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「カルティエ、時の結晶」展が開幕、新素材研究所が手掛けた"時空"を回遊する空間で約300点のジュエリーを展示

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 六本木の国立新美術館で「カルティエ(Cartier)」の展覧会「カルティエ、時の結晶」が10月2日に開幕する。総数約300点に及ぶ宝飾品が公開される。会期は12月16日まで。

 同展は、長い時間をかけて見出された宝石がカルティエの卓越した技術やデザインによって宝飾品として生まれる様を「時空を超えた対話」と捉え、「時間」をテーマに3つの章で構成。過去にもメゾンでは30回以上もの展覧会を開催し、歴史や技術にフォーカスした内容は多くあったというが、特に1970年代以降の現代作品のデザインに焦点を当てるのは初の試み。展示される計300点のコレクションのうち、約半数が通常は公開されることのない個人所蔵というのも特徴で、カルティエ コレクションを含むアーカイヴとともに世界中から集められた作品が展示される。会場構成は現代美術家の杉本博司が建築家の榊⽥倫之とともに立ち上げた建築設計事務所「新素材研究所」が担当。「旧素材こそ最も新しい」という理念のもと、広さ2,000平方メートル、高さ8mの空間を「時間」という軸で組み立て、それぞれの部屋のコンセプトにふさわしい展示方法や見せ方を提案している。

入口を入って一番最初に展示されているのは杉本博司作の「逆行時計」(2018年)

 神殿のように神聖な雰囲気が漂うエントランスの序章「時の間」では、完成までに長い月日を要し精巧で不思議な魅力を放つミステリークロックやプリズムクロックが14点展示。繊維会社川島織物セルコンが特別に制作した布がベールとして天井から吊るされ、暗闇の中で展示品一点ずつにスポットライトが当たるようにディスプレイされている。ほのかに木の香りがするのも展示演出だ。

 第1章は「色と素材のトランスフォーメーション」と題し、素材づかいや色彩の観点からメゾンの独創的な表現方法を追求した。メタルの技術、石の技法、装飾技術、カラーパレットなど職人技から生まれる多様な表現の数々を各ブースごとに見ることできる。展示台に使用されているのは神代杉や神代欅、神代桂、1,000年以上の樹齢の屋久杉といったどれも長い年月を経て生まれた木材で、トルソーは仏師に依頼し、一点ずつ端正に彫られたもの。

 第2章の「フォルムとデザイン」ではジュエリーのフォルムに宿る視覚的な新しさに着目。偶発的に生まれたデザインや、建築性のあるつくり、日常の中の美から生み出された作品をセレクトしている。火山灰が固結してできた武骨な凝灰岩を展示台に使用し、美しく磨き上げられたジュエリーの貴石との対比を見せ、洞窟で宝石を見出すようなイメージでこのような展示方法にしたという。

 そして第3章の「ユニヴァーサルな好奇心」では、日本や中国、インドや中東など様々な文化や国からインスパイアされたオリエンタルな装飾品が展示。"地球に見立てた”という彗星の軌道を描くようなループ状の巨大な什器に作品が並び、まるで神の目から俯瞰し覗き込んでいるような仕掛けで展示を組み立てた。土台には光学ガラスや伊達冠石といった偶発的に生まれた形状のものを使用している。

 そのほか、カルティエのアイコンでタイムレスの象徴でもあるパンテールやメゾンのクリエイションの源泉でもあるスケッチやデザインソースなどのアーカイヴ資料も同空間に展示し、様々な視点や角度から時間軸を表現している。

 新素材研究所の榊⽥は、空間構成について「プロジェクトは3年ほど前にスタートした。時間という壮大なテーマについてじっくり向き合い、そこで出たキーワードが宝石を『素数化』するということ。色や素材、幾何学など最小限にできる単位に落とし込み、さながら博物館で鉱石を見るような感覚で、我々が普段扱っている悠久の時を経て生まれた天然の木や石といったものと対峙させることで、純粋に宝石の美しさを見出してもらおうという試み」と語り、「広さも高さもある会場で小さい宝石を見せるので、空間的な抑揚や視線の移ろいを意識した」と最も苦労した点について述べた。

 会場ではイヤホン付きのデジタル端末を入り口で配布。該当作品に近づくとポップが画面上に現れ、オーディオ解説や作品詳細をタップ操作で確認することができる。

■「カルティエ、時の結晶」
会期:2019年10月2日(水)〜12月16日(月)
休館日:毎週火曜日 ※ただし、10月22日(火・祝)は開館、10月23日(水)は休館
開館時間:10:00〜18:00(毎週金・土曜日は20:00まで。入場は閉館の30分前まで)
会場:国立新美術館 企画展示室2E
住所:東京都港区六本木7-22-2
観覧料:一般 1,600円、大学生 1,200円、高校生 800円、中学生以下無料
公式サイト

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