブランド「ハレ(HARE)」が、今季も「アマゾン ファッション ウィーク東京(Amazon Fashion Week TOKYO)」でファッションショーを開催した。売上高2000億円を超える大手企業がファッション・ウィークに参加する目的は、SNSによる拡散やブランド知名度アップ、ショーを販促に利用するといったことも考えられるが、今季はインフルエンサーの来場は控えめだった。上顧客とおぼしき人も少なめで、ブランド本来のコンセプトや強みをジャーナリストにアピールしているように見えた。

その強みとは「原価率を高め、泣いたアイテムもある」ということだろう。失礼を承知でアダストリアのデザイン担当者に話を聞くと「正直、原価率を無視したアイテムもあります。しかし、(商品構成の)全体で利益を確保しています」という答えが返ってきた。2019-20年秋冬コレクションでは、裏地を表に出すディテールや上下を逆にしたような仕様を取り入れ、ボリューム感のあるコートやアウターに反映させている。力強いフラワーパターンをコートの背中に配するなど、攻めた企画も特徴になった。ロングコートの価格は2万円台になると言う。いわゆる"百貨店ブランド"よりも安価で、最新トレンドを盛り込んだ単品を手に入れることができる。

HARE 2019-20年秋冬コレクション
HARE 2019-20年秋冬コレクション

ファストファッションよりもモード寄りで、価格はラグジュアリーブランドの10~15分の1以下。ファッション民主化という言葉も思い浮かぶが、東コレの民主化といったほうが正しいだろう。ジャーナリストの間では、単なる「トレンド集積ウェア」という見方もあるがーー、シーズン毎にコンセプトが深化している印象で、ファッションショーを継続して行ってきた好例と言える。原価率の詳細やショーの費用対効果までは話してくれなかったが、ショーの効果を実感しているのかもしれない。同社は「グローバルワーク(GLOBAL WORK)」でもファッション・ウィークに参加していたものの、現在は「ハレ」のみでショーを行っている。事実、東京・原宿のキャットストリート沿いにある「ハレ」の直営路面店では「ファッション好きの20代男女が商品を購入している」と言う。東京のファッション・ウィークは若手デザイナーが主役になっているが、取引先が少ない彼らは20代の顧客を獲得するのが困難である。大手企業のSPAブランドもここまで精度を高めている。若手のデザイナーズブランドもうかうかしていられない。

【市川重人の東コレポスト】
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市川重人

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