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アパレル産業に蔓延する負のスパイラル、"納期遅れ"の原因はどこにあるのか?

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アパレル業界でリテーラーと呼ばれる分野で欠かすことが出来ないMD(マーチャンダイジング)は商品政策や、商品化計画といった意味が含まれ小売業にとって収支を予測する重要な役割を担っています。

商品を適正な数量、適正なタイミングで店頭に投入し、消化率を上げる。もちろん、この一連の作業は商品が期日までにきちんと納品されることが前提条件となっています。

しかし、メーカーやブランドの大小に限らず、アパレル業界では"納期遅れ"といった良くない慣習が蔓延しています。

その背景にはここ数十年でアパレル業界が大きく変化を遂げることとなったSPA、PBの登場や、アパレル業界全体の売上低下に伴うシステムの変化が存在しています。

【"納期遅れ"が発生するアパレル産業のシステム】

洋服を作る上で欠かすことのできない縫製工場とそれらを受け持つOEM/ODM会社。
不況と言われるアパレル業界では、いわゆる"縦積み"が出来なくなり、求められるのは低ロット、低単価の商品となっていきました。

こうした流れから大方の工場やOEM/ODM会社はアップチャージ(低ロットに対する追加料金)で利益を捻出する他ありません。

未だ業界内でも中国製は安いといった認識がありますが、これは高ロットの場合でのみ発生する事案であり、スキルや人件費の上がった中国では低ロットの商品は発注すら断られるケースもあり、一枚当たりの単価は国内工場とそれほど大きな差異を感じられなくなってきています。

多くの業界人が、今なお"日本製"に対して価値を見出していますが、国内の小規模のデザイナーズブランドは日本国内"でしか"生産出来ないと言っても過言では無いかと思います。

上記の流れから国内の工場は低ロット、低単価の商品の生産を余儀無くされ、利益を出すには数多くのクライアントを抱えなくてはなりません。

数多くのクライアントを抱えるということは各セクションの負担が大きくなり、各クライアントへの確認も多くなることから格段に作業効率は下がっていきます。

納期遅れ → 小売店での消化率低下 → 売上減少 → ブランド・メーカーのロット数低下 → 縫製単価の低下からキャパシティぎりぎりまで工場が仕事を受ける → 納期遅れ

国内のアパレル産業ではこのようなシステムから"納期遅れ"という負のスパイラルが生まれてしまっているのです。

【ディストリビューター・小売業と乖離する"納期"に対しての価値観】

このような負のスパイラルが生まれてしまっていること自体も大きな問題ではありますが、メーカー・ブランド側が納期そのものに対して軽視している傾向があることも見過ごせません。

個人的な意見ではありますが、良いものを作れば売れる という価値観が強く残っているせいか、ディストリビューターや小売業よりメーカー・ブランドは納期に対してシビアでないと感じています。

日本国内の小売業では一定の納期遅れが生じた場合のペナルティを課す場合もありますが、その多くはメーカー・ブランドからの納品を待ち続ける、いわば泣き寝入り状態に陥ることも少なくないのではないでしょうか。

日本国内よりも納期に関してシビアな海外のマーケットに挑戦するメーカー・ブランドは数十年前より遥かに多くなってきています。

各ブランド・メーカーが納期通りに納品するといった当たり前のことが出来ない___
季節によって左右される業界であるにも関わらず、この良くない商慣習を軽視する価値観が大部分を占めていることには疑問を感じざるを得ません。

商品のクオリティと適切なMD、この両者がファッションビジネスの基盤となります。

"納期遅れ" を仕方のないこととして片付けるのではなく、メーカー・ブランド側、工場側のインフラ整備、スケジュール管理のいち早い徹底が急務ではないかと考えます。

石本 遥路

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