mercibeaucoup, 20年春夏コレクション
Image by: FASHIONSNAP.COM

Shigeto Ichikawa

4年ぶりにショーを行った「メルシーボークー、」の狙い、過渡期をさらけだす潔さ

市川重人

繊維ニュース 記者

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宇津木えりデザイナーが「東京ファッション・ウィーク」に帰ってきた。宇津木デザイナーが所属するエイ・ネットも、ここ数シーズン「東京ファッション・ウィーク」から距離を置いており、久々のインスタレーション開催となった。以前は、デニムのサルエルパンツやたっぷりとしたニット、カラフルな異素材レイヤードといった特徴を楽しくも大胆に披露していた「メルシーボークー、(mercibeaucoup,)」。ブランド創業から13年の月日が経ち、こうしたユニークなレイヤードカジュアルから"大人服"へ進化した過程を訴求しようとしている。現在の売り場を見ても、ボリュームで遊ぶ無地ウェアやロングシルエットのワンピース、力強いプリントシャツが並ぶ。顧客の年齢層は上がっているものの、ビジネスは堅調と聞いている。MDの刷新もうまく進み、このタイミングでのインスタレーションとなった。

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従来からのファンを大切にするのは勿論だが、新規顧客の開拓も同時に進めなければいけない。しかしデザイナーにとって、ブランドに変化を与えることは大きなリスクをはらむ。長年の上顧客が離れれば、売り上げは大きく下がる。多くの中堅デザイナーは、こうした課題に向き合いながらMDに苦心してきた。一方、宇津木デザイナーはブランドの過渡期を見せることで、新たな境地を開拓しようとしている。象徴的に見えたのは、ボウタイを付けたブラウスやイレギュラーヘムのシャツワンピース、マーメイドラインを引くスカートなどを打ち出した点。"大人っぽい"と言えばそれまでだが、仕立てが美しく洗練されている印象を持った。アイキャッチを引くロゴアイテムは少なく、上質なテキスタイルでシンプルに見せるコレクション。

過渡期の状態からどうステージを上げていくのかーー。落ち着いた表情でフィナーレに現れた宇津木デザイナーは、黒いウェアを纏っていた。実はブラックカラーは現在の売れ筋で、アウターやカーディガン、ワンピースが店頭で動いている。今回のインスタレーション復帰は、ブランディングの強化であると筆者は捉えている。宇津木デザイナー自身がブランドの変化を体現し、シンプルな黒いウェアを着ていた。会場で配られたリリースには、「挑戦を楽しみ、ワクワク登っていきたいと思っております」とある。今季のテーマは「山」なので、現在の心境をテーマに選んだのだろう。新規顧客の開拓に苦心する多くの東京デザイナーは、このチャレンジを注視しているはずだ。

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