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「子育てママが行きたくなる店に」安心と信頼が愛着ある顧客を生むこだわりのショップ3選

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【専門店】子育てママが行きたくなる店 安心と信頼が愛着ある顧客を生む

 育児期の女性は洋服店に足を運びにくい。育児優先で自分のファッションに時間や費用が掛けられなくなるだけでなく、安心して小さい子供と訪ねられる店も多いとは言えない。

 だが若いママが入りやすい店は30~40代の新客が来店することになり、顧客高齢化に歯止めを掛けられ、育児を終えた後も来店する安定した顧客となる可能性も高い。

◆母子ともに楽しめる空間

アンスリール

「ゆっくり買い物をしてもらうことは、勧める自分のストレスも軽くします」とアンスリール花岡オーナー

 顧客ゼロで16年に開業したセレクトショップのアンスリール(大阪府吹田市)は順調に年商を伸ばし続け、売り場面積約60平方メートルの店は年商1億円が視野に入ってきた。出産・育児を経た花岡由香オーナーは、8平方メートルほどのキッズスペースを開店当初から設けている。

 花岡さんは自らの経験でベビーカーが店に疎まれたり、子供連れの客に「買わないんだろう」という目で見ている店員を感じることが多かった。

 またママの買い物を待つ夫はいら立ちがちで、妻はゆっくり服を選ぶことができない。夫と子供が店の外で待つ姿を知人に見られたくないという心理も働く。 子育て中のママが、気持ちに余裕を持って服選びするにはキッズスペースは必要な設備なのだ。子供が店内を走り回ることも少なく、不意の事故要因も減らせる。

 子育て中のママのリピート率は高いことを花岡さんは実感している。安心できる店であることを認知されることは店に多くの利益をもたらす。

◆感動もたらす子供の再来店

ズーティ・ファブリカ神戸岡本店

「母子来店は顧客とスタッフの関係を強くすることが多いと思います」とズーティ・ファブリカ植田店長

 オリジナルの「ズーティ」中心に国内外からセレクトした雑貨とアパレルを販売するズーティ・ファブリカ神戸岡本店(神戸市東灘区)もドレッシングルームのそばにキッズスペースを設けている。

 ある日、いつも母親と来店する男の子が父親とやって来た。父親は初の訪店だ。男の子の来店目的は「お母さんの好きなお店の服を選んでプレゼントするため」。父親の助けを借りてサプライズがしたいのだ。この日ばかりはいつもキッズスペースから動かない男の子が、ラッピングを終えるまで心配とワクワク感で目を輝かせ、店員から離れなかったと言う。愛される店作りができていることの感動は店のスタッフだけでなく全社にもたらされた。

 開店時から店長を務める植田淳子さんは「母親の洋服の買い物に、一緒に行きたいと言ってくれる店であることがうれしい。愛される店であることで、ママ客以外に成長したお子さん、おばあちゃんも購買してくれるようになり、新たに妊婦となった人も変わらず来てくれる。ママ友同士でも口コミで広がり、育児を終えた方もそのまま来店してくれる」と言う。顧客の広がりに対応するようにアパレルはタイトシルエットが少なく、サイズレスが多い品揃えだ。

 植田さんは「母子ともに楽しめる店は意外に少なく、それができる店は安心と満足感から顧客がいくつになっても強く心に残してもらえる」と母子来店の重要性とともに働きがいが得られることを伝える。

◆あきらめないママのための店

アウラーレ

おしゃれをあきらめないママを応援するセレクトショップ「アウラーレ」

 JR山口駅の駅前通りにある路面店、アウラーレ(山口市)は、子育て中でも〝おしゃれをあきらめないママ〟を応援するセレクトショップとして地元のファンが多い。

 オーナーの寺内愛さんは現在、生後9カ月の乳児を育てながら店を切り盛りする。子育て世代の悩みを共有しつつ、顧客との関係性を深めている。

 主力ブランドは「アングリッド」「ムルーア」など。客層は乳幼児の子どもを持つママ世代を含む30代が中心。品揃えは「市場のファッショントレンドとしてカジュアルでオーバーサイズのものが求められていることもあり、ゆったりとした着用感のものを意識している」。価格帯はコートで2万円台、ニットトップで1万円台など。

 子育て世代の来店する時間帯は開店直後の午前11時、もしくは午後2~3時ごろが多い。母子での来店では「お子さんに『泣いてもいいんだよ』と声を掛ける」という。小さな子供連れの買い物で、母親が気になるのはむずかる子供の様子。そんなときに優しく声を掛けてあげれば、「お母さんも安心して、ゆっくりお買い物ができる」。

 同店はこれまでも30代の育児中の顧客が多かったが、寺内さん自らが出産して育児や保育所の送迎を経験し「以前にも増して、顧客に支持されるような店作りを意識するようになった」。

 子供から目を離さないで安心して試着ができるように、店内の試着室の隣にベビーベットも設置した。仕事や子育てに追われる日常を過ごす顧客に、インスタグラムやLINEで新着商品などの情報を発信して、顧客との結びつきを強めている。

 〝可処分時間〟の限られた顧客に対して来店時にスムーズな対応ができるようにする仕掛けだ。細やかな気配りの効いた、ママによるママのためのお店がそこにある。

(繊研新聞本紙20年1月30日付)

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