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百貨店で盛り上がる傘市場、高価格帯に注目集まる

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 都内の有力百貨店の婦人服飾雑貨売り場で、傘が売れている。傘の市場はこの3年ほど活況だったが、新型コロナウイルス感染拡大による臨時休業期間が傘の立ち上がりに重なり、売り上げに大きく響いた。しかし、今年も予測される猛暑や感染予防の観点から、高機能の傘が若い消費者を中心に売れ始めた。

(関麻生衣)

【関連記事】百貨店の傘商戦 "万能型"の日傘に注目

 休業明けの客数は前年同期比3割減で徐々に回復傾向という売り場が目立つ。一方、客単価は上がっている。百貨店で販売する傘の価格相場は7000~1万円だが、今年は1万円以上の価格帯の傘が堅調だ。

 背景には、機能性重視が見られ、品質を追求するに従って一点単価も上がっている。不要な外出を控える動きのなかで目的買いが増え、購入決定率も高まっている。

変わる価値観

 西武池袋本店は6月の日傘の売り上げが2%増で推移。全体的に客単価が約1500円アップしているという。

 売り場ではコロナ禍での熱中症対策として機能性を求める客が増えた。マスクの着用が日常になり、〝マスク焼け〟を気にする客に遮光・遮熱効果の高いものや、親骨55センチの大寸(50センチが一般的)が売れているのも新たな傾向だ。

 コロナ禍の大きな変化として、客層がこれまでは40~60代だったのに対し、休業明けは20~30代が多く来店している。機能性重視の傾向が一層強まるなか、若い消費者も「ブランド力があり、骨の強度が丈夫な傘を探して百貨店に訪れている」。

西武池袋本店は日傘を拡充、売り場面積を昨年より約1割増やした

 松屋銀座本店でも客層に変化が起きている。例年、〝銀ブラ〟で街を訪れた客でにぎわっていたが、自粛ムードが続いて来街者が減り、銀座周辺で働く20代後半~30代半ばの客が増えた。

 売り上げが伸びているのは日傘と晴雨兼用傘だ。なかでも軽量のミニ傘が良い。「勤務時の紫外線対策にと必要に駆られて購入する客が目立つ」という。毎年定番のクリエイター系の傘ブランドも優良顧客を中心に売れているが、猛暑対策に使える機能傘の動きが活発だ。

 市場で機能性重視の流れが強まっているものの、依然ファッション性も大事なポイントだ。「ブランドの傘は色柄も豊富に揃う。結果、品質とファッション性をバランスよく満たせている」との指摘があった。

松屋銀座本店はコロナ対策としてレジカウンターを例年の1.5倍の広さに

 小田急百貨店新宿店は駅直結の立地もあり、以前から近隣に務める20~30代OLが多く訪れていた。そのため客層に大きな変化はないが、客単価が昨年の8000円前後から1万円前後に上がっているという。軽量で大寸、かつ遮光率の高い晴雨兼用傘が売れ筋だ。

小田急百貨店新宿店は「ポロ・ラルフローレン」など人気のブランドをまとめて集積した

男性日傘も注目

 男性日傘が注目されているが、「日傘を差すことに抵抗を感じる」「日傘選びの基準が分からない」と、まだ消費者に根付かないのが現状。今後は、いかに女性の代理購買を取り込むか、ギフト需要を浸透させるか、男心をくすぐる色柄を充実できるか――が焦点になりそうだ。

 西武池袋本店は男性日傘の売り上げは前年並み。婦人服飾雑貨売り場の通路側の一角に集積し、夫婦での購買が多い。少数だが若い男性客がファッションの一部として購入する動きも見受けられるという。今後は「男性が欲しくなる日傘を増やせれば。ギフト需要も高い売り場なので、女性の代理購買も着実に取り込みたい」と話す。

 松屋銀座本店はギフトで探している女性客の購入が目立つ。来年に向けては男性が持ちたくなる、感性のある日傘を充実したい考え。小田急百貨店新宿店の紳士服飾雑貨売り場では、年々、問い合わせが増えている。

できることは

 新型コロナで人々の暮らしやモノへの考え方が変化し、より本質的な価値が求められるようになったのではないだろうか。各百貨店では傘業界への貢献として、傘の専門知識や必要性、機能性、日本の物作りの背景やそれを支える職人技を消費者に伝えていくことが挙がった。実際に「販売員に専門知識を聞いて、吟味して買う方も多くなった」との声もあった。百貨店では修理も受けているため、そうした付加価値も消費者の安心感や購買を後押ししている。

(繊研新聞本紙20年6月29日付)

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